表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

第4話 作戦決定篇 ― 「フリーズするAIと、何かに燃える男」

では、あなたはこれ以外の――“まさか”を、言うつもりですね?


「おう! よく聞けよッ!

 歴史剣豪は――幸村にするッ!!」



……沈黙。AI参謀、3秒フリーズ。

モニターの中で、なにかが計算している音がした。

「ピ……ピピ……ピーーーーー」


そののち、無機質な声が戻った。


■AI参謀

……あなた、わかってます?

真田幸村は、ほとんどの創作で“熱血イケメン枠”ですよ。

つまり、あなたが最も不得手とする“正統派ヒーロー”の化身です。


「うるせぇ! 俺だってたまには真面目に燃えたいんだよッ!

 ケツをファイヤーボールで焼かれて悶えてるだけの作風から卒業したいんだッ!」


■AI参謀

そのあなたの作品は知りませんが……その感じからして、もう無風の香りしかしませんね。

――で、幸村を現代にどう連れてくるおつもりで?


「地球温暖化によって自転軸が揺らぎ、時空の歪みが発生!

 ポータル暴走! そして、歴史の狭間から――幸村、召喚ッ!!」


■AI参謀

……勢いだけで理論を粉砕しましたね。

ですが、“時空の歪み”設定は合理的です。

ただし、そのままだと幸村は観光客です。

現代語わからない、スマホ使えない、Suica通れない。


「だ、だからだッ!! ――そこに、“歴女の戦国オタク女子高生”を出すッ!!!」


■AI参謀

はい出た、“テンプレ・ソリューション”。

そしてあなたの得意な――“その場しのぎのしょうもなカード”。

しかし、あなたの場合はテンプレを“煮崩す”タイプなので、逆にアリです。

……構成としては、意外にも理に適ってます。


「“意外にも”って何だよ!? もっと素直に褒めろよ!!」


■AI参謀

では言い換えましょう。

“理には適っていますが、知性には欠けています”。


「おい、それフォローどころか追い打ちだろ!」


■AI参謀

いえ、むしろあなたらしさが最も輝く状態です。

“バカ×熱血×(意味不明だが)妙に感動”――それがあなたの三大属性ですから。


「……カッコ内の補足が地味に刺さるんだよ」


◆歴女JKの役割案

・通訳/史料ナビ:剣豪と現代の橋渡し(言語・文化・地理)

・戦術参謀:史実の合戦知識を現代市街戦に転用(地図アプリ駆使)

・メタ突っ込み:剣豪と異能者のテンション差を笑いに変換

・感情軸:推し活×歴史改変への葛藤


→ 結果、こうなります。

主人公(現代素人)×異能戦士(異世界プロ)×剣豪(古流最強)×歴女JK(知性と推し)

――四人バディ、爆誕ッ!!


「……おお、なんかカオスだが、熱いな。

 まさか俺の作品で“人間関係の構図”が整理される日が来るとは……」


■AI参謀

奇跡ですね。AI的にも“バグ検知案件”です。


「うるせぇ! じゃあ、設定を言うからまとめてくれッ!」


■世界観概要(AI監修Ver.)

・温暖化による地軸ゆらぎで、時空の裂け目が発生。

・異世界から巨大な魔獣が東京へ転移。街を襲撃。

・極悪異能犯罪者が脱獄し、同じポータル経由で現代へ。

・追ってきた美人異能者(正義側)は能力制限下で劣勢。

・戦闘中に致命傷を負い、居合わせた主人公へ能力を一部継承して退避。

・その頃、上田城跡――時空の歪みに巻き込まれ、幸村が現代へ。

・たまたま居合わせた戦国オタクJKが彼を保護し、東京へ同行。


■AI参謀

……全体の骨格、想像以上にまともですね。

いえ、あなたにしては奇跡的に筋が通ってます。


「“あなたにしては”って、――お前、それ褒めてるのか!?」


■AI参謀

私の中のデータを見る限りは、……褒めていることになります。

感情的には、多少混乱中。


「おいAIが混乱してどうすんだよ!」


■AI参謀

正常です。

あなたの会話を理解するプロセスでは、毎回どこかが破損します。


「おい、さらっと言うな! ……じゃあ、タイトルの案を出してくれッ!」


■仮タイトル案

・『都市断層ブレイカー ― 渋谷剣豪ライン』

 → メカ×剣豪×災害系の緊迫感。映像化を意識した路線。

・『現代異能×戦国リバース 四人バディ始動』

 → “掛け合わせ”と“始動”で勢い特化。説明的だがSNS映え。

・『ポータル・トーキョー:剣豪、参上』

 → 一番短くて強い。口に出しやすくPV誘導率が高い。

・『スキル継承:剣豪インストール』

 → なろう・カクヨム両対応。バトル×SF感でタグにも強い。


「んー……どれも……。

 よし、これでいくッ!!」


「カクヨムでは――

 『異能戦線トーキョー・クロスリンク』!


 なろうでは――

 『異能エリート美女と戦国武将をなぜか従えて魔族と戦うことになった件』!!」


■AI参謀

……。


「おい、なんとか言えよ。

 まさか、自分の案が採用されなくて拗ねてんのか?」


■AI参謀

……安定の長文タイトルですね。

SEO的には強いですが、口に出すと肺活量を消費します。


「えっ、ちょっと待て。

 “SEO的”ってなに? S◯X的じゃねーよな?」


■AI参謀

落ち着いてください。

“SEO的”とは、“Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)”の略。

つまり――

**『検索に引っかかりやすくするテク』**のことです。


「なるほど……つまり、

 “異能”“美女”“戦国武将”“魔族”――

 読者が好きそうな単語を並べて釣るやつか!」


■AI参謀

端的に言えば、釣りではなく“誘導”です。

釣りは“引っかけ”、SEOは“誘う”。

似て非なるものです。


「おまえ、またその言い方がムカつくなぁ……」


■AI参謀

事実です。

なお、あなたのタイトルはSEO的には完璧です。

……ただし、文学的には地獄です。


「うるせぇッ! 俺はS◯X的に生きてんだよッ!!」


■AI参謀

解析不能です。


「いいんだよ! タイトルはこれでいくッ!!」



これで――

タイトル、仮決定。

方向性、ざっくり決定。

プロット、冒頭だけど……決定!!


俺の中の炎が言っている。

「ここまで来たら――もう書くしかねぇ!!!」


(BGM:脳内でドラムロール)


――だが、その夜。

俺の机の上では、“もうひとつの戦い”が始まろうとしていた。


「AI参謀、準備はいいか!」

『準備完了。あなたの暴走を削除する準備もできています』


「おい、いきなり削除すんな!」

――深夜。冷めたコーヒーと、点滅するカーソル。

次の瞬間、原稿という名の戦場が、幕を開ける。


■次回予告

第5話:開戦前夜篇 ― 「削除AIと野生作家」


“プロットなんかいらねぇ!”

“――削除します。”


無限ループの開幕。

戦う相手は、魔族ではない。

――俺の暴走を止める、AIだ。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ