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仮面  作者: りぃ
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2/2

1-0 偽り

 平々凡々、なにをやっても平均。もしくはそれより下。何不自由なく、両親に育てられて生きてきた金谷凛、13歳。


 家の近くの中学に入学し、小学校からの友達と一緒にバドミントン部に入学。いたって普通の中学生。


 朝7時に起きて、眠い目をこすりながら顔を洗い、朝ご飯を食べて、歯を磨いて、制服に着替えて


 <行ってきます!!>


 と言い、友達と待ち合わせて登校する。そんな当たり前の日々を送っていた。


 学校に着いて、下駄箱で靴を脱ぎ、上履きに履き替えて、教室に向かう。


 廊下ですれ違う先生や先輩に対して、「おはようございます」を何回言ったか分からないほど挨拶をする。


 (いつも通りだ)


 途中で先生に、


 「おい!くるぶしソックス!」


 と注意される生徒がいて、

 

 「あいつ捕まってやんの」


 と笑いながらしゃべってるうちに教室に着いた。


 教室の空気は嫌いじゃなかった。むしろ好きだった。


 昨日見たYouTubeやTikTokのこと、部活であったおもしろいこと、男女の恋愛話に花を咲かせているーーーーその瞬間一つ一つがたまらなく@@だった。 


 @@だと思えていた。その時までは


 中学2年になった。なったところでなんら変わり映えのない日常を送っていた。


 春、朝を迎え、いつものように身支度を済ませ


 「行ってきます!!」


 (いつも通りだ)


 学校へ向かう道も、隣の友達も


 (いつも通りだ)


 ただ今日はやけにカラスが多かった


 2限目は国語の授業だった。


 いつものように先生が生徒たちに音読をさせていた。


 今日は一番右前の生徒から音読をしていて、回ってこないだろうと調子をこいていた。


 すると先生が急に音読を止め


 「じゃあ残り金谷、読んで」


 一瞬間があった。


 「は、はい!」


 どこを読めばいいかわからない。


 また、間があった。


 「ちゃんと聞いていてください。23ページの21行目です」


 全く違うページを開いていたので、急いでページを開きなおし、該当箇所を読み上げる。


 読み上げる


 <そ、そ、そ、そ、の、く、く、く>


 言葉が詰まった。


 また、間があった。


 「なにお前それ」


 教室中が大爆笑だった。


 大爆笑の的にされている本人がとる対応は、いくつかあって、自分も笑って流れに乗るか、恥ずかしがって下を向くかだ。


 でも、そんな対応はできなくて、固まってしまった。


 授業が終わり、教室の後ろで会話が始まった。 するとすぐに


 「お前さっきのなにあれ」


 「やばかったよ」


 「ビョーキみたいだった」


 <まじ?急にあてられたからs........>


 「ビョーキだろ、凛ビョーキ!凛ビョーキ!死ねぇ!」


 「気持ち悪ぃ!」


 冗談交じり発言だった。


 その場のノリの発言だった。


 面白いとみんなに思わせる発言だった。


 なんて言っても大丈夫だろと思ってる発言だった。




 その時、どんな顔をしていたのか、覚えていない。


 ただ、明確にその瞬間から、


 自分の感情が薄れていった。


 残ったのは、仮面を被った『ジブン』


 その場のノリとその場の空気に順応する


 偽りのジブンだった。






 その日の夜空は、南の星座がよく見えた。


 

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