アカイキオク 断章
「ユウリさまーー」
スマホから聞こえたリュキウスの理性的な呼び声が、暗い気持ちで暑くなりかけていた思考を冷ましてくれた。
「・・・・・・はぁ、やれやれだ」
熱を吐き出すついでにぼやきながら思う。
(僕にできることはここまでだ)
やることはやった。
後は藤堂部長が、例え相手があの二人でも何とかしてくれるはずだ。
そう安心していいはずなのに・・・・・・
(本当に大丈夫なのか?)
小さな不安が皮膚に刺さった刺のように意識を刺激してきた。
が、それは所詮小さな違和感にすぎなかった。
(考えすぎだろ)
「あの、ユウリさま?」
頭を振り、怪訝そうなリュキウスに笑って答えた。
「いや、何でもないよ。それよりも遅くに悪かったね」
「いえ、そのようなことは。・・・・・・実を言えば、このような時間にユウリさまとお話ができて特をした気分でしたので」
なんて言われて、単純な僕はすっかり嬉しくなってしまい、新しい家に帰るまでの間、リュキウスと取りとめもない会話を楽しんだのだった。
そして、僕があの二人を心底過小評価していたのだと気付かされたのは、翌々日の昼過ぎの事だった。
ここで切るのがちょうどよいので、今回は短くなってしまいましたが、続き4月2日分は長くなりますのよろしくお付き合いくださいませ。




