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34,中ダンジョンとメイズキッチン新装開店大オープン(43)

 ついにこの時が来たッスよ! 中ダンジョンお披露目ッス!

 テラッチはダンジョンに転送する途中、ちょっと時間の進みを止めて放置してるッス。その隙に会場設営の準備をするッス。


「オレのセンス的にはここがいいと思うんだがどうだ?」


「あーしが頼んだスペースは大丈夫ッスよね? それさえあればあとはお任せするッスよ」


「あぁばっちりだ!」

――バチン! とベイスが地面を平手打ちすると、正面にもこもこと山小屋が生えてきたッス。ちょっといい感じのロッジ風? というッスかね。前にベイスとテラッチが行った狩人の山小屋になんとなく似てるッスね。

 二階建てッスから、こっちの方がちょっとだけ大きい感じッスね。


 あーしらが今準備しているのは、おいしい食事を食べながら、テラッチのダンジョンアタックをおもしろおかしく鑑賞する会場となる場所。ダンジョンを中ダンジョンにパワーアップしたので、暇になってしまったメイの仕事場になる場所ッス。


「あとは名前だな。お食事処メイ、喫茶メイ、居酒屋メイ、とこの辺りで悩んでいるんだが――」


「どれもダメダメなのです! メイのお店はメイが決めたいのです」


 ベイスのセンスで名前を決めるといまいちッスからね。察したあーしは、話の途中でメイを呼び出したッス。孤島ではない雲上の孤島とか、何のひねりもない訓練島とか、ベイスが決める名前はちょっとアレッスからね。


「メイズキッチンに決めたのです。かわいいのです」


 メイも相変わらず即断即決ッスね。あーしだったらしばらく悩む所ッスが、あっという間に名前が決まっていたッス。早速木彫りの看板が入り口の上に据えられたッスが、なかなか風格のある立派な出来ッス。


「んじゃ、中も仕上げていくか」



「要望通りッスね。コタツはあーしの落ち着きルームから持ってくるッス、他はメイと相談でそろえて欲しいッス」


 あーしが頼んだのは畳スペースッス! これは絶対条件ッスからね。


 コタツでぐでーっとしている間に、すっかり食堂風の内装が整っていたッス。即断即決のメイが主導してるッスから、仕事が早いっすね。


「よし、オレの仕事は終わりだ。いい感じの店に仕上がったな!」


「視聴設備はあーしが準備済ッス。ダンジョンアタックが始まったらババンと公開するッスよ」


「おう! たのしみだなっ」



「始めるッスよ!」

 準備が整ったッス。大きなコタツにはおっさん三人を座らせて、メニューとあーしでいつものコタツという配置ッス。もちろんメニューは専用コタツッスよ。

 メイが準備してくれた料理をずらりと並べて、宴会の準備は万全ッス。


「迫力の大画面オープンッス!」


 コタツ席の向かいの窓、下からせり上がる迫力の大画面! 

 『せり上がりはロマン』というテラッチのセカイの文化ファイルにあったエライ人の言葉を参考に、窓を画面に変換ではなくこの仕組みを作ったッス、自信作ッス。

 この画面の重要性はせり上がりだけではないッスよ。

 あーしらには、いつでもどこでも誰かのことを観ることが出来る能力があるッスけど、それを使うと臨場感というッスかね? ダンジョンの仕掛けも丸わかりなので楽しみ半減するッス。

 そこでこの大画面ッス。あーしらの超越能力を使わずに、テラッチと同じ感覚を疑似体験。ダンジョンに挑むテラッチの見えるもの、聞こえるもの、感じ取れるものと同等にスペックダウンして楽しむ。そういうエンターテインメント要素を高めたイベントにしたッス。


 輝く大画面がズズズーっとせり上がり、大注目の大盛り上がり場面ッス。


「おぉー! おぉ?」「わおー、お?」「なかなか凝った……、ん?」


 あれ? ずずずいーっと上がってきた画面の前に人影が……。


「えーと、みなさんおそろいですね。ちょうど良かったですわ」


 せっかくの歓声が不意に現れたイチコに邪魔されたッス。まあせっかく来たッスから文句とか言わずに歓迎するッスけどね。

 なんか言おうとしてたッスが、さっさとあーしと同じコタツに座らせて観戦スタートッス。


「新装開店中ダンジョン、オープンッス!」




『今日から中ダンジョンにレベルアップしたのです。今回はお試し版なので二つの関門を通過してラスボスに挑むのです! まずは城門突破が第一関門、お堀を渡って城到達が第二関門、城の最上階で待つ最後のラスボスを倒せば美しき姫メイに会えるのです!』


「お、ダンジョンに設定が追加されたんだな。囚われの姫を救出するってのか、ありふれた話だがわかりやすいな」


「メイもやる気溢れているわね」


 いよいよスタート直前のテラッチ。あーしらは控え室の様子を観ながら、ダンジョン新装オープンと宴会開始の乾杯をした所ッス。


「あの子でしたわね、能力は――」「だめッスよ! ここはこの迫力の大画面で楽しむッス。ちゃんと空気を読まないと楽しめないッスよ!」


「あの、楽しむためではなくて。私は調査結果を――」

「面倒なことはあとでいいんだっ、とにかく飲んで食べて騒いで楽しまないと損だぞ。ガハハ」


 イチコに説明するのを忘れていたッス。一人だけルールを守らなかったりするとしらけてしまうッス、スタート直前に気が付いてよかったッスね。


 ということで、テラッチはダンジョンアタック開始したッス。



『テラオさんが来たのです! やーっておしまいなさいなのです』


「おい、何でメイが魔王役までやってるんだよ? 囚われの美しき姫じゃなかったのかよ」


「人手不足とかじゃないッスよ、メイがやりたいっていうのでやらせたッス。あーしは暇なペーターにやってもらうつもりだったんッスよ」


「暇じゃないヨー、シノービに獲物解体講師を譲られて暇じゃなくなったヨ~~~♪」


 そうだったッスね、まあそんなことはどうでもいいッス。

 最初の関門は『城門前広場』。円形の広場を、弓状に広がる城壁が囲っているッス。城壁中央の城門目指して進むだけッスけど、今回は資源を惜しみなく使った鉄壁の防衛部隊がその行く手を阻むッス!


『弾幕薄いのです! なにやってるのなのです』


「ガハハ、ガイコツ弓兵多すぎだろ、おい」

「尋常じゃない量の矢ですね、空が矢に覆い隠されて真っ暗になってますよ」

「あたしだったらあの矢に魔法を付与するわね」

「でしたら私は地面をぬかるませて移動を制限しますわね」


 メニューえげつないッス、次回採用ッスね。イチコの案はいまいちッス。テラッチにはあーしが教えた空中足場があるッス、ぬかるみなど問題ないはずッス。

 あーしの教えを受けたテラッチは、ああ見えて結構優秀なんッスよ。



来週火曜日に最終話まで投稿する予定です。

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