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あの夜の、雨
四日後の、夜。
コレットは、いつものように、ベルロワ・カーヴの、楽屋から、子爵邸への、馬車に、乗ろうと、していた。
護衛は、ついていた。
グスタフが、付き添っていた。
ベルロワ子爵家の、私兵も、二人、いた。
——だが。
ヴェルニエ侯爵の、雇った、襲撃者は、十人を、超えていた。
しかも、雨の、夜だった。
馬車が、劇場の、裏口から、出た、瞬間。
四方から、襲撃者が、襲いかかった。
「コレット様! 逃げて!」
グスタフが、叫んだ。
剣戟の、音。
悲鳴。
雨と、血の、匂い。
コレットは、馬車から、降りて、走った。
雨の中を、必死に、走った。
しかし——
最後の、一人の、襲撃者が、コレットの、背中に、追いついた。
——剣が、振り下ろされた。
——血の、雨が、降った。
——コレットは、雨の、石畳の上に、倒れた。
「あ、た、し……リリア……」
最後に、コレットは、雨の中で、私の名前を、呼んだ。
そして——
緑の目が、ゆっくりと、閉じた。
その夜、雨は、明け方まで、降り続いた。
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