66.
モルガーナが持つ魔銃の存在を忘れ、勝てると思い上がっていた私はこの後、苦戦を強いられる事になる。
厄介な魔獣が生まれ出てくるのを避けたくてモルガーナを助けた事を後悔するほどに…。
△▽△▽△▽△
キッとと睨み付けてきたモルガーナだったが、何かいい事を思い付いたように口角を上げてニヤリと嗤う。
『何余裕かましてるのよ。』
そう思った私の目が彼女の手が握る魔銃を捉えた。
!?
しまった!と思うも時既に遅し。
「氷柱」
モルガーナが呪文を唱えると大小様々な大きさの氷柱が飛んできた。
氷柱(しかも広範囲)なんて上級魔法じゃない!魔銃ってそんな物まで撃つ事ができるの!?
「盾!」
咄嗟に出た呪文が初級の防御魔法。
当然防げる訳が無い。
ドガガガガガッ!!
「っだーい(痛い)!!ぅあ”あ”ぁっ!!」
数個の氷柱を防いだだけで盾は砕け、残りの氷柱の内の幾つかが、防ごうと翳した腕や脚に刺さってしまった。
『上級魔法を防げそうな呪文は…。』
なんて考えてたら「鎌鼬」と唱え次の魔弾を発射する。
私に向かって無数の鎌鼬が…。(言うまでもなく広範囲、あらゆる方向から。)
「魔術禁制領域!」
これで防げたと思ったのだが、防げたのは魔法のみ。
魔銃は魔弾を発射する。
そう、魔法の銃弾が発射されるのだ。
だから、魔法を防いだとしても銃弾はそのまま通常弾となって飛んでくる。
「守り」
領域内に入った通常弾に気付き、即座に物理攻撃防御魔法の呪文を唱えたが間に合わなかった分を脇腹や太股に被弾した。
「っぐぐぅっ!」
魔銃を持つ“稀代の魔法使い”と称されたモルガーナ相手な上、実戦で使い慣れない魔法に苦戦する。
魔銃の性能は使用者の魔法の力量に左右される。
上級魔法の使い手が魔銃を使用すれば発射される魔弾は上級魔法を纏う事ができる。
正に鬼に金棒。
こちらの分が悪すぎる。
「さっきまでの威勢の良さはどこに行ったのかしら?ざまあないわね。ウフフフ。でもトカゲの分際で上級防御魔法が使えるとは驚いたわ。けど、やっぱりトカゲはトカゲでしかなかったわね。ふふふ。」
そう言って、氷柱や弾を食らって血を流す私を見て愉悦に浸って嗤うモルガーナ。
「くっ…。」
正直、痛いし悔しい。
でもまだ使っていない魔法やあの魔法がある。
その思いだけで口角を上げ強がって見せる。
「そう。あなたが馬鹿にしているトカゲの私でも上級魔法を使えるのよ。それにしてもあなたって“稀代の魔法使い”なんて言われてた割に大した事ないのね。」
「何ですって!この小娘が!」
私の言葉に顔を真っ赤にして怒りを顕わにする。
強がって見せたもののこれ以上被弾するのはマズい。
あの魔銃を何とかできないものかと考えたが、やはり弾切れを待つしか手は無いみたいだ。
我ながら消極的で情けない方法しか取れない事に凹みそうになる。
魔法を使用しての実戦経験の無さが悔やまれる。
「…だからと言って、負ける訳にはいかないのよね。」
そして虚勢でもいいから目にグッと力を入れてモルガーナを睨み付けた。
仮令負けるとしても一矢でも報いたい。
震える足で立ちながらも使用する魔法を決めると呪文を詠唱する為、掌に魔力を集めた。
「業火の渦!」
掌をモルガーナに向けて呪文を唱えると最大火力の炎が渦を巻いて向かって行った。
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(*・ω・人・ω・)




