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膨大な威力を持つ破壊の一撃

 花園に並ぶヨムカと両親に対峙している甘い美貌を持つロノウェ。


 どうして、彼がここに居るのか。ヨムカは両親とロノウェを交互に視線を移す。いつものように優しい表情のロノウェに対して、両親……主に母親は、敵意を剥き出してヨムカを背に庇う。


「消えなさい!! ここは、私達家族の世界なのォッ! そっとしておいて!」

「そうはいきません。此処に残るか、現実に帰るかはヨムカさんの意志によって決められるべきだと思います。誰も強要するべきではありません」


 ロノウェは穏やかで諭す口調で対話に臨む。だが、母にとってロノウェという存在を許容するつもりはなく、彼の言葉に一切耳を傾けることをせず、険しい表情を一層に険しくしている。


「消えないなら、滅するだけよ!!」


 母は魔術師ではなかったはずだ。母が手を虚空にかざすだけで、それも無詠唱で魔法陣が展開される。その膨大な魔力量といったら、魔術師見習いであるヨムカからみても尋常ではなかった。その異常な術式に流石のロノウェも表情をわずかに崩す。余裕がない。手を抜いてはいけない相手だと判断したようだ。


「ヨムカさん、帰りますか? 残りますか? 時間が無いので即決でお願いします。この術式はとてつもなく強力なものだというのは薄々気付いていますね? 私が防御に全力を注いで、どれほど時間を稼げるかはわかりませんので……ウグッ!」


 言葉に焦燥感が滲んでいた。意識がヨムカに逸れた瞬間を母は見逃さず、不完全ではあるが術式を強制的に発動させたのだ。説明できぬ何かが放たれる。かろうじて防御の術式を展開したロノウェだが、がわずかに遅れ、その華奢な身体は吹き飛ばされ草花を潰して勢いよく転がっていく。


「ロノウェ副隊長!!」

「ヨムカ! 駄目よ。あの人には貴女を渡さない。貴女はここで私達と平穏に過ごすべきなのよ。ね、そうでしょ、貴方?」

「……僕には分からない。ヨムカにとっての幸せは彼女にしか分からないよ。僕自身の願いを言えば、キミと同じく一緒に過ごしていたい。でも、尊重するべきはヨムカの意志だと思うんだ」

「違うわッ! ヨムカは私達と一緒に過ごすの。この子に注げなかった愛をいっぱいこれからの生活で注いであげたいの! どうして、分かってくれないの!? ヨムカは私達と一緒にいたいわよね?」


 地面に伏せったロノウェには既に意識の外。母はヨムカに向き直る。どうするべきか、答えを出さねばならない。片方を切り捨てなければならなかった。家族か仲間か。現実か夢か。生か死か。


 家族を選べば七八部隊の仲間達や知り合った人達に二度と会うことはない。その逆も然り。考える時間はなく、断腸の思いでヨムカは震える口元を一度引き結ぶ。


 決めるのだ。


「お母さん、私はお母さんとお父さんと会えて、お話したりご飯食べたりできて楽しかったよ」

「ええ、私もお父さんも楽しかった。でも、大丈夫よ。これから先も……ね?」

「お母さん……ごめんなさい。私はやっぱり、帰るね」

「……そんな」


 パッと明るくなった母の顔色は落胆一色に染まる。ヨムカの意志。尊重しなければいけないのは分かっていた。だが、納得できない。出来るはずがない。ヨムカを守れるのは自分たちだけなのだ。強い想いが邪魔をして、素直に頷けないでいる。


「ヨムカさんは……自分の意志で……決めました。もう、止めましょう。これ以上の争いは……ヨムカさんを悲し……ませます」


 右肩を抑えながら苦痛の声音でゆっくり立ちあがったロノウェ。


「嫌、嫌、嫌、嫌ァッ!! 認めない、認めないわッ! いらない記憶を消してでもヨムカは渡さないィィィィィッ!!」


 再び展開される紫電迸る魔法陣。先程のような未完成のものでは無い。完成しきった術式は魔法陣から眩い光が轟音を纏って放たれる。その軌道に存在するモノ全て消失していく。あえて名を付けるのであれば、超高電圧収束物質融解光子砲。


魔導王カルラ・の守護法衣(トゥルンダルク)


 光子砲に呑まれる瞬間にロノウェは空間から何か布のようなものを取り出し、自分の身体に纏った。だが、その光景をヨムカは視認できていない。あまりの眩さに瞳を閉じていたから。閉じていても光を遮断できず、目を開いてもしばらくは視界が白く霞んでいた。


「ロノウェ副隊長……!?」


 光子砲は地面を抉り土煙が舞っている。


「お母さん! どうして……どうして、こんな酷い」

「下がってなさい! まだ、終わってないわ」

「えっ……」


 土煙が府何かの意志に従って吹き飛ばされる。


 天上に掲げているロノウェの右手からは半透明の空気の塊が土煙の流れを手繰っていた。


「ヨムカさんは帰りたいと願ったんですよ? どうして、自分の子供の意志を尊重してあげないんですか!」


 珍しく声を荒げるロノウェに父が小さく頷いた。


 




こんにちは、上月です(*'▽')


また、投稿日を守れなかった……(´;ω;`)


次は水曜日までには投稿します。うん、大丈夫。大丈夫なんだ。きっと、ちゃんと投稿できる!



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