問と答えと覚醒
持っていかれそうな気を振り絞りからうじて声を出した。
「どうして…僕の欲望を?」
「ん? えーっとね。それは君が、智くんがそういう人だからだよ♪」意味がわからない。
「説明が難しいなあ。つまり、智くんは幽霊と常に一緒にいなくちゃいけない。そういう体質なんだよ。」やべぇ、訳わからん。こんなのと話したくはないが少しでも生きられるなら
「常にってなんだよ!今まで幽霊と一緒にいたことなんかねーよ」
「やっぱり気づいてないんだー。まっ、付き合いの終わった幽霊のことは忘れちゃうしねー。」
イリスの言う通りだと僕はずっと幽霊と一緒にいたらし。なんてホラーな日常なんだ。
「じゃあ、さっきの教室でのこと思い出してみよっか!みんな何て言ってた?」
教室で言われたこと?確か…
1人で何か言 告白?キモ 関わんねーほうが
そりゃ急に告白、いや、認めたくないがイリスが幽霊なら1人で告白してたことになる。キモいな。あとは、えーっと、
あの子っていつも1人で喋 去年からあーでね
いつも1人? 去年から?
おかしい、イリスに話しかけたのは昨日が初めてだ。普段から独り言を言う趣味はない。だって去年からいつも、あれどうして名前がわからない?そうあいつと一緒にいた。
「わかった?あれまだ?」
いや、もしかしてそれが間違いなのか?…………………嘘だろ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
嘘だった のか?
去年学校にいる多くの時間あいつと一緒にいた。今考えていることが本当なら去年の僕が過ごした時間は嘘だったことになる。
あいつはクソッ名前が思い出せない
「ほら、名前くらい思い出してあげなよ。親友だったんでしょ?」
名前名前名前去年ずっと一緒だった僕の親友、あっ
「レオ?」
「あっ思い出した。」
そうだ!いつも一緒だった。昨日まで。そうだラーメン屋で喧嘩した。
てことは何か?
「そうよその通り」
「「レオは幽霊」」
…
……
「そんなばかな!!」
「いえ、それが真実よ。彼はここの前の道で車にはねられて死んだの。50年くらい前かな?」「そんなの信じられない」
「じゃあ、彼と学校の外で会ったことあったかしら?智くんが誘っても断ってたんじゃないの?彼、一種の地縛霊だから」
「確かに。でも、ラーメン屋にはよく行っていたぞ」
「ああ、あそこは特別よ。あの店も学校の前の道だから」
思い返してみると、彼は食べ終わるといつも学校のほうへ急いで歩いて行った。一緒に帰ったことがない。
「彼は昨日そのラーメン屋で智くんの思いを聞き焦った。私に智くんをとられるんじゃないかって。智くんは幽霊と関わってないと不安定になるけど、一度に複数とは関われないから」
「嘘だ!だいたい、幽霊と関わってないと不安定になる?そういえばさっき常に一緒って誰が幽霊だったんだよ。」そんな体質なわけないじゃないか!
「ホントにもう忘れちゃった?」
「だから、誰だよ!」感情をあらわにする俺と対照的に余裕なイリスはゆっくりと微笑みながら言った。
「あなたの愛犬のアイよ」
あっ、 僕の記憶の暗くなっていた部分がランプに灯されたかのようだった。
第七話読んでいただきありがとうございます!
少年はいよいよ真実を知り、そして、思い出した。だが、まだ知らないことはあるようだ…