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『ストロベリーライフ』(荻原浩)を読んで

東京でフリーのグラフィックデザイナーをしている恵介。元手タレの妻と五歳(だったかな?)の息子もいる。そこへ静岡の父が倒れたという知らせが。実家は農家。農業に魅力を感じずに実家を出た恵介だったが、やむにやまれず目処がつくまでのつもりで素人ながら家業を助けることに。それがイチゴ栽培。


父や母、三人の姉とその夫や子供、中学時代の同級生など、誰も彼も個性豊か。それでいて、ああいるよねこういう人、って納得してしまう。案の定、恵介は姉に振り回されて、最初はみんなめんどくさいなぁと思いながら読んでいたけれど、読み進めるうちに愛着が湧いてきました。というのも、なんだかんだいってみんな悪い人じゃないっていうのもありますが、なにより、恵介が不満を漏らさないんですね。クセの強い姉たちに振り回され、知識のない農業に苦労しつつも、泣き言を言わないんです。かといって、けして暑っ苦しい熱血漢ではなくて、どちらかというと飄々としているんですよね。それでも前しか見ていない。その力が入りすぎていない前向きな生き方がとても心地よく感じられました。


そして何かのために他の何かを犠牲にしないのも印象的でした。農業もやるけどグラフィックデザイナーも辞めないとか。それも肩に力が入っている感じじゃないんですよ。すべてにおいてそうなんです。この小説は、それがすごく好印象でした。


最後は大団円。未来はまだ不透明ながらも雲間からいくつもの光の帯が差し込むような希望に溢れたラストでした。


お仕事小説であり、家族小説であり。文庫本で400ページを超える長さですが、ユーモアたっぷりなのでどんどん読み進められました。静岡弁がいい味出しています。

とにかく気持ちのいい感動と元気をもらえる小説で、読後感のよさは文句なしです。

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