ジークとアレスの戦い 2
第三騎士団の前に立ちはかだる王都使長の護衛を倒したアレスとジークは、そのまま倒れたものを放置した。そして、悠々と第三騎士団に乗り込んだ。
受付には誰もいなかったが、奥の部屋に入ると人が固まっていた。ジークはそれを見ると、またそのままアレスと共に乗り込んだ。
「誰だ?」
と、奥から剣を抜いて護衛騎士のレイリーが現れた。
ジークとアレスの二人は敵ではないと知らせるために、軽く腕を上げながら近付いた。
すると、何かに気付いたように副団長のセイスが目を見開いた。
「レイの友達のアレスではないか? わざわざ来たようだけど、レイはいないよ。それに前に邪魔をする者がいただろ?」
そんなのいたな、と言う風な顔をしてから、アレスが答えた。
「それなら、追い返しましたよ。セイス副団長。お久しぶりです。こちらがジーク。レイのもう一人の親友です。今日はレイのために来た訳ではないです」
「ーーでは、何のために」
と、セイスが頭を捻った。
ジークが悪戯顔を浮かべた。
「それは貴方達をここから逃すためです」
「「え?」」
と、彼らは一斉に声を上げた。
まさか自分達の事だとは分からなかった。彼らはレイの友達だから、そんな事はないと彼らは思っていた。
一番冷静なセイスが聞いた。
「だが、本当に大丈夫なのか?」
と、それは国からどう思われるかと言う事だった。
ジークはそれに対しても無敵そうな顔を見せた。
「それがどうした。レイを見捨てるような国に未来などない。今は従軍命令があって彼は動けないが、それが解けば何でもする。まずは仲間を増やす。そのために第三騎士団に来た」
次にアレスが口を開いた。
「レイに付いて行く? それともここに残る? ここにいても、面白い未来はやって来ないよ。自分で動かない限りは…」
と、最後に彼らがレイを思う心を揺さぶった。
その言葉だけで彼らの目には光が現れ始めた。アレスやジークと同じようにレイの信者とも言える人である彼らは、すぐに何をするべきか知っていた。
「ーー参加するっ」
と、セイスが他の声を代名するように言った。
誰もが顔を輝かせて、ダンジョンでのアレスと似たような顔をしていた。
「それはそうだよな。僕らにはレイがいる。レイが生きる理由なのだから」
と、ジークが最後に締め括った。
彼らが自分達の集団を名付けるとしたら、
「僕らは、新魔法協会だ」
と、ジークが叫んだ。
他の彼らもその叫び声に参加した。
その時、第一騎士団や第二騎士団は、第三騎士団から変な叫び声を聞いたのだった。
大抵の彼らは第三騎士団の気が狂ったらと思った。




