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第一騎士団員の奮闘

 団長から話を聞かされた団員達は、申し訳なさそうな顔をしていた。が、そんな時に外から大きな声がした。

「国王代理王都使長様の護衛だ。レインフォード少年兵の監視に来たっ」

 と、何とも大きな声で言った。


「あの…あいつらは馬鹿ですか?」

 と、部屋にいた一人の団員が呟いた。


 その人に全員の視線が集まった。その男性は戸惑ったような顔のまま、言った。

「いや、だって敵陣に無断で足を運ぶ事と同じですよね…なら、する事は決まっていますよね?」

 と、その眠そうな目に光を灯した。


 僕はそれを見て、その男性が以前第三騎士団に来た第一騎士団員であると分かった。彼は普段は眠そうにしているが、その時になれば覚醒する。何か眠れる狼のようだった。それか、牙を隠した獅子であるようにも見えた。


 それを聞いた団員達は一斉に頷いた。

「「そうだなっ」」


 団長はそれを見ながら、何とも見ている方がよくなる笑顔を作った。

「いいぞ、行って来たらいい。いつでも暴れてこい。我々の邪魔をする者はいかなる者も排除する」

 と、僕が見た事のない顔を彼らは見せていた。


 第一騎士団の建物にあった、力を示すオブジェが何のためにあるのかが分かった。彼らは本当に、力が好きである。そして、強い者に付くのが好きなようである。だから、団員は好かれているのだった。そして、その中には僕も入っているようだった。


「では、団長。少し行って来ます」

 と、立ち上がりながらストレッチをしたその男性が部屋に出て行った。


 そして、他の仲間もそれの後を追って、去って行った。




 奥で王都使長の護衛が困惑しているような声をしていると思ったら、今度は悲鳴を上げていた。

 僕は彼らが入り口で果たして何をしているかは分からないが、彼らの事だから相手を殺める事はないと分かった。そこまでする事は、彼らのプライドにも関わるからだった。


 そして、悲鳴を上げながら去って行く護衛達の声がしている中、出て行っていた彼らが帰って来た。


「王都使長護衛の排除任務は、完了しました」

 と、その男性が綺麗な敬礼をした。


 先程まで眠そうな顔をしていたにも関わらず、彼はがらっとイメージを変えていた。


「お疲れさん」

 と、団長は彼に言った。


 そして、僕を見た。

「あの眠そうな彼が我らの副団長、カズサ・ミレーだ」


 副団長のカズサが今度は、団長の方を見た。

「あの大男が我らの団長、バルツ・ステンザード。よろしくな、レイ」


「よろしくお願いします」

 と、僕は再度頭を下げた。


 顔を上げると、誰もが優しそうな顔をしていた。

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