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ジークの奮闘

 ジークは何に対してもむしゃくしゃしていたが、一番大きい理由があった。それが、レイの事を誰もが理解しない事だった。挙句の果てに、第三騎士団はもう包囲されて何も出来なかった。このままでは、もう彼の掌で物事を動かすが出来なかった。ここまでやられた事はなかったが、もう許すつもりもなかった。が、レイの事だから大丈夫だろうと自然と思っていた。


 あそこまで力がある彼がわざわざそこから飛び出そうとして来ない。と、言う事は彼に取って快適な何かがあると言う事だった。流石に一年間の従軍命令も出されていたと知った時は、伝えて来た人を無意識に呪い殺しそうになった。が、アレスが丁度いい所でストレスの解消に付き合ってくれたので、今はもう大丈夫だった。本当にあのままでは、辺り一体を火の鳥で火の海にしそうな気分だった事をジークは思い出した。今思えば、ただ笑える話だったが。


 色々考えるごとにジークは一つの事に気付いた。それは友達として彼の居場所をいつまでも作ってあげようと言う事だった。その事をアレスに言うと大賛成していたのをジークは思い出した。それだけでも、心がすっきりした。そして、レイを理解出来ない人がいるのならそれを放ったらいいと思った。

 逆に彼を理解する人だけで彼を守る集団を作れば、それで十分なのだった。


 レイの事を理解出来ない人に一々彼の事の文句を言う資格さえないのだ、とジークは思った。そして、ふといつからそんな事を考えるようになったのかが実は分からないと気付いた。何が始まりかは分からないが、彼はきっとレイが全ての始まりだと知った。彼がいたからこそ、今の自分がいるのだった。なら、今の彼に友達として出来る限りの事をする。


 幸い、ジーク・アーネストには腐るほどの権力と金があった。一生使い続けても余るほどだった。彼はダンジョンに入り始めてから、お金の価値を知った。が、逆に彼がこれまであったお金はただの飾りのように見えるようにもなっていた。自分で何も苦労していないのに、勝手に流れて来るお金。それほど、見ていて吐きそうなものはないのだった。




 今となって、ジークはそれらの使い道に気付いた。金は人を惑わす。だが、それは味方も敵も同じだった。人は金を見せ付けられたら、そこに自ら飛び込むのだった。なら、今こそその無意味なものにも有効活用出来る機会が目前にあるのだった。


 その事に気付いたジークは心から、ほっとした。彼にもまだ出来る事があるのだった。

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