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ジークの極秘会談

 アレスと誓ったジークはすぐさま動く事にした。そして、そのためなら何もかもを犠牲にした。特別委員会の委員長の権限を全面的に使用し、その日の学園は無理矢理公欠にした。と、言っても担任や学園長へ一言、課外学習に行くと言えば終わった。



 そして、ジークはそのままの状態で宮廷へと乗り込んだ。全ての門は顔バスで通った。途中で頭を上げてくる人がいたのでそう言う人には適当に対応した。何かを考えるより先に彼には目標があった。それは王もしくはリーゼと会い、レイについての事情を聞き取る事。そして、何か出来るのならそれを可能な限り行うと言う事だった。

 全てはレイのために。そして、彼ら自身のためでもあった。彼らはもうレイのいない生活を考える事は出来なかった。それほど、レイは彼らに取って必要不可欠な存在であり、真の親友だった。これまで乗り越えて来た時がそれを証明していた。


 ジークは王の執務室を見つけると扉を叩く事なく、そのまま押し入った。丁度、王はいるようで一人だった。ジークの顔を見ると、何を聞かれるかを理解しているようだった。


「ジークか…お前が来れないようにすればよかったな。絶対来ると分かっていたから」

 と、王は小さく笑みを浮かべた。


 それは何とも力がなく、無理をしていると誰でも分かった。当然、ジークもだった。


 ジークは王の前に押し進んだ。執務室には王以外誰もいなかったので、開いた場所を通るだけで済んだ。


「何故、レイを辞めさせたのですか? 答えてください、伯父さん」

 と、ジークが王の座る机を両手で叩いた。


 突然の事に王は後退るような仕草を見せながら、答えた。

「…そ、それは不可抗力なのだ、ジーク。自分にはどうしようも出来ない」


 ジークは王を睨んだ。

「いや、違います。それは出来ないではなく、しようともしなかった。アレスが怒って貴方の寝込みを襲ってもしりませんよ」

 と、冷たく言い放った。


 王は首元を片手で軽く押さえてから、急いで答えた。

「そ、そうではない。あいつが、勝手に民を人質に取って王国代理の権利を渡せと言ったのだ」


「ーーだから王都使長に渡した、と? 伯父さんは一人の少年よりも民を選んだと言うのですか?」

 と、ジークが王に急接近した。


 王は何とかジークと目を合わせた。

「それが王と言うものだ。幾ら恨んでも気にしないが、もうどうしようも出来ない」



 ジークは王を見下ろした。

「ここまでしか出来ない王とは知りませんでしたよ、伯父さん。私は貴方を恨む気持ちさえありません。そんな事をしたとしても、何の解決にもならないからです。なら、逆に私が自分で出来る事を行うだけです」


 では、とジークは王を見捨ててそのまま去って行った。大きな音を立てて扉を閉めながら。





 ジークが去った後にリーゼが顔を出した。

「そこまでしなくてもいいのではないですか? レインフォードが前線に送られないように手配したのは、王様です。そして、何とか彼を第一騎士団に押し込めた事もあります。なのに、それを言う事はしなかったのですね…」


 王は服を整えながら、答えた。

「言った所で結果が変わるものではない。最初の段階で彼に何もしなかった。それだけで責められるべき人である。だから、ジークの怒りは当然だ」


 リーゼは軽く笑みを浮かべた。

「はい、そう言う事にしておきます」

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