ジークの衝撃
宮廷魔法師レインフォード・ウィズアード第三騎士団長が解任され、実質的に宮廷から追放されたニュースは瞬く間に人々に伝わった。それも国王からではなく、国王代理王都使長が下した命令として更に人々の興味を引き付けた。
それはレイの元クラスメイトそして、友達であるジークにも同じ事だった。彼は最初にその報を聞いた時には耳を疑った。もう何が起きたのか分からないほどの衝撃を受けた。何かの犯罪を行った訳でもなく、いきなり王国代理の王都使長が登場した。それだけでも、嫌な匂いがするのをジークはしっかりと感じた。最近、王立魔法学園ではしなくなった、嫌な記憶を思い出させそうな匂いだった。
ジークは深く考えるより先に、アレスと会う事にした。丁度部屋にいた様子のアレスをそのまま座らせると、アレスとジーク。二人の話し合いが極秘に始まった。
「ジークは何か悪い事が起きていると思うの?」
と、アレスがジークの顔を見た。
ジークはその視線を避ける事なく、頷いた。
「そうだ。この怪しい、国王代理王都使長が現れてから全てががらりと変わったようだ。このままでレイに何が起きるかさえ、分からない。が、逆に宮廷から出れたのは幸運と言えるかもしれない。だがな…このままで終わる気はしない」
「と、言う事は別の何かが起きるかもしれないと言う事?」
と、アレスがジークの言葉を拾った。
「あーここまですると言う事は更に何かをするかもしれない。レイの事だから知らない内に敵を作っているかもしれないが」
アレスは笑みを浮かべた。
「まぁ。それはそうだよね。だけど、それこそレイだよ。いつまでも僕らのレイであり続ける」
「そうだな」
と、ジークは軽く上を見ながら頷いた。
「だから、ジーク。このままで許す事は決してしない。僕らで出来る限り、レイを助ける」
と、アレスが拳を上げた。
ジークはそれを見ながら、笑みを浮かべた。そこには満面の悪戯顔が広がっていた。そして、それはアレスも同様だった。二人して何かを企むような顔をした。いや、それは何かを新たに探ろうとする探検者の顔でもあった。冒険者らしく。
「あーそうだな。僕らはそのためにある。そして、これからもそのためにいつづける」
と、ジークはアレスと同じように拳を上げた。
それはアレスとジークの二人がレイのために、出来る事を必ず行うと誓った瞬間だった。そして、その誓いは何があろうとこれからも守られ続けるのだった。彼らが生き続けるまでは。




