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新たな依頼

 僕らがわいわいと話していると、受付嬢のミーシャが一枚の封筒を渡してくれた。そこには依頼が書かれ、これまでとは一味違った。


「子供を楽しませる、魔導具の製作?」

 と、僕は頭を捻られた。


 興味を持った他の団員が顔を近付けるのが感じ取れた。一番、副団長であるセイスが体が当たるぐらい近くに立っていた。

 ミーシャはそんな事などお構いなしに、頷いた。

「はい、そうです…出来そうですか?」

 と、僕を見て来た。


 それは黒猫が僕を見る時と同じような効果を、思わせる見せ方だった。


「いや、これは明らかに俺らの無能さを見せたいだけだろうっ」

 と、アイガンが口を挟んだ。


 その顔は少し怒りが見えていた。

 アイガンはさっと、書類の右上を指差した。そこには依頼の期限が書かれていた。

 ーー明日まで。出来れば、今日中。


「これは、猶予期間を与えずにただ何も出来ない第三騎士団を笑いたい奴らが、仕組んだのだろう」

 と、セイスも冷静に分析した。


 ゴーシュが手を振りながら、叫んだ。

「へっ。馬鹿な奴らだ。それだけで何かが出来ると思うなよ」

 と、口は悪いが僕らの事を思っての発言だった。


「んー。どうする、レイ? これは難しくない?」

 と、ザリファーが僕を見た。


 その顔は何とも不安そうだった。が、僕には何故そこまで不安なのかが分からなかった。



「えっと、何でそんなに不安そうなの…?」

 と、僕は恐る恐る聞いた。


 明らかに自分の考えが他とは違うと感じられていたから。そこは以前より自分でも成長したかな、と思った。が、何故かが分からなかった。彼らがそこまでも悩む、その理由が。


「「え?」」

 と、彼らが一斉に僕を見た。


「ちょっと待った。一日で出来ると言うのか?」

 と、ゴーシュが迫って来た。




「うん。出来るよ」

 と、僕は即答した。


「だから、そんなに困る事でもないと思うけど?」


 僕が周りを見ると、全員が溜め息を付いたようだった。これはこう言う人だ。これが団長様だ、と口々に呟いていた。僕からしたら、そこまで変な事を行う訳ではない、と思っていたのだが違うようだった。



「なら、今から取り組むか……レイ。何かいるものはあるか? 何でも用意するよ。これは第三騎士団に取っての一大事でもあるから。それもこれぐらいの後方支援しか出来ない。実際に作るのは、レイだからな」

 と、セイスが聞いて来た。


 僕は少し考えてから、答えた。

「製作する場所が欲しいかな…」


「いい所があります。騎士団長室はどうですか?」

 と、ミーシャが僕を見た。


 僕は無言で頷いた。それだった。

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