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復讐は正攻法で  作者: コーヒー牛乳


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ミーティング


 だんだん嫌がらせの頻度は減ってきた。

 私生活では資格の勉強も習慣化できているようで、落ち着きを感じ始めていた頃だった。


 もう一波乱来るぞ。


 子育て中の虎穴に入るようで気が進まないが、そろそろ彩さんの産休の予定が近づいている。

 そろそろ本格的に業務の分担や引き継ぎをどうするのか詰めておきたいところだった。


 彩さんには話しかけたくはないし、そもそも話しかけないでと言われた記憶は新しい。が、仕事は仕事として割り切らなければならない。相手がどう思っているかはわからないけれど。


 意を決して、彩さんや担当営業である中村さん、そして以前から私と彩さんの業務を分配する予定だった清水さんをCCに入れてメールを送った。


 同じ部内なのだから、話しかければよいのだが……。


 考えうる限りのトラブル──無視や、言った言っていないというキャットファイト──を、防ぐため。最低限の予防措置だ。


 しかし想定よりスムーズに虎穴への招待状……ミーティングがセッティングできた。

 よかった。引き継ぎ業務は問題なく走りだせそうだと見えてきた。


 たったこれだけなのに、安心して溜息が漏れる。


 ミーティングルームの空きが無かったため、オフィス内のパーテーションで区切られたスペースを使うことになったのは良かったのか悪かったのか。


 まあ、人目があれば変な言いがかりをつけられるトラブルは防げるだろうなと。


 そう思っていた時期が、私にもありました。


*****


「────森田さん、また嫌がらせ?」

「は?」


 中村さんの言葉に耳を疑った。


 こんな調子でミーティングはスタートした。

 一応、オープンスペースだというのに、つい素で「は?」と口から出てしまった。


 営業の中村さんや、清水さんの視線は厳しい。


「また嫌がらせ、の意味がわかりません。私が先ほど聞いたのは、ご用意頂いた引き継ぎ資料が足りない事。そして資料を仕上げられるスケジュール感です」


 通常、引き継ぎ資料は仕上げておく事が前提準備だ。

 ミーティングの時間はあくまで、詳細説明と質疑応答の時間である。


 ミーティングの時間は30分設けているのだから、どの分を誰に委託し、指示系統もろもろ復帰した際はどうするかまで整えておくものだと。


 ……これらは、新人の頃に彩さんから教わったはずである。


 それで、何が”また”で”嫌がらせ”なのか。


 まあまあ、と噛みついてきた清水さんをかばう形で前に出てきたのは営業の中村さんだった。


「こんなこと言いたくないけど、妊婦さん相手にその言い方は不適切じゃないかな。妊娠で体調を崩したりして満足に業務出来てないのは本人が一番申し訳ないと感じてるって察してあげられない?そこをわざわざあげつらって、こんなところで非難しなくたって」


 普段会話が無いので日頃の様子は不明だが、準備期間が不足していたあたり何かあったのだろう。なので、結局いつになったら資料を準備出来るのかスケジュール感を質問したのだ。


「いえいえ、一言も引き継ぎ資料の出来を非難していませんよ。なぜ出来なかったと理由を問いただしてもいません。結果、いつ頃に仕上げられるのかを聞いています」


 私が言い切る前に、清水さんのわざとらしい溜息が食い気味に聞こえた。


「これ以上無理してまで仕上げろって、同じことでしょ」

「はい?」


 清水さんのボソリと呟いた声に反応してしまう。

 呟くように話す清水さんの声は、よく耳を傾けないと聞き逃してしまいそうだった。


「……森田さんこそお手すきでしょうから、このままの資料でも出来るんじゃないですか?昇格するらしいですしお給料が上がる分、やることやるべきですよ」


 そうニヤッと意地悪く口角をあげる清水さんの顔が、言葉が、私の神経を逆撫でる。


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