隠れた喫茶店
コーヒーや紅茶などの飲み物、菓子・果物・軽食を客に供する飲食店を差し、喫茶店と呼ぶ。
(そろそろ新人の彼が来るわね。)
妻に先立たれ、男手一人で娘を育てた喫茶店『益荒男(ANGELS)』のオーナー丘真樹彦は新人である前髪長過ぎを待っていた。既に面接は終えており、好青年である事は知っている。
「少し暗い感じの少年だけど、真面目な子っぽいし大丈夫よね。」
出来れば髪を上げて欲しいけれど、本人の要望でそこだけは駄目らしい。もしかしたら対人恐怖症を直そうとバイトを初めようと思ったのかもしれないわね。
(だけど一つだけ_____もし、私の可愛い『娘』ちゃんに手を出してごらんなさい。)
「________________ぶち犯して殺して埋めて上げるわ。」
「うぅ..................ちょっと肌寒いな。寒気が。」ぶる
冬風の所為かはたまた誰かが自分の噂をしているのか。まぁ今はどっちでもいい事だ。
(よし、誰もあとは追ってきてないな。服も完全に捨てたし、新しいのにも着替えた。荷物はコインローカー。完璧な布陣。これでもし店内に誰かしらの姿がいたら俺は全てを諦める、うん。)
それ程までに自信があった。故にバイト1日目を必ずや成功して見せよう。
チリンちりん
「____こんにちわ!今日から宜しくお願いします!!」
元気よく挨拶をする。そう、先ずは挨拶が基本だ。
「あら、いらっしゃい。ささ、早速ユニフォームに着替えて頂戴!私が手取り足取り教えて上げるわ♡」
店のオーナーである丘さんが出迎えてくれる。周りを見渡すがどうやら客はいない様だ。と言うかこの店に客は滅多に来ない。立地が悪いのだ。だが自分からすれば好都合な仕事先である。
(なんせ、見つかりにくい場所にあるんだからね。)
着替えを済ませ、店長の入るであろうカウンターへと行く。
「着替えたようね!今日は簡単な説明だけだからあまり気張らないでいいわよ♪」
そう言うと店長は簡単な仕事説明をしてくれた。そして今日は店内の掃除だけのようだ。
ちりんちりん
「ただいまーパパー!!」
客かと思い、顔を扉へと向けると同じ学校の制服をした女子高生がそこにはいた。




