夜桜司の高校時代編・中編
「え、いっちゃん!?」
橘京でさえ驚いているぞ。と言うかここに居る全員が唖然とした表情をしていた。
「ふ、ふざけないでくれ!そんなそぶり一度も見せなかったじゃないか!!」
「そうです!先輩が橘先輩といたところなんて見た事なんてないですよ!!」
告白したであろう男子生徒くんと後輩ちゃんが叫ぶ。まぁ確かに怒りたくなる気持ちも分からんでもない。
「いやいやww君たちに京ちゃんと書記ちゃんの何がわかる訳ぇ?」
めっちゃこの人煽りよる。確か、彼女は美人だが性格に難ありだと風の噂で聞いた事があるなぁ。何度も告白をされているらしいが相手は物凄く煽られて散々な目にあっているんだとかないとか。て言うか生徒会の目安箱に何通も悲痛な声が届けれている。
「ねぇ〜書記ちゃんは京ちゃんと付き合ってるよね?」ギロ
うわ、めっちゃ怖!?
「あー...........」
(断ったら殺すって目で言ってるよ、この人........)
あぁもう、承諾するしかないか。
「.................はい」
「ぇ!?」
橘さんも予想外だったのか素っ頓狂な声を上げる。いや、ごめんなさい。僕じゃなくて、貴方の隣にいる悪魔に文句を言って下さい。
「て言うか私達忙しいし行くよ、京ちゃん、書記くん!」
橘さんの手を掴むと、僕の元へと来て目でついて来い言う。本当に強引だな、この人。て言うか初対面だよね。
「て事で本当に付き合っちゃえば?」
空き教室に連れて来られた僕は一さんにそう言われる。橘さんなど先程から怯えた様子で唖然としているんですけど。
「い、いっちゃん!!いつも突然過ぎるよぉ!!」
「だって京ちゃん言ってたじゃん。毎日毎日告白されて大変だって。」
「言ったけど、夜桜くんに失礼だよぉ!!」
以外と名前を知られている事に内心驚く。
「防波堤がわりに書記ちゃんを使えば良いんだよ。だってこの子、優しいふりしてるけど凄いドライだよ。ほら、目を見たら分かるもん。他人に対してどうでもいいと思ってる。」
.....................なんだ、この女。
(苦手だ............この人を見透かしような瞳、そして話し方全てが。)
僕には分かる。これは多分だけど..........同族嫌悪という奴だろう。僕は観察眼に優れているから空気を読んでなるべくトラブルを避ける傾向にある。だけど彼女は自分の王道を進んでいる。だめだ、合わない。
「君に僕の何が分か「分かるよ。だって君、チキンなんだもんwwなんでもわかってるふりをしているだけww書記や副部長やってるのだって無難だからでしょ?そんなんだと、京ちゃんの彼氏役なんて出来ないかぁwwwだって何やっても中途半端な『一般人』なんだからねぇww」
「いいだろう!!!やってやろうじゃないか!!橘さん、付き合おう!!」
(..........................あ)
ヤバい...............イラついて啖呵を切ってしまった。しかもこの女は自分の返答を聞いてニヤニヤとうざったい笑みを浮かべてやがる。
「え、え?...........役だけなら、はい。お任せします、です、はい。」
今から20年以上も前の話だが、これが僕の高校一年生の夏休み明けの出来事であった。
_______『橘京』の彼氏役を演じる事になる。




