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チュートリアル その2

9話目です。ここからテンポよく進めていけたらと思っています。

 「さて、ポラリスの奴がえこひいきしているのがよーく分かったところで、次はいよいよ戦闘チュートリアルに移るぞ。…覚悟はいいか?」と彼女が聞いてきた。


 「勿論!」


 「その意気やよし。んじゃまず、武器を出してみろ。大体みんなそうだが、これも軽く念じれば手の中に出てくる」


 そう言うので(来い)と念じると、一瞬で手の中に槍が出現した。


 「よし、じゃあその辺にモンスターがいるから探してみろ。視界の右上にマップがある。それを見るんだ」


 右上…あ、丸いレーダーか地図みたいな奴がある。


 「そこに光点があるはずだ。自分がその中心になってる。基本、発見するまで敵はマップに映らないが…」


 そこで彼女は言葉を切った。その途端、地図上に赤い光点が2つ出現する。

 

 「今回は特別だ。赤が敵、青が味方や友好NPC、白が中立NPCな」


 地図上では、3時と11時の方向に赤い光点がある。行ってみよう。



 到着。3時の方向にいたのは、一羽のウサギだった。


 ----------------------------------------------------

  ホワイトラビット Lv.1


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 ウサギに視線を向けた瞬間、《鑑定》が発動し、敵のステータスを表示した。というか、いきなりなんだな、これ。


 「よし、首尾よく見つけられたな。次は戦闘だ。武器を構えて、まずは戦ってみろ」


 ついに実戦だ。自然と柄を持つ手に力が入る。ウサギもこちらに気づいている。戦闘は避けられない。


 じりじりと距離を詰めていく。先に動いたのはウサギだった。強靭な後ろ足で地面を蹴って体当たりしてくるのを横っ飛びで躱し、すれ違いざまに強引に身体を捻って槍で薙ぎ払う。


 「ぎゅいっ!」


 槍の穂先がウサギの首をはねる。


 「上出来だ!よくやった」


 どこから用意したのか、缶ジュース片手に観戦モードになっていた彼女が木の上から呼びかける。


 「初めてにしてはなかなかやるな。今みたいに、急所を攻撃するとダメージが上昇する。首を刎ねれば大体の敵は死ぬし、それはこちらも同様だ。急所(バイタルパート)の管理はしっかりやっとけ」


 その言葉を聞きながら、僕たちは残った光点へ向けて歩き出した。





 最後の光点の場所にいたのは、黒い大きな狼だった。

----------------------------------------------------

 ブラックウルフ Lv.5


----------------------------------------------------

 「次はアーツを使ってみよう。アーツは、武器系スキルによって解放される技だ。何、心配することはない。連撃系は自動で身体を動かしてくれるからな。武道や武器の心得が無くとも問題ない。ステータスの《槍術》スキルから、使えるアーツを使ってみろ。もっとも、Lv.1だと使えるのは精々《パワースタブ》位だろうけど」


 言われるまま、ステータスの《槍術》スキルを鑑定すると、

======================

 《槍術》 Lv.1 

  レア度:コモン


  槍の使用に関わるスキル。

    レベルボーナス:槍のダメージアップ(1%)

    使用可能アーツ

      《パワースタブ》0/1000

======================

 こうなった。さらに《パワースタブ》を鑑定。


======================

 《パワースタブ》

  熟練度:0/1000

  リキャスト:25秒

  敵を強力にノックバックする突きを放つ。

======================

 「見えたな?熟練度は一回使うと1溜まって、分母まで溜まると他の武器でも使用できるようになる。んで、リキャストってのが、再使用までの時間だ」


 成程、一度使うと25秒は使えないということか。


 とりあえず、これも念じると発動という事で、いざウルフ戦。今回は背後から不意打ちを狙う。


 15m。奴は気づかない。12m。足音を殺す。まだ気付いた様子はない。10m。まだ気付かない。

 …6m。射程距離に入った!


 (《パワースタブ》ッ!)


 ウルフがようやく気付いてこちらを振り返るが、遅い。既に穂先は黒狼の胴体に食い込み、その身体を大きく吹き飛ばしていた。


 飛ばされた勢いのまま、空中で横に一回転したウルフは、四本の脚で着地し、こちらを怒りの形相で睨みつけてきた。


 「GRRRR…」


 剥き出した牙の隙間から唸り声が漏れる。既にウルフのHPゲージは8割まで減っている。歩いている途中聞いた、スニークアタックというもので、不意打ちのダメージが1.5倍になるというシステムだ。つまり最低でもあと8回は今のような攻撃を打ち込まねばならない。しかも、それはアーツによって発生したダメージもあるから、少なく見積もっても12回は攻撃を打ち込む必要がある。


 ======================

 睨み合いによる均衡はウルフが行動を起こしたことで崩された。


 「グロアアアアッ!!」


 その大きな歯でベディの身体を食いちぎらんとするも、攻撃を予想されて躱された。そして、隙を晒した胴体へさらに一撃!


 「ギャウン!」


 たまらずウルフは尻尾で周囲を薙ぎ払う。ベディは気付いて回避しようとするも、範囲外へ逃れるのは困難と判断、太い尻尾を槍の柄でガード。しかし堪えきれずに後方へ数メートル押し切られた。


 お返しとばかりにウルフが右前足でストンピングを仕掛けてくる。うなりを上げて迫る足を上から迫る足をベディは前転で躱し、懐へ潜り込んで突きを撃つ。1回、2回、3回!


 「ゴアアアアア!!」


 当然、ウルフは腹の下の敵を押し潰さんとボディプレスを仕掛けてくる。

 

 が、ベディは避けない。


 ズシイイイイイン!!!轟音が響き渡る。

 土煙の先にいたのは…地面に身体をつけた黒狼…の身体が不意に光の粒子となって崩れる。そしてそこには、HPが9割ほど削れ、着ている服があちこち傷が入っているものの、槍を天に向け、ゆっくりと立ち上がるベディの姿があった。

いかがでしたでしょうか。皆様の応援がこの作品の養分となります。良かったらブックマーク等していっていただけると幸いです。

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