1日目 悪寒
42話目です。昨日日間ランキングに82位でランクインしてました…!これも皆様のおかげ。今後とも精進いたします。
読み終わった方はどうか下の評価からポイント評価を行っていただけると作者が泣いて喜びます。感想もお待ちしていますのでそちらもよろしければ。
トンネルを抜けた先は雪国だった…なんてことはなく。「…ワオ」空には星空、地には白。実に壮観なり。地平線の先まで白と黒が続くそこに、ベディ以下、イベントに参加するプレイヤー達が…「いない?」明らかに数が少ない。精々、70人位しかいない。…と思ったら。
「当然でーす!流石に全プレイヤーを同じ場所に集める訳にはいきませんからね~!参加者はランダムで別々のサーバーに割り振られているので~す!」
「いきなりデケェ声出すんじゃねぇよ!」
…なんだろう。いきなり特大のウィンドウが僕らの頭上に出たと思ったら、そこに映った小柄な女性が勝手に大きな声出して不健康そうな男性に怒られてるんですが。
「全く…取り敢えず自己紹介と行くぞ。改めて、いつもアナザーをプレイしてくれてありがとう。俺はGMの立花だ。んでこっちが相方の」
「ハーイ!今回皆さんを見守る傍観者の橘でーす!ヨロシクー!」
GMだったのですね、この人たち。とても第一印象ではそうは見えなかったけども。…ていうか、書きが違うだけでどっちも「たちばな」さんなんだ。職場で大変そうだな。
「さて、みんなそこまで悠長にあたしたちの悪ふざけに乗ってくれるとは思えないのでさっさとイベントの内容を説明しまーす」
そんな事考えてる内に橘女史がおちゃらけた雰囲気をさっさと脱ぎ棄てて真面目な顔をする。ようやく説明が始まるようだ。
「今回、皆さんにはある島に行ってもらいます。丁度このゲームの舞台になっている大陸の西端にある島ですね。大きさは大体…佐渡島くらいかな?取り敢えずそこで一週間過ごしてもらいます。そしてそこで発生したクエストを攻略し、最終的にその島の抱える『秘密』を解き明かすのが本イベントの大まかな流れとなります」
「まあ、人里もあるので彼らの力を借りるのも手だな。あと、このイベントはサーバー間での対抗戦でもある…詳しく説明すると、クエスト攻略度やお前らの行動…内訳は内緒だが、とにかくそれらを個別に評価して、ポイントを加算していく。その合計値が一番高かったサーバーが優勝だ。それと、個人でも同じ事をやるぞ。それぞれ優勝すると良いことがあるから頑張れお前ら」
えらく大雑把な説明だこと…
「確かに大雑把なのは否めん…でもここは設定上、異世界って事になってる。現実世界で『この先どうなるか』なんざフタ開けてみなけりゃ分からんだろ。それと同じだ。これ位大雑把でちょうど良いのさ。それに…その方がワクワクするだろ?」
そりゃそうですけどねぇ…ハァ。ま、他の皆様方は『上等だ』みたいな顔してるからこれで良いんでしょうね。
「説明としてはこんなもんだ。質問は…無いな?よしよし…ああそうそう、これはあまり関係ない話だが、このゲームは常にプレイヤーが不正を行っていないか専門のAI達がチェックしている。βの時あまりにも騒ぐアホがいたんでな…ハード側でも何か良く無い物が接続されないようにギチギチにセキュリティを固めてるから、チートだなんだとゴネても無駄だってことを一応伝えておくぜ」
そう言い終えると立花さんがこっちを見た。…もしかしてフォローしてくれた、のかな?
チラっとそんなことを考えていたが、どうも時間のようだ。
「はいはーい!それじゃ時間もあまりないことだし、早速舞台となる島に行ってもらいまーす!とりあえず集落の周りに落とすから、あとは自分たちで何とかしてね。それじゃ、いってらっしゃーい!ポチっと!」
橘さんがどこからともなく現れた巨大なハンマーでこれまた巨大な赤いボタンを殴り付ける。その瞬間、僕たちは光の中に放り出されて…!
「…」
…どこが人里近くやねん。とガラでもないツッコミをしてみる。らしくないって?眼を開けたら見渡す限りの木々と草花以外の物が視界に入ってたら僕もそんなことは言わなかった。だが現実は非情である。
(…ハァ~ァ…これはアイテムマップで推測しながら行くしかないか。人の生活圏にはアイテム分布も減少するだろうし…)
きっと島のどこかに自然産出アイテムが極端に少ないエリアがある筈。そこを辿れば人里…それか人の痕跡に行きつくはずだ。そう考えてアイテムマップを開こうとした瞬間。
「~~~ッ!!!!!」思わず振り返る。
(なんだ…今のは…⁈)
よく「背筋が凍る」って言うけどその程度じゃない。例えるなら背筋に液体窒素を流し込まれたような感覚。それが今全身に走った。
「シュウウ…?」
余程酷い表情だったのか、レイが心配そうにこちらを窺ってくる。
「大丈夫だよ…大丈夫…」
レイも気づいてない…というか、『何も感じてない』…ということは、やっぱりそういう事なんだろう。この島には何かがある。それも、絶対にろくでもないと自信をもって言い切れる『何か』が。
「…上等じゃないか」
そう言って僕は歩き出す。まずは人里を探すための手掛かりを探して、人を見つけたらこの島の事を聞いてみよう。
僕の長い長い一週間が始まった瞬間だった。
いかがでしたでしょうか。皆様の応援がこの作品の養分となります。良かったらブックマーク等していっていただけると幸いです。




