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イベントスタート

41話目です。これから一回主人公のステータスを挟んで、その次からイベントスタートです。もう少しお待ちを…


そして、これからこの小説を読むという方、読み終わったらでいいので良かったら下の「感想」にて感想お待ちしております。

 「で、これからどうすんだ?久々に稽古をつけてやろうか?」「勘弁してください。吹っ飛ばされるだけだって分かってるでしょ。それにこれからあと6か7はレベルを上げなきゃ」




 そんなやり取りからリアルで数時間。時刻は夜9時。既に風呂に入って寝る準備は万端。e-sphereには仮想空間で入眠すると自動でログアウトする機能がついてるので、ゲーム内で眠れば起きたら現実世界なのである。今回はその機能を使って寝るギリギリまでレベリングをしようと言う訳である。「さて、目標まであと少し…やるとしますか」



 「シャアアア!!」場所は始まりの町の北側にある岩山。その山の中腹には僕がよく採掘に行く坑道がある。ここはかつて、希少鉱物を産出する鉱山として使われていたが、ゴブリンやコウモリ等のモンスター達が複数出現するようになって一般の立ち入りが禁止されたんだそうな。で、今回はそこで増えすぎたモンスター達を掃討するクエストを受けて、そのついでにレベリングを行おうと思った、んだけど…


 「シャァァァアアア!!!」レイさんがなんかいつにも増して荒ぶってらっしゃる。なんかあったんでしょうか。


 ーお前が撫でてやったからじゃねぇか?


 …いやいやいや、まさかぁ~。でもそれくらいしか特別なことしてあげてないのも事実…「シュアアア!!!」あ、なんかゴブリンの親玉っぽい奴が絞殺された…


 今回一番強くなったのは彼女だろう。どうも以前のボス戦で活躍できなかったのが不服だったのか、それとも悔しかったのか、それを伺い知ることはできないけど、とにかく必死に…それこそ5,6回死に戻りながらもレベルを15まで上げてきた。そのため、今の彼女は以前とはまるで比較にならない程に強くなっている。


 (なんで張り切ってるか知らないけど…こっちも負けてられない…!)目線の先にはレイが討ち漏らしたゴブリン共。「アキ、準備は?」


 -いつでも行けるぜ。


 「じゃあ行くよ、《ブランチ》!」「っしゃあ!行くぜぇぇぇぁぁぁ!!」









 そして、数日後の2034年7月10日。


 「ただいまー!」


 -おう、お帰り~。


 ・・・おかえりなさ~い。


 ~お帰りなさい、お兄ちゃん。


 +++…お帰り。


 ドアを開けたとしても誰もいない。しかし彼の頭の中にはいつだって複数の男女の声が反響する。


 ー今日のイベントって何時からだったかね?


 「6時!」そう言いながら彼は鞄を椅子に向かって放り投げ、自分はもう一方の椅子に座って携帯でニュースサイトを読み漁る。ニュースサイトのはしごは彼の日課であった。


 「『賛成5分の4 内閣不信任可決』『永田町震撼 国会のドン逮捕へ』『警視庁 トップ引責辞任』…またやってるねこのニュース」


 ー仕方ないだろ。それだけのことしたんだから。因果応報だよ因果応報。んな事より勉強は?テスト大丈夫か?


 「だーいじょうぶだって。最悪丸暗記するから…小論も対策澄んだし…」


 ・・・ねーねー、イベントって、何やるの~?


 「うん?それがよく分かってないんだよ。公式サイトを見てもあらすじは無し、イベントの概要しか書いてなかったからね。もういっそ潔いくらいだ」


 ・・・がいようって?


 「ゲーム内時間で一週間、専用の場所で過ごしてもらうこと、その間時間が加速するので実際には1時間しか経たないので安心して欲しいって内容かな」彼自身、これで大丈夫か?と言いたくなる内容であったが、これが公式発表なので仕方ない。










 そして、約一時間半後。


 「さて、と…」ベディの姿は始まりの町にあった。他のプレイヤーと思しき装備の者達も落ち着かない様子だったが、その瞬間を今か今かと待ち構えていた。


 (レベルは上げられるだけ上げた、道具も武器も食糧も万端。レイも強くなった。…行ける!)彼が最終確認を済ませたちょうどその時。


 「…あれは?」西の空から大量の鳥が編隊を組んで飛んでくる。それを彼が認識した瞬間、そのうちの一羽が群れから外れ、彼の下へと急降下した。「ぶつかるっ?!」一瞬身構えるが幸いにもそれは杞憂に終わる。


 鳥は徐々に速度を緩め、最後は彼の眼前でホバリングした後、彼の頭の上に止まった。「シュゥゥ…」レイが殺気全開で威嚇するのを横目に、鳥はベディの肩に移り右足を突き出した。


 「なんだ…びっくりした…」鳥に全力でガンを飛ばすレイをそれとなく諫めながら、ベディは鳥の足に結わえ付けられていた手紙を取る。


 彼が羊皮紙を開くと、どこからともなく羽根ペンが彼の手に現れる。彼は一瞬驚くも、すぐに冷静になって羊皮紙に視線を戻した。そこにはこう書かれていた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 拝啓 プレイヤーネーム:Bedi様


  いつもanother world chronicleをプレイしていただきありがとうございます。


  この度、第一回公式イベント「モンスターアイランドと恵みの村」の開催をお知らせすると共に、イベント参加へのご案内をお届けさせていただきます。


  イベントの内容、クリア条件等は参加表明後に行われるGMからの説明にてなされます。


  なおイベント中、プレイヤーの皆様には体感で一週間、ステージとなる島で暮らして貰いますが、その間現実時間は一時間程しか経過しません。ご安心ください。


  これらを踏まえて、イベントに参加するかどうか決めてくださるようお願いいたします。



   イベントに参加するのであれば、下の署名欄にプレイヤーネームをお書きください。

   (不参加の場合、焚き火にくべるなりご自由にどうぞ)



     ━━━━━━━━





  P.S.

   佐賀美様、アナザーをプレイして頂き誠にありがとうございます。また、ご不便をおかけし大変申し訳ございません。

   現在、専門のチームを設立し調査に当たっていますが、佐賀美様のアバターに発生したバグについて私どもの方ではほとんど何も分かっていないのが現状です。

   そのため、e-sphereの開発元であるエンデュミオン社に問い合わせを行いました。

   進展がありましたらお知らせいたしますので、何か異常を感じたらすぐにGMコールを行って頂きたく存じます。

      


   another world chronicle運営開発室 室長 吉岡

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 書かれていたのはイベントの案内と、彼への謝罪。「そっか………ま、気長に待つとしよう…僕じゃどうしようもないことだし。…それじゃ」書くか、書かないか。そんなこと聞くまでも、言うまでもない。


 彼が署名を終えた瞬間、けたたましい羽ばたきと共に鳥が飛びあがった。それと同時に羊皮紙がみるみるうちに巨大化していく。そしていつの間にやらそこには文章ではなく、精巧な扉の絵があった。


 (ギイィ…ィ…)


 きしんだ音を立ててドアが開く。その先は真っ白で何も見えない。だが、それがどうした。「よし、行こう!」「シャァ!」そうして、二人は光の中へと飛び込んでいったのであった。

いかがでしたでしょうか。皆様の応援がこの作品の養分となります。良かったらブックマーク等していっていただけると幸いです。

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