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オトギ生活 〜オッサンだけど異世界《トンデモナイトコロ》に来てしまった。どうしよう〜  作者: 風炉の丘
雄斗次郎の長い一日 第3章 王国内地下迷宮にて全滅した探索者の定例回収業務
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3-23 出発

「司祭様からの愛の指示書によりますとですね~、今朝、バルカスお父さんが教会に訪れた際に、ナノミノノ妖魔窟の最新情報を提供していただけたそうです~。どうやら昨夜から家族でこの妖魔窟に潜っていたみたいですね~♪

 ところでお父さん、良いニュースと悪いニュース、どっちから聞きたいですか~?」

「最初は良いニュースで」

「なんと~! ありがたい事に、バルカスお父さんが全滅パーティーの位置を地図に書いてくださりました~♪ 石像探しの手間が省けて大助かりですね~♪」

「じゃあ悪いニュースは?」

「なんとなんと~、全滅パーティーが2組も増えやがりました~! 合計6組も回収しないといけませ~ん! これも神の与えたもうた試練ですけど~、すっげ~面倒くさいですね~!」

「それで全部ってことはないよな? あのバルカスって人、良い人そうだとは思うけど、タダで情報を提供するほどのお人好しには見えなかったぜ? 何か頼まれたんじゃね?」

「さすがはハナナさん、察しが良いですね~♪ 息子のフランツ君の指を探してほしいんだそうですよ~♪」

「あ~~、そう言えば、あのガキンチョ『ボクの指がない』ってメソメソしてたっけ。情けねぇよなぁ」

「え~~~~~! 何言ってるんですか~~~! そこがかわいいんじゃないですかぁ~~~♪ 護ってあげたくなりませんかぁ~~?」

「いや、ぜんぜん」


 ハナナちゃんは同世代には興味ないのか。いや、年上にしか興味ないのか?

 一方でナリザさんは、全方位ストライクゾーンって感じだ。私みたいな娘だな。


「それではナリザは予備の小箱を取ってきますので、一旦小屋に戻ります~。

 お父さんはジャックさんにロウソクをセットしておいてください~」

「了解しました」

「ハナナさんは、え~~っと………特にやる事も無いので、お父さんを死守していてください~」

「言われるまでもねーよ」

「ああそうだ! ナリザさん、ちょっと待って!」

「なんですか~お父さん?」

「予備の小箱を入れる袋ってありませんでしたよね? 良かったら私のリュックを使ってください」

「え~~~!! いいんですか~~~♪ ありがとうございます~~~♪♪」


 大きなリュックに入れておいた私のリュックを取り出すと、ナリザさんに手渡した。お弁当は全部食べ尽くしたので、中身は空っぽだ。


「すご~~い♪ これってガングワルド製なんですよね~~♪♪ ありがたくお借りします~~♪」


 初めてランドセルをもらった小学生のようにはしゃぎながら、ナリザさんは急勾配を手も使わず、軽々と登っていった。オトギビトの身体能力ハンパねーッス!

 私は大きなリュックのサイドポケットから、ロウソクの箱を二箱取り出した。箱を開け、中に入っている緑色のロウソクを一本ずつランタンにセットしてゆく。

 カボチャ頭のランタンは、後頭部に当たる部分にロウソクが5本収納できるホルダーが付いている。ロウソク立ての1本を加えると合計6本。ロウソクは1本約二十分で燃え尽きるから、全部使えば2時間経過した事がわかる訳だ。

 ロウソクをセットし終えた頃、ナリザさんも戻ってきた。早いな。走ってきたのだろうか。


「いや~~、お父さん~♪ このリュックすごく良いですね~~♪ 肩ヒモのフィット感がハンパ無いですよ~♪ 荷物の重みが全然苦になりません~♪ さぞかし有名な名工の逸品なんでしょうね~♪」


 セールで買った安物なんだけど……まあ、喜んでもらえて幸いだ。

 よっぽど気に入ったのか、それとも私の荷物を増やさないための配慮か、ナリザさんは私のリュックを背負ったまま迷宮に潜る事となった。

 ちなみにハナナちゃんは防具のチェストプロテクターが邪魔をするので、私のリュックは背負えなかった。もしもの時のガードはよろしくな。


 さあ、今度こそ全ての準備は整った。後は緑のロウソクに火を灯すだけだ。

 ところでどうやって火を付けるのだろう? 魔法か? 火打ち石とかつかうのか? …と思ったら、ナリザさんが懐から百円ライターを出してきたのでズッコケそうになる。

 風情も何もあったものではないが、オトギワルドとガングワルドは不定期ながら頻繁に繋がっているのだから、安価で手に入る小物が流通していても、何ら不思議はないのだ。

 ナリザさんは私が用意した3本のロウソクのうち、1本を半分に折り、それぞれに火を付けてランタンの中のロウソク立てにセットする。


「ランタンを二つ以上使う時は、いつもこうするんですよ~♪ うっかり交換を忘れて火が消えても、もう片方が残っているでしょ~?」

「なるほど、あらかじめ時間差にしておくわけですね。……それにしても」

「えへへへ〜♪ 凄い匂いでしょ~~♪」


 印象としてはアロマキャンドルのような優しい匂いだった。ただ、かなり濃厚というか、濃密というか…。匂いの濃度が高すぎてかなりキツイ。この匂いが苦手なら、妖魔じゃなくても逃げ出しそうだ。


「お父さんもハナナさんもランタンは持ちましたね〜♪ それでは、しゅっぱ〜つ♪」


 その直後だった。

 迷宮の奥底からけたたましい悲鳴が響いたのは。

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