3-15 まったり
私は涙目になりながらも必死に完食し、慌ててペットボトルの水をラッパ飲みする。奇しくもペットボトルは500mlを3本入れていたので、同じく涙目のハナナちゃんとナリザさんにも渡してあげた。
「クハ〜♪ 助かりましたお父さん。それにしてもガングワルドのお水って美味しいんですね〜♪ 貴重なものをありがとうございます~♪」
「お、おう」
すまぬ…。すまぬ…。それはこの国の、ただの湯冷ましなんだ……。でも今更本当のことは言えない。
「残りはあと四つ…。なあオトっつぁん。ホントの所、当たりはあといくつあるのさ」
「いや、マジで分からん。普段の事故率は大体3割だけど、すでにオーバーしちゃってるし。今回は過去の統計は当てにならないみたいだ」
「当たりがあるかなんて〜、食べてみれば分かる事デスよぉ♪ 二つ目選んじゃっていいですか〜?」
「いいよいいよ。二人とも選んでちょうだい」
「よおっし! 勝負だナリザァ!」
「望むところですわねっと♪」
二人が選んだ後に私も一つ選ぶ。はたして、残り物に福があるか?
油紙の包みを外すと、黒パンをスライスして作ったサンドイッチが現れる。それを両手でしっかり掴むと、口元に近づける。準備完了だ。
「二人とも、準備は良いかな?」
「良いともさっ!」
「良いですよ〜♪」
「じゃあみんなで一緒に。いっせーの、せっ!」
はむっ
やった! ハズレだ! 普通に美味しいぞ! さて、二人はどうかな?
二人を見ると、どちらも幸せそうに食していた。ということは全員ハズレか。よかった…。
いや、ちょっとまて! 全員当たり一つでハズレ一つってことは、まさかのドロー?
最悪の事態じゃないか! 二人とも大人しく席に着いているが、早くも野獣のような目で牽制し合ってる! このままでは、たった一つのサンドイッチで仁義なき戦いが始まってしまうぞ! その先にあるのは………ハルマゲドンか!?
どうしよう! どうすればこの場を収めることが出来るんだ! 何か、何か方法は……
あれ? ちょっと待てよ……
私は最後に残った包みを外し、サンドイッチを出す。上に乗せている黒パンを外すと……緑色のペーストが惜しげもなくたっぷりと塗られていた。
「え〜〜〜っと……。この当たりサンドを食べたい人〜♪ いたら手を挙げて〜♪」
この瞬間、サンドイッチ最後の一つは、ボルゴ荘に持ち帰ることが確定するのだった。
「お父さん、ステキな昼食をありがとうございました〜♪ ナリザ楽しかったです〜♪」
「楽しんでもらえたなら何よりですよ」
「もらいっぱなしでは申し訳ありませんので〜、これを受け取ってくださいまし〜♪」
「このブロック菓子は……」
「教団で作っている携帯食です〜♪ 味は残念なカンジですけど〜、日持ちも良いですし〜、栄養価も高いんですよ〜♪ 教団秘伝のお薬も入ってますしね〜♪」
「へ〜〜〜。ありがとうございます! 今度小腹が空いた時にでもいただきますね♪」
パッと見た感じ、カロリーメイトみたいだ。正確には、スコットランドの伝統的お菓子ショートブレッドみたいだと言った方が良いのかもしれない。それにしても教会秘伝のお薬とは何だろう。怖いような楽しみなような…。
「さて、まったりとした時間を過ごして、お腹も気力も充実したってカンジですね〜♪
筋肉と交わした約束の一時間もとっくに過ぎてしまいましたし〜♪ そろそろお仕事始めるとしましょう~♪
ハナナさん。お父さん。準備はよろしいですか〜?」




