表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/126

2-13 変態という名の紳士

よし、何とか更新。これで5日連続更新です。

「ボロ靴はアタシが責任を持って預かるとして、その間はどうするんだい? 裸足じゃ可哀想だし、仕上がるまで代わりの靴を貸そうか?」

「いやいや、せっかくですし、買わせていただきますよ」

「男物の靴はそこの二箱だけだから、荷台から降ろして勝手に探しておくれ」


 ククルリさんは接客どころではないって感じで、婦人靴の展示を再開する。商品を荷台に置いたままでは商売にならないのだ。私とハナナちゃんは商売の邪魔にならないよう奥に入り、荷台から紳士靴の入った木箱を一つ降ろす。


「なんだよ、ろくなのが無いじゃん。おばちゃんよう、商売する気あんの?」

「女だらけの朝市じゃ男物なんて大して売れないんだよ。あんた達みたいな例外も希にあるから、最小限持っては来てるがね」

「ごめんハナナちゃん、もう一つの箱も降ろしてくれる?」


 こっちの箱には、サイズの小さい靴しか入ってなかった。大きい靴は、多分もう一つの箱に入っているのだろう。


「あいよっと」


 ハナナちゃんがドスンと降ろしてくれた木箱を開けてみると、もっと小さな靴が出てきた。あ、あれ?


「おばちゃん、これ子供靴だよ!」

「ああそうそう、朝市は主婦も多いからね。子供靴も一箱持ってきてたんだった。男物はもう一箱どっかにあるはずなんだけどね。女物の箱に混ざっちまったかな?」

「女物って、残りの箱全部じゃんかよ。しょうがねぇなぁ…。オトっつぁん探そうぜ」

「すまんハナナちゃん、ちょっと待ってくれるか」


 私は必死に思い出そうとしていた。確か…確か…これくらいのサイズのはずだ。くそっ! 今朝も堪能したばかりだというのに、なんということだ! どうしても確証が持てない。しょうがない。一回り大きい方にしよう。


「ククルリさん、これを売ってくれ」

「子供靴? そんなもの、どうすんだい」

「下宿先の管理人さんにかわいい娘さんがいるんだけど、冷たい床を裸足で歩き回るから、今朝はとうとう風邪を引いちゃってさ。だから上履き用にと思って」

「ふーん。下宿先の娘さん……ねぇ」

「そう。リナリアちゃんって言うんだ。年齢は8歳だったかな」

「へ〜〜〜。名前も付けてるんだぁ〜〜」

「は?」


 どういうわけか、ククルリさんがニヤニヤと微笑んでいる。私、何か変なこと言ったか?


「おハナや、いいこと教えてあげる♪」

「え? おばちゃん、なに? なに?」

「男はね…、男って生き物はね……、誰もが『変態という名の紳士』なんだよっ!」

「ヘ、ヘンタイという名の……シンシっ!?」


 ククルリさん……。

 貴方は一体何をおっしゃってらっしゃるのですか? 否定はしないけど。否定はしないけどっ!


「おハナ、ちょいと昔話をしよう。アタシが冒険者してた頃、パーティにムキムキマッチョマンな戦士がいた。

 そいつには妹がいてね、一仕事して稼いだお金で、かわいい服やアクセサリーを買ってプレゼントしてたんだ」

「へ〜〜。良い話じゃん」

「ところがこのマッチョマン、実は一人っ子でね。妹なんかいなかったんだよ」

「それってどゆこと? 義理の妹とかなの?」

「女装癖があったのさ♪」

「ええええええええええええっ!!!!!!! そ、それはつまり、どういうことだってばさっ!!」

「つまりこういうこと。

 仕事を頑張った自分のご褒美に、女物の服やアクセサリーが欲しい。

 でも本当のことは誰にも話せないし、女性店員から買うのもかなり恥ずかしい。

 だから『自分にはかわいい妹がいる』というカバーストーリーを作り、みんなの前でずっと『妹のために仕方なく買っているお兄ちゃん』を演じ続けてきたのさ♪」

「へぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪ そうなんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

「だからおハナや。知り合った男がヘンな趣味を持っていても、寛容の心を持って接してあげないといけないよ♪」

「分かったよおばちゃんっ! すげぇ勉強になったよっ!」


 へぇ〜。ムキムキマッチョマンのヘンタイさんも可哀想に。他人に理解されない趣味や性癖を持つと苦労するよなぁ。同情するよ。女装癖は一切理解できないけど。

 ………あれ? おかしいな。二人がジト目でニヤニヤしながら私を見てるぞ?


「何よ二人とも…」

「いやぁ♪ オトっつぁんからリナリアちゃんのことよく聞くけど、そういえばアタシ、リナリアちゃんに一度も会ったこと無いなぁって思ってさ♪」ニヤニヤ♪

「当たり前だろ。リナリアちゃんは病弱で、屋敷から外に出たこと無いんだぞ」

「へぇ〜〜。オトジっち、こりゃまた上手い設定を考えたね〜」ニヤニヤ♪

「設定って……。いや、リナリアちゃんはいるぞ?」


 ニヤニヤ♪ ニヤニヤ♪


「だから、リナリアちゃんは本当にいるってば」


 ニヤニヤ♪ ニヤニヤ♪


「リナリアちゃんは実在します〜〜〜っ!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ