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【プロローグ】"全て"の始まり
世界が創られた、その時代から。
まだ人間が世界のすべてを知ることもなく、山にも川にも名前がなかった頃から、二人の存在はそこにあった。
ヒメ。
ミコト。
人間たちは、時代が移り変わるたびに二人へ様々な名前をつけてきた。
神。
妖精。
妖怪。
あるいは、それ以外の何か。
けれど二人にとって、それらは人間が自分たちを理解するために勝手につけた呼び名に過ぎなかった。
「神様になってほしい」と言われれば、神様として振る舞う。
「妖精として守ってほしい」と言われれば、妖精として振る舞う。
それを拒む理由もなかった。
ただし、二人は人間を支配しなかった。
人間の営みを眺めるだけでもなく、その中に混ざって暮らすことを好んだ。
畑を耕す。
食事を作る。
山へ行く。
人間たちと一緒に働き、一緒に笑う。
二人には植物を操る力もあった。
田畑を豊かにすることなど、二人にとっては難しいことではない。
けれど、それをすることはほとんどなかった。
人間が鍬を持って畑を耕すなら、自分たちも鍬を持つ。
人間が汗を流して収穫を喜ぶなら、自分たちも同じように喜ぶ。
その時間そのものが楽しかったからだ。




