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花の想ひ出  作者: 栖旅アヲ


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9/22

花の傷

「いやちょっとくらい待ってよ?!」


椿希が叫ぶ。


でも骸華は待たなかった。


増えた黒い腕が一斉に伸びる。


「散れ!」


丹奈が大槌を振る。


ゴッ!! と轟音。


一本を叩き潰す。


黒い花弁が爆ぜる。


でも横から別の腕。


速い。


「丹奈!」


桜子が飛び込む。


桜色の細剣が閃く。


腕が切断される。


黒い花弁が宙へ舞った。


けれど。


切った腕が、地面で蠢く。


「うそ……」


朝佳が息を呑む。


切れた黒い腕が、灰色の花弁を撒き散らしながら再生していく。


「増えてない?!」


雪羽が引きつる。


「最悪!」


ワイヤーが夜空を走る。


ピン、と張る。


雪羽が飛ぶ。


その後ろを柳羽が掴む。


二人の身体が一気に加速した。


しゅるるるるっ!!


骸華の周囲を高速で回る。


「柳羽!」


「分かってる!」


薙刀が黒い腕をまとめて薙ぎ払う。


ザザッ!!


黒い花弁が吹雪みたいに散った。


「よしっ…!」


しかし別の骸華が一気に前へ出る。


狙いは朝佳。


「朝佳!!」


朝佳が弓を引く。


でも近すぎる。


間に合わない。


黒い腕が振り下ろされる。


「っ!!」


キィン!!


黄色い鉄扇が割り込んだ。


菊音。


長い袖が舞う。


「下がって」


静かな声。


菊音が扇を回す。


黄色い花弁が広がる。


次の瞬間。


骸華の腕へ無数の裂傷が走った。


黒い花弁が散る。


朝佳が後ろへ下がる。


「ありがと……」


「気を抜かないで」


菊音は骸華を見たままだった。


その横。


梅依が低く走る。


白梅色の鉤爪。


地面を蹴る。


懐へ潜り込む。


突き刺す。


ギンッ!!


止められた。


まただ。


骸華の腕が鉤爪を掴む。


「っ……!」


近い。


黒い顔。


その瞬間。


ザァッ!!


青紫の刃が横から走った。


紫陽。


鎌が骸華の腕を切断する。


黒い花弁が舞う。


梅依が距離を取る。


「……助かった」


「うん」


紫陽は短く返した。


その時だった。


骸華の身体が、大きく脈打つ。


嫌な音。


ぐちゃ、ぐちゃ、と。


「……なに」


桜子が細剣を握り直す。


骸華の胸元が裂ける。


中から見えたのは。


無数の“手”。


人間のような手だった。


黒い花弁に埋もれながら、蠢いている。


全員の動きが止まる。


「きも……」


椿希が顔をしかめながら言う。


その手たちが、一斉にこちらへ伸びた。

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