two.
「やっと……苦節20年……長かった……本当に長かった。
だが、私にかかればこんなもの!さあさあ、イヴよ起動してくれ!」
10歳前後の可愛らしい女の子。セミロングの髪の毛は黒くゆるいウェーブがかかっている。
目も髪に合わせて黒く、二重に、肌は対照的に白く。
年相応の可愛さを持ったイヴ、これなら最初はみんな油断するだろう。
それに、なんたって、材料が大人の2/3で済む!
「おはようござイます、マスター。イヴの起動が完了しましタ
現在、異常個所、不具合ありません」
無事に起動完了か、後は動作確認だな。私はイヴの力を見るため大きな岩の前まで連れてきた。
この岩があるために湧水を取りに行くまでに大分遠回りをしているからな。
力を見るにもちょうどいい。
「さあ、イヴこれを壊しておくれ」
「ハい、マスター」
岩の前まで行くと自分の倍以上もあるものを軽々持ち上げると、少し広めの空き地まで持っていく。
まるで空箱を持つように持ち上げるので、岩に見せかけた発泡スチロールなのではないかと疑ってしまった。
ドスンと大きな音を立てておろした後は、あり得ない程のジャンプ力で真上から垂直に手を振りおろす。チョップで。
ストン、アイスをナイフで切ったかのように真っ二つ。
ストン、ケーキのスポンジを鋏で切ったかのようにまた二つ。
ストン、生クリームをフォークで裂いたようにまた二つ。
ストン……ストン…ストン……
最後は上に乗って足踏み。土の空き地が砂利で敷き詰められた。
「マスター、終了でス」
イヴに声をかけられて口が開いていることに気付いた。
「あ、ああ、じゃあ家に帰ろう」
「はい」
帰り道、やはり私は天才だと確信した。