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【完結】大天使ガブリエル、地上に爆誕!〜神の命がふんわりすぎて、祈ろうとしたら迷子になりました〜  作者: 久茉莉himari


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【3】お姫様抱っこ、雷事案になる

日が暮れ、ヴェネツィアは金色に沈んでいく。

街は水面に映る外灯の光に抱かれ、夜風は水を撫で、鐘楼が遠くで一度だけ鳴った。

――この光景は、まるで天が地上に垂らした聖歌の断章。


が。


まだ!?

まだ喋るのか、ルシアンよ……!!

人間の時で二時間以上、ずっと私を褒め称え続けているではないか!!

よくもまあ、そんなに私を持ち上げる言葉を見つけられるな……。

素直に関心する……私も語彙力強化しようかな……って!


なぜだ、人間たちよ!

なぜその小箱スマホを掲げ、私とルシアンを撮り続けている!?

まさか……この退屈な演説が人間どもに刺さっているとでも!?


それに、足が痛い!

恩寵でカバーしてはいるが……これは神の尊き"ピンヒール"という試練なのか!?


そこへ、通りがかった女の子二人がキャッキャと声を上げた。


「アンジュさーん!

もし良かったら彼氏さんにお姫様抱っこしてもらって下さーい!」


「私たちアンジュさんの大ファンなんです!

SNSも全部フォローしてます!

ランジェリーもブランドで揃えてます!」


……アンジュ……!?

ハッ……!!

ル・シ・ア・ン……!

お前は……!!


ガブリエルはピンク色の唇をきゅっと結び、低く告げた。


「……ルシアンよ。

そなたの気持ち、しかと受け取った。

だが――そなたの過ち、私が見落とすとでも?」


ルシアンの恩寵がわずかに震える。


「……過ち、でございますか? 私のガブリエル様への尊敬の念は……」


「ルシアンよ。私は器の中におる。

ならば器の名で呼ぶべきではないか?」


その威厳に満ちた声に、ルシアンは即座にひれ伏した。


「流石……ガブ……アンジュ様!

その通りでございます!

新たな教えに、私の心は歓喜で震えております!」


………勝手に震えてろよ!!


この私、大天使ガブリエルの聖なる恩寵が人間に漏れている可能性があるの!

そうなれば確実に神の雷が走る!私は消える!

困るでしょ!?

ルシアンも!人間も!地獄も!天界も!

あの承認欲求モンスター大天使どもも!!

全方位的に困るでしょーーーーー!?


するとルシアンが神妙な声で言った。


「以前、アンジュ様は私に"ルッキズム"を理解せよとありがたい教えを下さいました」


あー…ハイハイあれね!!

と、ガブリエルが思った瞬間、ガブリエルの身体が宙に浮いた。


「私は今の人間の言葉で"お姫様抱っこ"を習得いたしました。

これで、無礼をご容赦下さいませ」


………ルシアン、お前は本当に真面目が過ぎるな…


ガブリエルが呆れている間にも、ルシアンはスタスタと歩みを続けた。





どこまで行くんだろ……???


ガブリエルはルシアンの腕の中で一瞬そう考えたが、もうその考えは捨てた。


どうせ…

どこに行くのだ?とか訊いたら訊いたで

「これはご無礼を…!まずは私の懺悔を…!」とか言い出すからな…ルシアンなら…

普通に真面目な天使っていないのか!?


すると、ルシアンがふわりとガブリエルを地面を下ろした。


そこは壮麗な屋敷の玄関。


ルシアンは重厚な扉を開け、「どうぞ。ガブリエル様」と頭を下げている。


質問をすると千倍になって返ってくるので、ガブリエルは「うむ」とだけ返し、地球の重力に逆らえないボディをゆさゆさと揺らしながら屋敷に入った。


中は真っ暗で、全ての家具に白い布が掛けられていた。


ポツンと部屋の隅にあるクローゼットだけには布は掛けられていなかったが。


ルシアンはというと――


扉を締め、神妙な面持ちでガブリエルに向かって立っている。


ガブリエルは仕方なく、布の掛けられた椅子に優雅に座り、長すぎる完璧なラインの足を組むと、「何だ?」と訊いた。


訊きたくは無かったが、ルシアンの様子見るに、自分が問わなければルシアンは何時間も――そう、何日でも立ち続けるからだ。


ルシアンがさっと跪く。


「アンジュ様に出会えて幸運でした。

私はこれからエチオピアのダナキル砂漠に、聖なる祈りを捧げに行くところだったのです」


ガブリエルのブルーの瞳が僅かに細められる。


聖なる祈り…

祈りの場か……!!

大天使ルシアンが祈る場なら、私にも相応しいのでは…!?


でも――

もし、間違っていたら…雷が…!!


ガブリエルがボソッと呟く。


「なるほど…。

素晴らしき、神の命…。

私も祈りを捧げてみたいような………」


よし!雷は落ちて来ていない!


「聖なる祈りを捧げてみようかな〜…とか…。

ダナキル砂漠で……」


うん!いいぞ!雷は走らない!……ならば!


ガブリエルがすっくと立ち上がる。


はらりと舞う白いコートの中から覗く真っ赤なランジェリーは、真っ暗な部屋の中ですら輝く。


そして、ガブリエルの威厳のある声が響いた。


「大天使ルシアンよ!

この私、大天使ガブリエルも彼の地で聖なる祈りを捧げようではないか!

神の使命を我らで果たすのだ!」


ルシアンはもう言葉にならず、感動に打ち震えていた。





――その頃地獄の王の間では。


尊い……!

ルシアンのお姫様抱っこ…!

クローゼットまで案内するその真剣さ……!

つまり、これは本気の恋ッ!!


ズッ友として、この奇跡を見守るだけなんて――俺様には出来ない!


俺様はリリカルに立ち上がった。

ブランドロゴだらけのリュックを背負い、中身はただひとつ――ジャパンのお菓子。


これぞ俺様の第1の秘策……!

世界を揺るがす恋の武器!


「待ってろルシアン!お前の初恋、俺様が蒸留してやるっ!!」

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も17時更新です☆


Xはこちら → https://x.com/himari61290

自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪


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『最強捜査官』本編 → https://ncode.syosetu.com/n2892lb/

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