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前編

「エリー、キミとは婚約を解消する」

「え!?!?」


 突然愛する人からの婚約破棄。

 何がいけなかったのだろうか。何か粗相してしまったのか。考えてもわからない。

 この日は婚約者である第一王子のブレア様とわたくしの庭でお茶会をしていた。先ほどまで楽しくお喋りもしていた。

 なのにあの突然の爆弾発言。気が遠くなりそうだ。


「わ、わたくし…ブレア様に何か失礼な事を…?」

「いや、そんな事はないよ」

「不満な事でもありましたか…?」

「いいや、何もない」


 訳がわからない。不満も何もないならいったいどういう事なの?何故婚約破棄を?今まで喧嘩だってしてこなかった。なのに何故?


「エリー、本当に悪いと思ってる。キミは何も悪くない。悪いのは僕だ。父にもこの後に婚約破棄の事を伝える」

「い…」

「?」

「いやです…」


 視界が歪む。涙がボロボロ落ちてくる。いつものブレア様だったら優しく頭を撫でて慰めてくれるのにブレア様は悲しそうな表情を浮かべるだけだった。


「何か不満があるなら仰って下さい!わたくしに直して欲しいところがあるなら直します!!」

「本当に何もないんだ」

「なら何故!!」


 「……ごめんね」と、そう言って立ち去るブレア様をただ見てることだけしかできない。周りにいたメイド達もざわついている。

 その後わたくしは子供のように声をあげながら泣き、メイドに事態を聞いた両親が慌ただしくやってきた。


「エリー、いったいどういう事だ!?」

「貴女、何かブレア殿下に粗相してしまったの?」

「お父様…お母様…。わたくし、なにもわからなくて…っ」


 先ほどの事を説明しても両親も困惑していた。それもそうだ。ブレア様は理由を説明してくれず、エリーは悪くないただ自分が悪いしか言わずに去って行ったのだから。

 泣き続けるわたくしをお父様は頭を撫で、お母様はそっと抱き締めてくれた。これがブレア様だったらどんなによかったことか。


「城に手紙を出す。王様なら何か理由がわかるかもしれない」

「そうね。このままじゃエリーがとても可哀想だもの」

「さぁエリー。部屋で休もう。」

「そんなに泣いたら腫れてしまうわ。きっと大丈夫よ、泣き止んでちょうだい。ね?」


 両親に言われて部屋に戻る。フラフラしているとメイドが支えてくれて部屋まで送ってくれた。

 嗚呼、これが悪い夢だったらいいのに。そう思いながらベッドに入り眠りについた。



 お父様が国王様に手紙を出してから数週間後にお返事が届いた。詳しく話すために指定された日に城へ来るようとの事。

 3ヶ月後、わたくし達は馬車に乗り城へ向かった。

 揺れる馬車の中でわたくしの体は震えていた。何を言われるのかとても不安だからだ。ブレア様はわたくしは何も悪くないと仰っていたけど直接言えないだけで本当は何かあるのではないか、そう思うととても怖い。

 そんなわたくしを見たお母様が安心させるように手を握ってくれた。


「お待ちしておりました。どうぞ此方へ。王様がお待ちです」


 城に着いたら執事に部屋へ案内された。その部屋は厳重に警備されていて、まるで誰にも聞かれないようにしているみたいで緊張してしまう。

 部屋に入ると王様が待っていてわたくし達を出迎えてくれた。


「よく来てくれた。ああ、かしこまらなくていい。座ってくれ。今紅茶を淹れよう」

「ありがとうございます」


 紅茶を淹れてくれた妙齢のメイド。あれ…?この部屋の使用人はこのメイドと先ほどの執事しかいない。

 疑問に思っているとその事に気づいた王様が「気になるかい?」と仰った。


「いえっ、そのっ」

「ハッハッハ!そんなに緊張しないでいい。使用人が少ないのは事情があってな。」

「事情…ですか?」

「ブレアの事だ」


 緊張が走る。

 ブレア様の事でこの部屋には使用人が少ないのか、婚約破棄について何か関係があるのだろうか。


「だがその前に…。エリー嬢、すまない。突然の婚約破棄に戸惑われただろう。」


 わたくしに頭を下げる王様を見て慌てる。両親もびっくりして声がでない。


「どうか頭を上げてください!わたくし、別に謝罪が欲しいわけでは――――」

「だが私の気がすまんのだ。本当はこの場に本人も来てもらおうと思ったが、どうやらキミと2人で話がしたいみたいでね」


 ――――2人で?


「それは…」

「どうやらブレア本人は話す気がなかったみたいだが遅かれ早かれいずれわかることだ。説得したら2人だけなら直接話すと言うのでね」

「2人…?」

「執事に案内させるから行ってきなさい。嫌になったら此方に戻ってきてもいい」


 そう言われてわたくしだけ部屋を移動した。

 何故お母様達と一緒ではダメなのだろう。とても緊張する。心臓が破裂しそうだ。


「殿下。お連れしました」

「入ってくれ」


 ハッとすると部屋の前にいた。ガチャッと扉が開かれると、愛しいブレア様がそこにいた。

 少しだけ表情が固く、ブレア様も緊張しているのがわかる。2人きりでだなんて…うまく話せるだろうか。


「ここまで来てくれてありがとう」

「いえ……」

「……ごめん。もしかしたら会いたくなかったかもしれないけど」

「そんなことありません。ずっとお会いしたかったですわ」


 ずっとずっと、一目でもいいから会いたかった。そう伝えるとブレア様は驚いた表情をしてからふわりと微笑んだ。

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