灰と芽
続きです
椅子に揺りかかり意識が浮き沈みしている時、俺はそれを知覚した
「私たち、夫婦みたいだね?」
「その子と一緒にいると家族みたいでしょ」
忘れるはずがない、ローズの声だ。首を動かして声の方を見ると輪郭が確かに見える
「ローズ……」
そう声を出した瞬間重かった瞼が急に軽くなり、急に目が醒めた事による軽い頭痛が襲った
白昼夢を見ていたようだった
腕時計を見ると10分ほど寝ていたようだ。胸にはアリスが揺りかかったまま眠っている
「アリス、起きろ」
そう言いながら体を揺すると、反応はするものの拒否をしてまた眠ってしまった
「子供のおもりはした事がないんだがな……」
体勢に気を付けながらアリスを抱き上げて寮の中に入った
子供たちが遊んでいる部屋を横目にリビングダイニングの部屋に向かう
部屋に入ると、大きなテレビとそれを囲むソファーが目に入る
それと同時に背丈がここの子供より大きい少女が洗い物をしている姿があった
「ソファー、使わせてもらうぞ」
「どうぞー」
「それじゃ遠慮なく」
ソファーにアリスを寝かせ、部屋から立ち去ろうとすると少女が話しかけてきた
「あの、アリスちゃんを見つけた人ですか?」
「そうだが」
「その……ありがとうございました」
「どういたしまして?」
突然に感謝されて一瞬混乱した
「最近、この基地で爆発があったじゃないですか、
あの後しばらくここの子供たちが不安がっていて私達がどう対応しようか悩んでいるなかで
彼女が来たんですが、彼女のおかげで少しだけ子供たちの輝きが戻ったんですよ」
「彼女は話さえしないものの、おもちゃとか色々な物に興味を示してくれたおかげで
他の子たちが自発的に動いてくれるようになったんです」
「だから……その、ありがとうございました」
「そうか、それじゃアリスを頼んだぞ」
振り返ろうとしたところで腕を掴まれた
「ぁぁあの!もうしばらくアリスちゃんの傍に居ていただけませんか?」
「そ……その、ここに来てから、あの子はあんまり寝てないんです」
「だけどあなたと一緒だとすぐ寝ちゃうみたいで、
だから……その、もう少し一緒にいていただけませんか?」
「そうだったのか……」
先生も言っていたがアリスは俺に懐いてるのか?
「……わかった。そうしよう」
アリスが寝ているソファに座り、改めてアリスの顔を見た
うたた寝していた時もそうだが、捨てたはずの感情がどうしても蘇る
[愛情]
と言っても自分にとっては執着に近い感情だが
この感情のせいで何度不幸に会ったか
でも、今はそれが心地良いような気がする
その時、ふと考えがよぎった
この少女を普通の人として育てたい
今はまだ、アリスについての理解が足りないが
彼女を理解して、そして人として生きて欲しい
不思議とその考えを理解し、納得できた
しっかり彼女と会話できるだろうか
ちゃんと相談して決めたいものだ
この子に未来ある生を
ぼちぼち書いていきますので長々とお待ち下さい




