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リッチ(金持ち)を願ったらリッチ(アンデッド)にされたんだが?  作者: キヒロ


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96 リッチィさん、知らない女の子に自己紹介する

ブクマが900を突破しました!

本当にありがとうございます!

 

「おっ、晩御飯か」


 晩御飯が完成したので料理をテーブルに運んでいると、おじさんが既に着席していて声を掛けてきた。


「はい、今日は私も作りました」


 その言って晩御飯の料理を並べていく。


 献立は大きめのステーキと、タマネギとニンジンのベーコンの和え物。ウインナーのトマト煮込みにポテトサラダ。ナスはカリッと焼いたのか、醤油の芳ばしい匂いがする。

 そして、私の作ったトン汁。


 うん、私って別に作らなくてよかったな。

 最初から全部アリアさんに任せておけばよかった。凄い美味しそうだ。


「ん、これってまさか……野菜か?」


 料理を並べていくと気付いたのか、おじさんが驚いたように此方を見てくる。なのでアリアさんに説明したことを話す。


「リッカ、お前はダンジョンの奥でなにをやってるんだ? 野菜作り? めちゃくちゃ過ぎてついていけんぞ」


 呆れたとしたおじさんが頭を抱えている。

 おじさんもまさか、自分達が門番として警護をしている墓地のダンジョンの奥で、ゾンビさん達がせっせと野菜作りに勤しんでいるとは思わなかったみたいだ。


「内緒ですよ」

「こんな馬鹿な話、誰にも話せんわ!!」


 おじさんも野菜作りの重要性と危険性を理解しているようで、睨むように此方を見ていた。


「本当に大丈夫なのか? 絶対に他の奴らが黙っていないと思うぞ」

「大丈夫ですよ。商業ギルドマスターと話はついてるので、販売方法や販売ルートは確保済みです」


 事前に商業ギルドのギルドマスターには話を通している。

 私が死んだと思い、ここ半年忙しなく他領を走り回っていたクマさんとも連絡が取れたと、『覚えてろクマ』と先日商業ギルドのエルフのお姉さんから代筆でお手紙が来た。まさか、魔王城にいる私宛に直接届くとは思わかったけど。


「……そうか、だが気をつけろよ。野菜売買はあのメリー商会が独占している市場だ。あいつらは自分達の商会の利益の為なら何でもする。敵対するのだけは止めとけ」

「あ、それはもう大丈夫です。とっくの前に敵対してるので、商業ギルドのギルドマスターと一緒にぶっ潰す計画です」

「……聞かなきゃよかった」


 再び頭を抱えるおじさん。もう聞きたくないと耳を塞いでいる。

 おじさんがテーブルに突っ伏していると、


「なんの話をしてるんですか?」


 背後から尋ねるようなミラさんの声がした。


「ミラか……いや、ちょっとな。リッカのやつがまた色々とダンジョンでやらかし過ぎていて頭がおかしくなりそうだ」

「……リッカさん? お父さんが言ってることは本当ですか? 私も冒険者ギルドの職員として見逃せませんよ」


 おじさんの言い様に、直ぐ様ミラさんが反応した。

 そう言えば、ダンジョンで野菜を作ってるのは冒険者ギルドに話してなかったのを思い出す。

 ダンジョンの管理は冒険者ギルドの管轄だけど、ほとんど私に丸投げされてたのですっかり忘れてた。

 何とか言い訳を考えようと、背後のミラさんの方へ振り向くと――


「どうもですー」

「あ、どうもはじめまして、リッカといいます」


 淫乱ピンクのショートの女の子がいた。


「あれれー、どうしたんですかー、私ですよー、クロエですー」

「すみません、ちょっと記憶にないですね。人違いではないですか?」


 知らない女の子だ。


「酷いですねー、クロエですよー、よく見てくださいー」

「クロエさんですか? すみません、サキュバスの方にはお知り合いはいないので」


 よく分からないが、勘違いだと思う。


「そうなんですかー、覚えないんですかー」

「恐らく初対面だと思います」


 本当に覚えがない。

 だから私の周りをぐるぐる回るのは止めろ。


「でもー、私はサキュバスとはいってないのにー、なんで分かったんですかー、ですかー」

「……そんなこと言いましたっけ?」

「ええー、言いましたよー、それにー、その顔で嘘は駄目ですよー、バレバレですー」

「空気を呼んくれませんかね?」


 チクショウ!!

 本当に空気を読んでくださいよクロエ。

 せっかく忘れたふりをしてたのに、なんでミラさんの前でバラすのかなぁ。


「どのみちー、その顔じゃバレバレだと思いますー」


 知ってた。

 自分の顔が嘘をつけないのは知ってた。

 だからあえて全部忘れたふりで通そうとしたのに……台無しだよ。私の気遣いを返してくれ。


 小悪魔的に笑うクロエをよそに、キッチンの奥からアリアさんがやって来た。


「クロエちゃんじゃない。もう、お仕事サボってどこにいってたのよ、大変だったんだからね」

「ごめんなさーい、ちょっと具合が悪くてー、ミラ様のお部屋でちょうき……休んでましたー」


 調教かな?


「そうなの? 具合はもう平気?」

「はいー、問題ないですー」

「じゃあクロエちゃんも晩御飯一緒に食べていくかしら」

「そうですねー、頂きますー」


 ということで、クロエも一緒に晩御飯を食べていくことになった。

 それではと、私はおじさんの隣に着席し、目の前に並ぶ豪華な晩御飯をさっそく頂こうと――


「リッカさん、ダンジョンの件がまだ聞いてないんですが?」


 どうやらミラさんは見逃してはくれなさそうだ。

 まぁ話は早いので、目の前に並ぶお野菜の料理を含めて、ミラさんに話をしていく。ついでに《チラシ》のスキルの詳細もまとめて話した。アリアさんに教えたのに、おじさんやミラさんに隠す必要はない。……クロエについては、ミラさんが後できっちり『消去』するそうだ。


「ドン引きですー」


 クロエうるさい。


「リッカさんは何をやってるんですか?」


 ごめんなさい、ミラさん。


「もう、そんなことをしてるなら早く教えてほしかったです」


 悔しそうに『むーっ』としながらも優しく話すミラさん。


「……怒ってないんですか?」

「別に怒ってはいませんよ。冒険者ギルドもダンジョンについてはリッカさんに丸投げしてましたから。それに商業ギルドには話を通しているんですよね?」

「はい、一応はギルドマスターのクマさんに野菜の販売方法と販売ルートをお願いしてます」

「ならそこまで問題はないですね。冒険者ギルドは商業ギルドと協力関係にありますから」


 ミラさんが言うには、むしろ冒険者ギルドにも利益があるから喜ばしいことだそうだ。

 よくは分からないが、商業ギルドを通じて輸送する際の護衛がどうとか話していた。それに、


「メリー商会を潰すんですよね? その理由だけで反対する人はうちの冒険者ギルドには誰もいませんから」


 ニッコリと微笑みながらミラさんが嬉しそうに語ってくれた。

読んでくれてありがとうございます。


ブクマと評価をいただければとても嬉しいです!

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