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リッチ(金持ち)を願ったらリッチ(アンデッド)にされたんだが?  作者: キヒロ


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64 ????

 

 ここはどこだ?


 この何処までも黒く呑み込まれそうな程に真っ暗に染まる空間に、オレは気付けば一人立っていた。


「ようこそ、死後の世界へ」


 突然声が聞こえたかと思えば、目の前に長い黒髪の可愛い女の子がいる。


「気付いてますか? あなたは既にお亡くなりになりました。よって、私が死後の案内役を務めさせて頂きますね」


 ニコリと哀れむように微笑む女の子。

 リアルでも中々見掛けないくらい整い過ぎている顔立ちに、思わず赤面したオレは女の子の言葉で全てを理解した。


「なるほど、とうとうオレの番がきたか」

「はい?」


 コテンと首を傾げる女の子――いや、女神様。


「女神様、どうやらオレの力が必要な時が来たんですね」

「ん?」

「分かりました。まぁ、面倒くさいですが、あなたの頼みとあらば聞きましょう」

「んん??」

「で、もしオレが世界を救った暁には、何を対価として貰えるのでしょうか」

「んんん???」

「おっと、オレはタダで世界を救う気はありませんよ。それとオレが望む能力を三つ程、用意してください」

「んんんんん!?!?」


 察しが悪いのか、オレの言葉に混乱している女神様。

 チッ、こいつ顔は良いくせに頭は悪いのか?

 多少イラつきはするが……まぁ、いいだろう。美少女は得だな。


「オレが望む能力は『全ステータスのカンスト』『全魔法適正』『イケメン補正』で頼みます」


 異世界転生の定番と言えばこれだ。

 生まれ変わってチマチマと体を鍛えたりレベルを上げるのは面倒だ。なら初めからカンストでいい。

 他の奴等なら馬鹿みたいに、一からレベルを上げたり努力するのが楽しいんだろと言うだろうが、オレは違う。

 何が嬉しくてレベル一から始めないといけないんだ。

 死ぬかも知れない異世界で、そんな馬鹿な事を言う奴は直ぐに死ぬ。

 異世界と言えばモンスターだし、未開な現地人もいる。

 女神様だって、チマチマとレベル上げをして世界を救うよりもサクッと終わらせた方がいいに決まってる。


「えっと、あのぅ……」


 それに文明レベルはせいぜい中世ヨーロッパの時代だろうし、衛生面も最悪だろう。

 全魔法適正があれば綺麗な水や火を簡単に起こせるし、土魔法で家を建てるのもいいな。

 土の魔法や風の魔法は一見地味だが、オレの頭に詰まっている知識があれば十分に強力な武器になる。

 転移魔法や時空間魔法があればなおいいのだが、これは異世界に行って確認すればいいだろう。それか女神様にお願いでもしとくか。世界を救う為にも必要な事だ。


「もしもーし、聞いてますかー」


 イケメン補正は……アレだ。

 やっぱりハーレムを目指すなら大切なモノだ。

 男ならハーレムモノを目指すなら当たり前だし、見た目も多少は良くなりたい。

 べ、別に奴隷ハーレムを目指すなら容姿とか関係ないが、女も主人が優しくてイケメンならいうことなしだろう。

 食事もちゃんと与えるし、綺麗な洋服や寝床も用意する。床で眠れなんて言わない。

 夜は勿論アレだが、そこもちゃんと満足させられると思う。知識はバッチリ頭に詰まっている。脳内シミュレーションは問題ない。ちな美少女限定な。目の前の女神様クラスならなお良い。むしろ一緒に連れて行くことは可能だろうか。


「……うぇ」


 まぁ、それも先ずは世界を救ってからの話だ。

 まずはサクッと世界を救ってオレは自由気ままに生きる。

 リアルはクソだ。

 何が学校に行けだ。

 ちゃんと義務教育の中学までは卒業してやったんだ。引きこもって何が悪い。オレは時が来るまで待機してただけだっつうの。

 なのにクソばばぁは泣いてオレの部屋の前でピーピー言うし、クソ親父の奴は偉そうに説教してくる。本当にイラつく親だ。オレの事を何も理解してない。誰もオレの事を理解しょうとしない。


「うぅぅ……ぐすん……」


 おっと、ちょっと自分の世界に浸りすぎていたようだ。

 てか何でこの女神様は泣いてんだ?


「ご、ごめんなさい。ここではあなたの考えていることが読めるので、つい……」


 は、はぁッ!?

 こ、この女、人の頭の中を覗いてたのか!?

 いくら何でも女神様でもやって良いことと悪い事くらい分からねぇのか!!


「す、すみません。そんなつもりはなかったのですが、この空間ではそういう仕様なので……」


 チッ!!

 なら最初から説明知ろってんだ。

 ドンくさい女神様だな。

 本当に女神様か?

 てか何で泣いてんだよ!!


「……いえ、あなたの過去を見てたら悲しくなって」


 前言撤回。

 何だ、こいつやっぱり女神様か。

 オレの事を理解してくれて泣いてたんだな。

 そうだ、リアルでは誰も理解してくれなかったが、ここではオレを理解してくれる。

 間違ってなかった、オレはやっぱり間違えていなかったんだ……!!


「ドンくさくて、すみません。――直ぐに案内しますね!」

「いや、女神様はドンくさくなんてない。あんたは立派な女神様だ。苦労しているようだが、頑張ってくれ」

「ふふふ、そうですか。では頑張って案内しますね!」


 女神様がオレに手を伸ばしてきた。

 握手か? いや、案内するからはぐれないように手を繋ぎましょう、だと?

 ヤバい、この女神様、超可愛い!!

 健気でとっても純真だ!!

 笑顔がとっても素敵すぎる!!

 女神様と――女の子と手を繋ぐなんて小学生の頃のフォークダンス……いや、別にいいか。あんなクソ女どものことは。何が繋いだふりだ。クソがっ!!


「……うぇぇ」


 ん、何か女神様が顔を必死に反らしてるな、何でた?


「どうかしたか?」

「いえ、なんでもないです」


 気のせいか?

 まぁ、いいか。


「それでは逝きましょうか」

「ああ、頼むぜ」

「ええ、しっかり案内しますね! ――地獄まで!」

「おう、よろしく……ん?」


 ……は?

 この女神様、今何て言った?


「さ、逝きましょうか。地獄に!!」


 地獄?

 やっぱり頭悪いのか、この女神様?

 おい、誰かこの女神様変えてくれ。

 頭イカれてるぞ。


「間違っていませんよ。私はあなたを地獄に案内するために来たのですから」


 は?

 ますます意味が分からん。

 何で女神様が地獄に案内するんだよ!!


「……あの、私は一言も自分が女神様だなんて言ってないんですが」


 はぁ!?

 お前、女神様じゃねぇのか!?

 ふざけんな、騙したのか!!

 女神様どこだよ!!


「ですから騙すもなにも、私は何も言ってないんですけど……それに、バイトの私に女神様は何処かって聞かれても分かりません」


 バイト?

 じゃあお前、何者だよ!?


「……そうですね。あえて言うなら、認めたくはないのですが、一応は名前だけは閻魔大王の娘をやってます」


 え、閻魔大王の娘?

 じ、冗談だろ……?


「私の顔が嘘を言ってる()()見えますか?」


 い、嫌だ、

 絶対に嫌だ!!


「お、お前、オレの過去を覗いて泣いてくれたんじゃ――」

「ええ、あなたの過去を覗いて、親御さんのあまりの不憫さに泣いてしまいました。それと、あなたのようなニートをわざわざ選んで異世界転生させるほど地獄は甘くないですよ。私なんかアンデッドですよ。リッチ、リッチですよ。なんでリッチ(金持ち)になりたいと言ったらリッチ(アンデッド)になるんですか。しかもオマケに♂→♀の18禁展開の奴隷勇者ですよ。本当に人生詰んでますから。しかも不死で半永久に奴隷勇者生活とかどんなクソゲーですか。本当に勘弁して下さい。ありがとうございます閻魔大王様」


 や、ヤバい、こいつなに言ってんだ!?

 てか何だ、この女!?

 腕からうねうねが生えてオレを離しやがらねぇ!!

 なんなんだこいつ!?


「め、女神様!! いや、神様ぁあああ!! どうか助けて下さい!!」


「それ分かります。私も神様に助けてほしいといつも願ってます」


 ふざけんなぁあああ!!

 ヤバい、こいつマジで理解不能だ!!

 い、嫌だぁあああ!!

 地獄は嫌だぁあああ!!

 だ、誰か助け――おかあさぁああああああんんん!!!

今までで一番スラスラ書けたな……


読んでくれてありがとうございます!

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