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リッチ(金持ち)を願ったらリッチ(アンデッド)にされたんだが?  作者: キヒロ


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57/120

57 リッチィさん、田中君を改造する

評価ポイントが1000を超えました!!

本当にありがとうございます!

 

 さぁて、突然始まりました田中君改造計画(強制)。


「アアァァァ!!」


 叫び荒ぶる田中君を()()()()()()()()()()()で縛り上げ、寝かせて大人しくさせる。


 私もすっかり忘れてたけど、自分の称号に《ダンジョンマスター》という名があることを思い出しました。


 ちなみに、私のステータスはこんな所です。


 左手の冒険者の証を操作して、久しぶりにステータスを表示させる。


「ステータスオープン」


 名 前:リッカ・エンマ

 年 齢:16

 種 族:リッチィー

 レベル:22

 スキル:

 固有スキル:チラシ(改) 土魔法 クリエイトアンデッド

 加 護:▲◆◇★

 称 号:わぁれの娘だぁ ダンジョンマスター ダンジョン撃破者 炎竜を煽りし者


「レベル22ですか……」


 また知らないうちにレベルが上がってる。

 前回はレベル18だったから、一気にレベルが4も上がってる。

 なんでだ?

 あ、クラーケンか。

 なんかデカかったし、強そうだった。

 マーマンとミミックもいたかな?

 オリハルコンタコ足イカ足で吹き飛ばしたけど。


 と、話を戻してダンジョンマスターに移る。


 称号に《ダンジョンマスター》と《ダンジョン撃破者》とある。


 これはあまり思い出したくない記憶。


《ダンジョン撃破者》の称号は、ドMヤンデレストーカーのダンジョンコアを討伐した際に頂いた称号。

 効果は全ダンジョン内での自身のステータスに大幅UP効果。


《ダンジョンマスター》の称号は、もう少しでドMヤンデレストーカーのダンジョンコアと同期しかけた際に副産物としてもらった称号。

 効果はダンジョンモンスターへの絶対命令権限&ダンジョンコアへのアクセス権限(コア消失使用不可)


 調べた所、まぁこんな感じで中々に優良な効果だった。


《ダンジョンマスター》のスキルは、そのままダンジョンモンスターを縛り上げ、命令することができる権限。

 ダンジョンコアのアクセス権限だけは、コアが消失――《チラシ》のスキルで入金――してるので、使用不可となっている。別にいいけど、あんな変態にアクセスするとか考えただけでも鳥肌がたつ。


「アアァァァ!!」


 田中君が何やら叫んでいる。

 どうも事態を把握できず、説明を求めているようだ。


 私は優しく丁寧に説明した。


 ――田中君、味覚が欲しくありませんか? と。


 その言葉に反応し大人しくなる田中君。


「アアァァァ」


 それは本当に可能なのかと聞いているようだ。

 ソラに視線を向けると、任せろと息巻いて準備を始めている。


「大丈夫ですよ、田中君。私の固有スキル、《クリエイトアンデッド》と《ダンジョンマスター》の称号があれば不可能ではありません」

「アアァァァ」

「はい、ですから安心して任せて下さい」


 不安そうな顔で見詰める田中君だが、やはり味覚の復活はとても大きいらしく、前向きに考えているようだ。


 ……まぁ、ソラが乗り気な時点で拒否権なんてないんですけどね。

 スイッチの入ったソラは色々な意味で怖すぎる。


 田中君は腹を決めたのか、頭を下げてお願いしてきた。


「はい、お願いされました。安心して任せて下さい」

「アアァァァ」

「ふふふ、そうですね。後でトウモロコシを茹で直して一緒に食べましょう。さつまいももそろそろ出来上がると思いますので」


 さつまいもは今は火を止めて、粗熱でじっくり火を通している。こうすることで、更に甘味が増していく。


 ならば急がねばと、私はクリエイトアンデッドを発動し、何体かの普通のノーマルゾンビを生み出し田中君の元に寝かせる。


 田中君が不思議そうに此方を見ている。

 なんだ、このゾンビはと。


 気にしないで下さいと言う私に、ソラが準備出来たと田中君の元に向かう。


「ゾンビは足りますか?」

「ん、大丈夫」

「そうですか、足りなくなったら言って下さいね、私は寝てますので」

「ダメ、助手必要」

「……はぁ、分かりました」


 ソラはやはり私を逃がしてはくれないらしい。


「アアァァァ」


 まだ不安なのか、田中君が大丈夫かと聞いてくる。てかこのゾンビはなんだと。


「大丈夫です、気にしないで下さい。1度やって成功してますから、もう慣れましたから」

「アアァァァ?」

「はい、実験体――フローラルゾンビさんがその成功例ですね、もう慣レましタから」

「アアァァァ!?!?」


 恐怖で暴れ出す田中君。

 どうやらその時の改造実験を覗き見て知っていたようだ。


 唐突にソラが手にしていたナイフを振り下ろす。


 グチャリとした音と液体が飛び散る。


「アアァァァ!!」


 田中君が叫ぶ。


「恐がらないでください、大丈夫です、慣レマしタから、だから安心して――《()()()()》」


 私は優しく微笑みマスター権限を使用した。



 ◇◇◇



「アアァァァ」


 田中君が無事に目覚めた。


「おはようございます、お加減はどうですか」


 困惑気味に辺りを見渡す田中君に、私は優しく声を掛ける。


「どうぞ、焼きたてですよ」


 いい具合に焼けたさつまいも――石焼いもを田中君に手渡す。


 田中君は何かを言いたそうに此方を凝視していたが、ニッコリと微笑むと諦めたように恐る恐る石焼いもを口に入れた。


「…………」


 言葉はいらなかった。

 田中君は、一口食べるとその場で動きを停止した。


「美味しいですね、このさつまいも」


 ホカホカに湯気がたつさつまいもを口にしながら、私は嗚咽をもらす田中君と一緒に仲良くさつまいもを食べ続けた。



 ◇◇◇



「なんでこうなった……」


 あの後、石焼いもを食べて感涙する田中君にソラも混じり、3人で仲良くさつまいもを食べていた。

 そう、食べていたのだ。


「あの、順番なのでちゃんと《()()()()()()()》」


 私とソラの背後で楽しそうに騒ぐ()()()()()()()さん達に、ダンジョンマスター権限を使って命令する。


「はい、終わりました。次の方、どうぞ」


 すっかり慣れた手付きで作業をこなし、次のエルダーゾンビさんを呼んで目の前に寝かせると、ソラが素早く改造手術をおこなう。


「はい、終わりました。……え、あぁ、どういたしまして。――次の方、どうぞ」


 改造手術のお礼を言うエルダーゾンビさんを尻目に、私とソラは黙々と6体目の改造手術をおこなっていく。


「はい、終わりました。次の方、どうぞ」


 次のエルダーゾンビさんを呼び寝かしつける。

 終わったエルダーゾンビさんは、田中君が慌ただしく茹でている途中のトウモロコシにかぶり付き、お叱りを受けていた。


「はい、終わりました。次の方、どうぞ」


 残りは8体……ゲロ吐きそう……。



 ◇◇◇



「終わった……」


 合計15体のエルダーゾンビさんの改造手術が終わった。

 くたくたで動けない私は、その場で力尽き寝転がる。

 流石のソラも疲れたのか、私に寄りかかりボーッと前を見詰めていた。


「「「アアァァァ」」」


 すぐ側でエルダーゾンビさん達の喜ぶ声が聞こえる。


 やっぱり味覚がないというのは辛かったのだろう。

 全員が美味しそうにトウモロコシやさつまいもを食べている。


「……吐きそう」


 色々とスプラッターなシーンを長々と見ていただけに、胃が何も受け付けない。


 元はと言えば、私とソラと田中君が仲良くお食事をしていた所にエルダーゾンビさん達が突撃してきたのが始まりだった。


 どうやらエルダーゾンビさん達は、私達が畑を耕し始めた時からここに注目していたらしい。


 ダンジョンが生まれ、突然エルダーゾンビとして蘇ったはいいけど、特にやることもなく娯楽も何もないダンジョン。

 外へ出ようにも私の許可がないと出られないらしく、毎日ダンジョンを適当に走り回っていたそうだ。


 そんな時、同じエルダーゾンビさんこと田中君が畑を始めたのを知り、遠くから暇潰しに観察していたらお食事を美味しそうに食べているのを発見、我先にと全員が突撃してきたとのこと。


 私はそれを聞いて、お前ら見てたなら手伝えよと言ったら『だが断る』『労働はクソ』『社畜は勘弁』『面倒くさい』『働きたくないでござる』と、舐め腐った答えが返ってきた。


 ――お前ら全員、日本人だろコラ!!


 叫んだ私は悪くない。

 全員がしらを切ったが、もう色々と疲れてたので放っておくことにした。……マスター権限で『困ってる時は助けてね』と、少し縛りをつけたけど……いい労働力になりそうだ。


 そんなこんなで寝転がりエルダーゾンビさん達を眺めていると、私に寄りかかるソラが何やらを書き込みしているのが見えた。


「何してるの?」

「記録」

「エルダーゾンビさん達の?」

「ん、実に興味深い」


 どうやらエルダーゾンビさん達の解剖――実験記録を付けているらしい。


 そう言えば、エルダーゾンビさんは大昔の文献にしか載っていないレアな個体だった。

 確か当時、エルダーゾンビの数体と魔王が相討ちになったとか……あれ、うちに数体どころか目の前に15体もいるけど? やばくね? 下手したら城都壊滅しない? ついでにスペクターもいるし。最近見ないけど。


 もしもこの事が国や冒険者ギルドにバレたら面倒くさいことになるのは間違いない。

 よし、内緒にしとこう。

 どの道、冒険者ギルドから私以外『立ち入り禁止区域』に設定されてるから誰も来ないだろうしね。


 安心して胸をなで下ろしていると、ソラが何かを言いたそうに私を見てる。


「なんですか?」

「種族名、決める」

「種族名? あぁ、エルダーゾンビさん達のですか」


 ソラと私の改造手術の結果、どうやらエルダーゾンビさん達は格が上がり進化を果たしたらしい。

 私的にはそのままエルダーゾンビさん達でいいが、ソラは研究者として新しい名前を付けたいらしい。

 そして、その名前を私に付けろと。


「じゃあ、エルダーゾンビ(改)で」

「ん、分かった」


 適当に付けたのだが……いいらしい。

 記録を付けているソラを見てると、私もそろそろこの世界の文字を覚えないといけないかなぁと思う。

 冒険者ギルドに貼り出されているクエストなど、色々と読めなくて不便なことがある。

 今はミラさんが変わりにクエストなどを読んで進めて来たりするが、いつまでもそれでは申し訳ない。


 誰か文字を教えてくれないだろうか。

 そう思っていると、いつの間にか私とソラの前にえらく小さい女の子――エルダーゾンビさんが屈み込んでいた。


 ソラと私に手を伸ばして来る。


「♪」


 なんだろう、物凄い嬉しそうに頭を撫でてくる。

 私もソラもされるがままだ。

 ひとしきり満足したのか、女の子はエルダーゾンビさん達の場所に戻っていった。

 なんだったんだろう。

 頭に1本角があったから、魔族のエルダーゾンビだとは思うんだけど……。


 まぁ、いいか。

 考えても仕方ないし、気にしないでおくとしょう。

 ソラも全く気にしてないようだし、細かに記録を続けているようだ。


「ところで、その記録したものはどうするんですか?」

「発表、する」

「やめて!?」


 そんなことをしたら全部バレちゃうでしょうが!?


読んでくれてありがとうございます!

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