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リッチ(金持ち)を願ったらリッチ(アンデッド)にされたんだが?  作者: キヒロ


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42 リッチィさん、煽りし者の称号の意味を知る

誤字報告ありがとうございました!

とてもありがたいです。


「うぅぅ……」


牢屋に入り数日が経った。

この異世界に来て牢屋か檻に入ってる時間の方が長いと感じるのは私の気のせいなのだろうか。


「寒いよぉ……」


すきま風から遠慮なしに吹いてくる風が冷たい。

チラシを展開して毛布を購入しようにも、又もや間が悪いのか何なのか、『期間延長大特価農業キャンペーン』のチラシが続いてる。掲載期間が1週間とかもはや嫌がらせである。


毛布が欲しい、毛布を所望する。そう兵士さんにお願いするも『畏怖』又は『狂人』を見る目で逃げられた。


「ひ、酷い……」


少しくらい話を聞いてくれてもいいだろうに。

そんなに私が恐いのか、恐いんだろうなぁ。

普通は炎竜を怒らせて被害を出したって事で牢屋に入れられ怒られるってなら分かるんだけど……


事の切っ掛けは私のステータス。

言わずもがな新しく増えた『称号』が問題であった。


《炎竜を煽りし者》


これがどうにもヤバいらしい。

どうヤバいかって言うと、この称号を持つ者に絶対に関わる事なかれと『ナマハゲ』扱いで語られているくらい。


そして更に追い打ちを掛けたのが蜘蛛の足。タチュラントスパイダーの足である。


最初はこんな女の子がまさかと兵士さん達が話し掛けたり様子を見に来てくれていたりしたのだが、タチュラントスパイダーの足を私が持っており非常食扱いしていたと知ってからは誰一人としてここに近寄ってくることはなくなった。


兵士さん曰く、頭のおかしいヤベー奴。それが私に対しての認識らしい。


酷い勘違いだ! 激しく誤解だと言わせてほい!!


ガチャンと遠くでドアが開く音が鳴った。


「……? 食事の時間にまだ早いような」


勘違いされてからは、食事の配膳以外でここに来る人は誰もいない。


遠くでコツコツと足音がなり響く。


足音が段々と近くに聞こえてきたかと思えば、私の牢屋の前で音が止まった。


「元気そうだな、リッカ」

「……ギルド長?」


そこには相も変わらず口元をモグモグとさせたギルド長が数日ぶりに私の前に立っていた。


「えっと、あの、ギルド長? それ私の非常食、タチュラントスパイダーの足ですよね、勝手に食べない下さい」

「そうか、どうりで旨いなこれ」

「ま、待って、せめて一口だけでも残し……て……あぁ」


必死の叫びもなくペロリと全て食べきってしまったギルド長。酷い、こんな事ならタヌキの商人さんに売っておけばよかった……20万ェ……


「無事そうでよかった」

「本当にそう思うならタチュラントスパイダーの足の代金払って下さい」

「そうか、すまんな。金はない」

「チクショウ」


本当にチクショウだ!


「で、何でお前はこんな所に入ってるんだ」

「え、聞いてないんですか?」


私の事を聞いて助けに来てくれたのではないの?


「何か呼ばれたから来た」

「あんた本当に何しに来たんだ」


少しでもギルド長に期待した私が馬鹿だった。やっぱりギルド長はギルド長なんですね。

だがそれでも、何時までもこんな所には居られないのでギルド長に事の顛末を話していく。漆黒の傭兵団に拐われた所から『炎竜を煽りし者』の称号のせいで牢屋に入れられた所まで。


「そうか、大変だったな」

「あの、本当に大変だったと思ってますか?」


途中から飽きて煎餅食べ始めてましたよね。


「それで、私は何時までここに居たらいいのでしょうか」

「分からん」

「ギルド長ぉ……」


本当に助けて下さいよぉ。

誠心誠意お願い、もといタチュラントスパイダーの足を食べましたよねと念を押すと、『仕方ないな』とダルそうにしたギルド長がドアから出ていった。多分、兵士さん達と交渉にいったんだ──あ、戻って来た。早いなおい。


「無理だった」

「粘って、お願いですからもう少し粘ってくれませんか!?」


いくら何でも早すぎるよ!


「しかしな、兵士達がお前を恐がって出すのを渋ってるんだ」

「恐がってって、何ですかそれ……」


あんたら戦闘民族の魔族でしょうが。こんな貧弱な女の子相手に恐がるとか……言ってて自分が悲しくなる。


「ていうかギルド長、どうして『炎竜を煽りし者』の称号があるだけでこんなに恐がられるんですか?」


いや、炎竜を煽って称号を貰ってる時点でおかしいけど、おかしいのは分かるけど、それでもここまでガチに怯えられるのは本当に意味が分からない。明らかに私がお伽噺の伝説のリッチだったって分かった時よりも以上に反応していると思う。


「それは、あれだ。お前の前の称号持ちがちょっと……な」


ギルド長は凄く微妙な顔をして口ごもった。


「もしかしなくても、その私の前の称号持ちの人が色々やらかしたからこうなったと?」


顔を縦に頷いたギルド長曰く、何でも過去に色々とやらかしたその人は魔族領ならず人間領でも全世界指名手配犯で手配されており、歴代最高額の懸賞金が掛けられているらしい。


色々とやらかした事に関しては、称号を持つ切っ掛けとなった事だけを話せば、過去に炎竜の素材が必要だからと炎竜を何度も煽っては罠に嵌めて素材を剥ぎ取り続け、その結果怒った炎竜が近隣の国を滅ぼし、果てには魔王城都を何度も火の海に変えた事もしばしばあるとか。これでも本当に極々一部のやらかした事らしいが。


そして付いた二つ名が『魔王軍一のサイコパス』。

当時、魔王城の軍幹部として働いていたときに付けられた二つ名らしい。


ここ100年くらいは姿を全く現さず、遂に死んだのではと最近囁かれていたのだが、


「称号持ち、私が現れたという事ですか」


もしかして私はその人に間違われて牢屋に入れられた? いや、ステータスを確認された時にリッチ殿って言われたし、それは無い筈……又は、


「自分と同じ称号持ち、私が切っ掛けで再び姿を現すかもしれないから隔離した………?」


そんな馬鹿な訳がないか、そう思ってギルド長を見ると……正解だと頷いている。マジか。

そんなに悪い奴ではないのだが、頭がちょっとな……と話すギルド長は閃いたと


「そうか、その手があったな」

「ギルド長?」


「よかったな、リッカ。後で迎えを寄越す」

「え、え? どういう事ですか?」


ギルド長はそう言い残し、この部屋から出ていってしまった。

何やら激しく嫌な予感がするんですけど……


「まぁ、出られるなら構いませんか」


一抹の不安は残ってはいるが、ここはギルド長を信用して待つしかないか。


読んでくれてありがとうございます。

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