33 リッチィさん、まるなげされる
リッカのステータスオープン!
名 前:リッカ・エンマ
年 齢:16
種 族:リッチィ
レベル:1
スキル:
固有スキル:チラシ(改) 土魔法 クリエイトアンデッド
加 護:▲◆◇★
称 号:わぁれの娘だぁ ダンジョンマスター ダンジョン撃破者
どうやらリッカは新しいスキルと称号を得たようだ。やったね! ちなみにレベルは1である。
◇◇◇
「…………」
さて、この長い沈黙をどう切り抜けたらいいだろうか。
現在、この部屋にいる全員が私のステータスに首ったけだ。やだ、恥ずかしい。
「こ、これは、一体どういう事ですかな……?」
名前も知らないギルド職員さんが恐る恐る聞いてくる。
ごめんなさい、私にもさっぱり分かりません。
「ダンジョン撃破者の称号は確かに有りますが……『ダンジョンマスター』とは一体……」
本当に一体何でしょうね。
「この『クリエイトアンデッド』と言う固有スキル。確かこれも大昔の文献に記載されていた、無限にアンデッドを生み出す事が出来ると言うあの伝説のスキル……まさかこの大量のアンデッドの群れの原因は……」
「それは激しく誤解ですと言わせて下さい!」
待って、それは本当に私は関係ない。悪いのは全てあのドMダンジョンコアのせいなんです!
「この、『わぁれの娘だぁ』とは何でしょうか」
ミラさんすみません、それは無視してもらって結構です。
「『土魔法』だと? 昨日見た時は魔法スキルは無かった筈だが……」
ギルド長もすみません、今は勘弁して下さい。
「リッカ、お前レベル1でダンジョンに一人で潜ってたのかよ。正直、呆れを通り越してドン引きだぞ」
おじさんもすみません。今は黙っててもらっていいですかね。
この部屋の全員の視線が私に向いている。
「…………」
何て言えばいいんだ!?
そうだ、沈黙は金なりと言う言葉があるし、暫くは黙っていよう!
「沈黙は肯定と思ってよろしいですかな?」
ば、馬鹿な、全く金になってない……
「えっと……」
どうする、このまま逃げるか?
逃げ足には自信はないけど、ダンジョンに潜れば何とかなるか?
流石にこれはどう言い訳していいか分からない。本当に私は悪くないのに状況証拠だけは一分の隙もなく揃っている。おのれ、ドMダンジョンコアめ! 今度会ったら絶対に壊してやる……あ、いや、やっぱり止めておきます、喜びそうだし肥溜めに沈めてやろう。
「……あ」
すかさず出口を固められた、何故だ!?
「リッカさん、顔に出過ぎです……」
ミラさんが悲しそうに呟いた。
閻魔大王のばっきゃろー!!
届け、この思い、地獄まで。
「すみません、どうか説明だけはさせて下さい」
もういっそ楽に殺してほしい、不死だけに。
◇◇◇
「成る程成る程、リッカ殿はダンジョンコアに無理矢理にダンジョンマスターにされたと、そう言う事ですか」
「それは災難でしたな、まさかダンジョンコアがそんな事になっているとは……いやはや、本当に災難だ」
必死に弁明してどの位の時間を有しただろうか。
絶対に信じてもらえないだろうなと思っていたのだが……何故か思わぬ展開に移行している。
「リッカさんが可哀想です!」
ミラさんも危うくダンジョンコアと一生を伴にする所だったと聞いて同情してくれている。
ミラさんは何となく分かるのだが、何でギルド職員さん達までこんなに信じてもらえてるんだ? 名前も知らないのに何故、全く分からない。
「リッカ、お前本当に顔に出やすいんだな」
「?」
「分からんてか。そりゃあ、あんな顔してれば誰だってお前が本当に嘘を言っているとは疑わんぞ」
おじさんが教えてくれた。
どうやらこの体は本当に嘘をつけないようになっているようだ。
あまりのぶっ壊れ性能に感謝していいのか恨み辛みを言っていいのか本当に分からない。
嘘つきは閻魔大王に舌を引っこ抜かれると言うが……まさかそれが関係しているのか?
これは色々な意味でもまだまだこの体にはいろんな秘密がありそうだ。
少し考え込んでいると、ギルド職員が『お疲れでしょう。どうぞ此方にお座りになって下さい』と、ご丁寧に温かい飲み物を出してくれた。
……やはりこれは少しおかしい。いくらなんでもギルド職員さん達の態度が親身……いや、これは『いやはや流石はリッカ殿ですな。あのダンジョンをこうも見事簡単に討伐するとは。さささ、温かい飲み物でもどうぞ。肩をお揉みしましょうか』……もう卑屈なまでに此方のご機嫌を取りに来ているよね。
「話は少し変わるのですが、リッカ殿はどのくらいダンジョンを把握しているのですかな?」
「それはどういった意味でしょうか」
突如、ギルド職員さんが話を変えて来た。
「いえ、ダンジョンマスターになられたと言う事は、ダンジョン内のモンスターは全てリッカ殿に従うと思っていいのですかな」
「んー、まだ完全に把握はしている訳ではないので詳しくは分からないのですが……恐らくダンジョン外に出る事はありませんね」
そう言うと皆がホッとした顔をした。
「正直に言うと、リッカ殿がダンジョンマスターになってくれて安心しました」
「そうですな、もはやここにダンジョンが根付いた以上、どう管理するかが一番の悩みだったのですが……」
いやはや、リッカ殿には悪いですが本当に助かりましたとギルド職員一同。
私は目を瞑りうつむいて喋らない。
きっと何か言えば必ずボロが出る。この体だけに。
実は私の墓石がダンジョンコアだった事は教えていない。嘘は言ってない、聞かれてないからね、だからセーフなのだろう。私は悪くない、それは本当だ、全てドMのダンジョンコアが悪い。
「しかし、エルダーゾンビの方は早めに手をうたねばなりませぬな」
「そうだな。ダンジョンの成長も阻止出来た事だし、エルダーゾンビは早急に手をうたねば」
あ、やっぱりエルダーゾンビは危険なのか。ダンジョン内からは出さないと言っても、流石に過去に魔王様と相討ったモンスターは放置は出来ないよね。見た感じ、そんなに悪いゾンビ達には見えなかったのだけど……討伐するのかな、やっぱり。
「ギルド長、エルダーゾンビって温厚なんですよね。なら特に手出しせずにほっといたらいいんじゃないですか」
下手に刺激するよりはいいと思う。
「リッカ、お前は何か勘違いをしてるぞ」
ん、どういうこと?
「リッカ殿、人は過去の過ちは忘れ繰り返すものですぞ。特に魔族ならば尚更ですな」
「全くだ、馬鹿なご先祖の教訓があるとは言え、愚かな者がまた手を出しかねない」
「そこは我等冒険者ギルドが門兵と連携して協力体制を結び、愚か者達を抑えましょうぞ」
ギルド長を含めたギルド職員一同が私を凝視している。まさかこの人達、初めから……
「「「ですからダンジョンモンスターの件はダンジョンマスターであるリッカ殿にお任せします」」」
全部私に丸投げするつもりだったな!?
読んでくれてありがとうございます!
ちょっと息切れしてきたので1日1話ペースに戻ります。書き留めしなくちゃ……




