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リッチ(金持ち)を願ったらリッチ(アンデッド)にされたんだが?  作者: キヒロ


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27/120

27 リッチィさん、ダンジョンから帰還する

本日2話目です。

ちょっと短いです。


「はぁはぁ、ギリギリ間に合いました……」


 息を切らして膝をつく。

 実に厳しい戦いだった。

 まさかダンジョンのラスボスがあんなヤンデレさんだとは思いもよらなかった。

 王侯貴族からの奴隷ENDを回避したからと油断していたが、まさかこんな落とし穴が待ってたとは……もう少しでヤンデレEND、鬱ENDになるところだった。


「ふぅ、とりあえずこのまま封印してしまいましょうか」


 そう言って目の前に展開済みのチラシに目をやる。


 そう、私が如何にしてヤンデレENDを回避したのか、それはチラシのスキルを使用したのだ。


「ダンジョンコアがアダマンタイン鉱石よりもなんて言うからまさかとは思いましたが……本当に出来るとは」


 チラシの入金欄を確認。

 残金残高100074000ゴールド。物凄い金額になっている。


「冒険者ギルドのオバちゃんも高値で売れると言ってましたし、そう言う事なのでしょう」


 あと少しで最適化、シークエンスが完了というときに一か八かでチラシの入金欄にぶちこんではみたものの、本当に成功してよかった。お金の硬貨が可能ならば鉱石でもいけるみたいだ。単価は知らないけど。

 一応、入金したお金は払い戻し可能なのだが……このダンジョンコアは永久に封印してしまおう。危険すぎる。1億ゴールド儲けたって嬉しさよりも、助かったとした喜びの方が遥かに勝る。


「という事でさっそく、魔法スキルと交換して消えてもらいましょうか」


 スキルの裏、チラシの裏を展開して魔法スキル欄を探る。

 え? どうしてそんなに急ぐのか? 怖いんですよ! なんか放っておいたら勝手に復活しそうで本当に怖いんです! ヤンデレなくせにドM属性まで持ってたのですから本当に怖いんです! 無理ですから!


「もうこの際、土魔法スキルでいいです。色々と応用も効きそうですし」


 なんか色々と精神が擦りきれた。

 さっさと交換して安心感を得たい。

 少し回復魔法や光魔法に興味を持ったが、なんか地雷臭いので止めた。アンデッドだけに、使用した瞬間に浄化でもされたら堪らない。なので浄化魔法は元々から候補には無かった。それに土魔法なら他の魔法よりも色々と応用が効きそうだしね。


 チラシの魔法スキル欄《土魔法スキル》をタップすると購入しますかと出る。勿論、はい。


 購入完了しましたと同時にカプセルが自分の手に収まった。


「……ガチャポン?」


 キュポッと回して開けてみれば、私の周りをエフェクトみたいな光が降り注ぎ、私の全身を包み込んだ。


「妙な感じですが、どうやら土魔法を覚えたようですね」


 詳しくは分からないが、感覚的に土魔法を使用可能になった感じがする。本来ならば直ぐにでも試してみたいのだが、今はそれ所ではないのだ。


「100%にはなりませんでしたが、モンスターの強化に成功したと言うのが気になりますね。急いで戻らないと」


 もしかするとダンジョン内のモンスターが軒並み強化されているかもしれない。来るときは襲われなかったが、ダンジョンコアが消滅したことによりその保証はない。


「よし、帰りますか」


 ダンジョンコアがあったであろう場所、ひと一人分は入れるであろう墓穴を尻目にこの場を後にするのだった。



 ◇◇◇



「特に変化は、ないですかね?」


 激闘の場を後にして暫く出口を目指しているのだが、それほどダンジョン内に変化は見られない。

 相も変わらず多くのゾンビがそこら辺をうろちょろしている。いや、少し数が減っているのか? 所狭しといたゾンビがそれなりに減っている。


『『『アアァァァ』』』


 それに此方を見ても襲っては来ない。

 一部の群れの中には走り回っているゾンビがチラホラ確認出来るが……ゾンビの動きが素早くなっている気がする……多分大丈夫だと信じたい。他にも石を使って土を掘り起こしているゾンビまでいる。きっとこの世界では一般常識なのだろう。土を掘り起こしているゾンビと目が会えばこっちに会釈してくるし、走り回っていたゾンビは私に気付いて立ち止まり手を振ってくれた。

 うん、凶暴性がだいぶ落ち着いている。よかった、よかった。


「またあなたですか…… 」


 時たまに、何処からかふらっと宙に浮いたフードの幽霊が寄っては来るが、耳元で何やらボソボソと呟いては首を傾げて去っていく。希に案外しつこく付きまとうのもいたが、それは事前購入した盛り塩……はチラシに載って無かったので『塩分入りカットワカメ』195ゴールドを盛大に撒き散らすと嫌そうに消えていった。ウザいのを我慢すればこれも無害である。背中に鎌を背負ってはいるが、手にする様子もない。


 明らかに激減したゾンビをよそに迷わず進んでいると、やがて少し見慣れた懐かしい門が見えて来た。


「確かあの時もこうして墓場から歩いてやって来たんでしたっけ」


 少し違うのは私が迷わずに服を着て訪れたという事だろうか。


 大きく閉じられた門とは逆の、少し離れた小さな扉に向かう。

 ここは門が閉まってはおらず、ギルド職員から帰還時はここから出入りして下さいと前もって教えられていた場所だ。扉は固く閉まってはいるが、押せば開くとのこと。ゾンビは基本的にダンジョンの外には出ず、此方から今回のように攻撃を仕掛けなければ入って来ないそうだ。入れるとしても元々理性がないので、扉を見分ける事も出来ないから安心だと。


 ひと一人が入れるくらいの扉の前に立ち、さっそくと手を掛ける。


「うぅっ、日が暮れてきたせいか寒くなって来ました。今日は色々と濃い一日でしたので早く眠りたいです」


 疲れた精神と体力で扉を潜ろうとした私であったが、


「……え、あれ、閉まってる?」


 どういう事?


読んでくれてありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 誰でも塩を撒き散らされると嫌がるよね。
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