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友弥 反省する

 さて、私のサラ・コナー化計画は進んでいる。


 もう人類の破滅は来る。

 人類だけでなく全生物だけど。

 私がやることは少しでも生き残りを増やす努力と生き残った後、つまり世紀末で生き抜き社会を再構築する事。

 ええとつまり、サラ・コナーとイモータン・ジョーの両方にならなければならない。解らない人は検索で調べて欲しい。


 なのだけれど、今の私は弱すぎる。強くなるためにコユキさんの特訓を受けることになったのだけれど、


「話にならん。なんだその弛んだ身体は!」


『師範モード』の時のコユキさんの言葉には優しさの欠片もない。部活で頑張って鍛えていたつもりの私の身体はコユキさんから見たら豚なんだそうだ。がっくし。

 ユキオさんにコユキさんは本当に人間?と聞いたら人間だった。


 しかしその時、ユキオさんにとんでもないことを聞いた。

『ヒールによる肉体進化』

 わざと怪我を作ってユキオさんに豪華ヒールを掛けて貰うのだけれど、治る途中で自身が理想の身体をイメージすることで、身体を作り替えるというのだ。ただそれは自分の遺伝子情報の範囲内で頭でイメージしたことと上手く合致して初めて成される。

 ユキオさん曰く、コユキさんはヒールで相当変わったらしい。何人も進化ヒールをやったけれど、あそこまで変わった人は居なくて、コユキさんは最高傑作だと。コユキさんは自分の身体を作りかえる、どう変えてどう組み立てるかを完璧にイメージしていたらしい。しかも立ったまんま三十分以上イメージを保ち続けたのだという。何処の修行僧?


 ふうん。

「じゃあ、美人なのも改造したから?」

 そう言ったらユキオさんは全否定した。改造前の方が美人だったと。美しさを犠牲にした強さだと。今も超美人ですが?

 そしてユキオさんは血の涙を流しそうな悔しがり方をしている。

 そこまで?


 よし、それならば豪華ヒールで肉体改造!と思ったのにコユキさんが待ったをかけた。


「絶望する程の壁に当たり本当の限界の中に居続けなければ、自分に何が足りないか、何を為すべきか知ることは出来ない。先ずは血を吐くまで特訓だ。ちょっとくらい死んでもユキオが治してくれる」


 頭から血が引いていくのが判る。

 この人は鬼だ!

 職業鬼斬りなのに鬼だ!

 今まで鬼と言えば副部長だったけど、この人の前では副部長がポメラニアンに見えるわ!


 そして私は本当に血を吐いた。マジで血。

 しかも、休む間も無く3分後には特訓再開するという地獄を味わった。ヒールは有りがたくもあり迷惑でもある。休憩がない。


「痛いー!ヒールー!」


 腕を骨折した私はユキオさんにヒールをお願いした!

 だが、ユキオさんは私を直ぐ治さずにラーメン屋の横の空き地に連れていく。

 そして痛がる私をなんかの木に押し付けて、


「その木に抱きついてろ」と言った。なんて酷い!

 早く治して欲しいのに、呑気なユキオさん。更には大工のガガガさんまで見に来た。


「ユキオ、植え終わったとこだ、丁度良かった」


 何が丁度いいのか解らないが、ようやく私は骨折を治療してもらえる事になった。


「ヒール!」


 ああ、ヒールだ。助かった・・・・

 みるみる治る骨折。

 安堵してる私と裏腹にユキオさんとガガガさんは変な会話をしている。


「う~ん、まだ足りないなあ」

「あと二回くらいか」

「そうだな。おーいコユキー!」


 すると鬼がやって来た。

「なんだユキオ」


「まだ足りん」

「わかった。来い佳子」


 鬼は私をまた訓練場に引き摺っていった。


 あれから私は膝の破壊に肩に刀傷、親指切断とかを一日でするという貴重な経験をした。最初の骨折もあったし。


 そして・・


 目の前には満開の桜。

 木も背が高くなっている。

 どうやらユキオさんはただ治すのでは勿体ないと桜を育てていたらしい。

 てか、ヒールで桜って咲くんだ・・・・


「これ私の木!私の桜!私のお陰で咲いたんだから!」

 私は桜に自分の名札をつけることにした。




 一週間後、私は進化ヒールを掛けて貰える事になった。まあ、それにはヒールするほどの状態にされると言うことだけれどもね。


「じゃあ今日はスペシャルレッスンだな」

 師範怖い!





 ーーーーーーーー



 スマホが点滅する。


 麻生さんからメッセージが届いた。週に一度程度佳子から文章が届くことになっているのだけれど、どうやら今週の分が来たらしい。


 佳子が異世界で生きているなんて世間に言える訳がない。佳子の家族にも言えない。本当は家族に佳子の無事を教えて上げて喜んで欲しいけど、それが出来ないのが悲しい。異世界なんて信じて貰える筈は無いし、他の28人が殺されたなんてもっと言えない。

 佳子が帰ってきたら、佳子はあの日誘拐されたことにすることにした。佳子には後ろから誰かに何かを被せられてそこから覚えてないと言って貰う。集団失踪とは全く別に事件が起こったことにする。彼女の評判には傷がつくがいい方法が見つからない。家出というのも考えたが設定に無理があるので止めた。

 佳子が帰ってきたら、佳子は記憶もない、誘拐犯も判らない、手がかりもないということにするしかない。無理筋だがそれで押しきる。その為の準備も進めてる。


 スマホを見る。

 麻生さんからのメッセージ。

『佳子さんからのメッセージです。すまないけれど読ませて貰いました。私は気にしないことにするから、そちらも私のことは気にしないで。送られてきたのは以下の文章です。

『速報・処女膜復活!今度は痛くしないでね!』』




 佳子ごめん。



今更ですが麻生さんはユキオのお母さんです。

離婚して一人暮らし。


疑う友弥君の説得は力業で押しきりました。


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