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平井佳子の異世界転移

 私は平井佳子(ひらいよしこ)

 女子バスケ部の補欠。部内の順位としては、たまに交代で試合に出れればいいくらい。まあ、バスケは高校から始めたから、中学から続けていた人達にはなかなか勝てない。


 私には彼氏がいる。

 名前は佐々木友弥(ささきともや)。男子バスケ部員。

 佐々木君は元々バスケ繋がりで顔は知っていたけれど、私にはおそれ多い存在。


 ある時お姉ちゃんのテニスについていったら、クラブメンバーに佐々木君が居た。佐々木君、テニス出来るんだ。しかも強い。

 よく、強い人は数種目のスポーツを同時にしているというけれど、佐々木君はまさにその人だった。


 うちの高校にもテニス部あるのになんでバスケ部?どうやら、うちのテニス部は練習のレベルが低いらしい。顧問も地理の先生が兼任してるだけだし。あれはコーチというより引率だ。

 そして、このテニスクラブは優良で有料。ガチテニスの集団。佐々木君はこちらが本命でバスケがトレーニングなんだって。雨天でもできるからって。

 ついでにお姉ちゃんがテニス馬鹿だと初めて知った。


 これで謎が解けた。

 佐々木君、日曜日はあんまり試合や部活に来ないし、部活終わるとすぐ帰って居なくなるし。きっとテニスをしていたんだ。

 人気の佐々木君と話をしたい女子には、彼は捕らえることが出来ない貴重な動物扱いだった。


 テニスなんかしたことなくて座ってるだけの私に佐々木君は声をかけてきた。


 これが二人の始まり。






 昼休み、中庭で女バス仲間と過ごし、おそーくなってから教室に戻る。

 それは会いたくない人が教室に居るから。


 西道優正(さいどうゆうせい)

 同じ中学出身の男子。

 彼は私に好意を持っている。中学時代はマンガも貸してくれて仲は良かったと思う。しかし恋愛感情が湧かない相手。でも向こうはいつも私にべったり近づいてくる。告白されないようになんとか中学生活を逃げ切った。しかし高校まで一緒になるとは思わなかった。ついてきたのだろうか。

 しかも西道のオタク度が増している。ドン引きするレベル。

 私は高校からスマホ持ちだったけど西道の前では絶対に見せない。アドレス聞かれたら困る。

 バスケ部にも入った。そこは彼を避けるにはうってつけの場所だった。しかも楽しい。女バス仲間は私に気を使って西道避けをしてくれて助かった。もうその頃は西道にストーカーをされていたから。


「西道に諦めさせる為に彼氏作ったら?宮田とか青柳とかフリーだよ。聞いてあげようか?」


「いやその・・」


 私は仕方なく白状した。もう、友弥に告白されて付き合っていると。

 仲間は妬みながらも祝福してくれた。有り難う、持つべきものは親友だ。




 がらがらと教室の後ろの入り口を開けると誰も居なかった。次の授業は移動?違う、ここでやる筈。

 なんで?


 よく見れば教室の天井がおかしい。黄色くぼやけている。

 何だろうと、上を向きながら教室に一歩足を入れたら身体が宙に浮いた。

 助けてと叫ぼうとする前に私は天井に引かれて吸い込まれた!






 ーーーーーーーー



 ツボヒサ小屋跡地。

 コユキはバイク、俺はボロリエとカツオを車に乗せて来た。後の者はまだ来ない。



 鬼が一杯居る。

 ナビでは28体だと表示されていたが、あれから変化があった。


「ユキオ、あれを見ろ」


 鬼の集団とは距離があるが、俺とコユキの視力は良い。ボロリエもわりと良い。カツオは普通でよく見えてないと思う。


 小さく見える程の距離の鬼が一人の女性を抱えている。改めてナビ見ればさっきまでなかった人間の反応が増えている。

 女性は気絶しているらしく動かない。ナビに反応してるということは生きている筈。

 その鬼は女性を大きな口で甘咬みしたり、べろべろ嘗めたりしている。酷い!

 食べる気か?

 しかし、食べるようで食べない。服はもう切れ端だ。

 他の鬼も女性にちょっかいを出そうとしたり、横取りしようとするが、女性を抱えた鬼がとられまいと逃げ回る。逃げるときに優しく抱き抱えていればいいのに、足を掴んで逆さに持ち、考え無しに歩くので女性は地面に擦られてばかり、恐らくは怪我もしてる。このままでは食べられなくても死んでしまう!


「皆に見本を見せようと思ってたけど、来るのを待ってられない。ユキオ、鬼を頼む!私は女を奪う!リエとカツオはこっち側に出ようとする鬼を抑えろ」

 そういうと、コユキはバイクバッグに入ってた上着を素早く着こんで鬼に向かって走り出した!


 遅れまいと俺もダッシュ!

 横を走るコユキが言う。


「あの娘の裸を見ないでやってくれ」

 そうか、ボロリエとカツオを置いて、後人の到着を待たずに走ったのはこれか。

 コユキは右に走り、俺は左に別れる。


 俺が女性を持つ鬼の周りの鬼たちをを時計回りに仕留める。コユキの時間稼ぎの為だ。

 一周して7体仕留めた頃にコユキを見れば、もう鬼の首を刀で落として、助けた女性に自身の上着を着せてる最中だった。相変わらず意識は無いらしい。

 おっと、見るなと言われたんだっけ。

 コユキを真ん中にして鬼退治二周目に入る。


「後は頼む!」


 コユキが女性を肩に担いで車の方に走り出す!ちらっと見たが、女性は服は破かれてたがパンツは無事だった。コユキの上着もあるし、もう大丈夫だろう。多少の怪我は後でヒールを掛ければいい。


 車のとこには男達も到着した。コユキの命令で扇形に陣形をとる11人。


 俺は現在17か18体倒したところ。

 鬼がどんどん散らばり始めた!



 向こうを見れば、コユキは車の助手席に女性を寝かせてる。様子を見るに大丈夫らしい。



「さあ、お前ら。実習の時間だ。鬼に心理戦は通用しないぞ。必要なのは圧倒的な強さだ」


そう。鬼は単純だが強い。


「ユキオ、何体残した?」

「5体だ」

「丁度いい」

「そうだろ」


 そうとも、教材としてわざと残したんだからな。


「行け!死んだらメシ抜きだからな!」

 勢いよく飛びだすボロリエ込みの6人!(5人は強くないので居残り)6人で5体を相手にするのは大変だ。恐らくは彼らは二対一でないと勝てない。それも時間が掛かる。そしてフリー状態の鬼も気にかけなければいけない。これは大変だ。

 正に実戦。


 だがいざとなったら、俺もコユキも居る。


 しかしなあ。

 死んだらメシ抜きって言葉おかしいだろ?

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