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ヤキソバ

ガガガが来た。


「俺のラーメンは?」

「ガガガすまん、忘れてた」

「そりゃないよ!」


 しまった。

 タカを仲間にした大事な食事会なのにガガガのことすっかり忘れてたわ。

 うーん。


「ガガガ、これ喰って機嫌直してくれ」


 俺は左手から別の料理を取り出す。タカがガタンと椅子を立ち上がって、俺の左手ガン見してるが知ったこっちゃない。そして他の人達は左手見ても、もうなんとも思わない。


「ユキオ、これはラーメンとは違うな」

「ああ、ヤキソバというものだ。気に入るといいが」


 (・・)を持つガガガ。練習したらしい。

 そしてヤキソバを頬張る。

「お!」

 ガガガのこの『お!』は嬉しい時の『お!』だ。


「どうだ?ガガガ」


「うまい。汁が無いというのも良いものだな」

 そしてヤキソバ後半スパートを掛けるガガガ。そしてあっという間に完食。


 コユキが興味深そうにガガガに向かう。

「美味しいの?どんななの?」

「うまいぞ。なんというかラーメンと似てるが別物だった。ラーメンと違ってするっと口に入って来ないんだが何故か食いやすい。だがラーメンに比べると少し物足りないんだ」

「物足りない?」

「そうだ旨いんだが、物足りない。何だろうこの違いは」


「それは汁が無いからかな?」


「ユキオ、それだ!汁を飲み干すという最後の難関が無いんだ!」

 このガガガの言葉にざるうどんが皆に受け入れられ難い理由もあるのかな。うどん党の俺としては、まだうどんを看板メニューにすることを諦めてない。


「あの汁を飲み終わった後の達成感が無いんだ! ヤキソバ自体は旨い」

 やはりか。

 まあ、ヤキソバは暫くはメニュー外だな。



 ガガガも来たことだし、主要メンバーは揃ったな。

 村長、ラララ、ガガガ、コユキ、タカ。


「さて、皆に報告だが、タカに店に参加して貰うことになった。さっき俺に忠誠を誓ってもらった」


「タカと言います。皆さん宜しく頼む」

 まあ、名前はみんなもう知ってるけど。


 そしてタカの為に店のメンバー紹介を始める。


 先ずは村長。

「タカ、今さらだけれども村長。厨房と村人の手伝い人員の管理を主にして貰う」

「タカよ。期待しておるぞ」


 次にガガガ。

「村の男衆の筆頭で、今度、店を建築する」

「ガガガだ。ユキオには死んだところを生き返らせて貰った」

「えっ!」

 そりゃ驚くよな。


 次にラララ。

「ラララだ。元は贄の子だが、今は立派な店員になるために作法やらをエチゴヤの女中頭にシゴいて貰ってる最中だ」

「ラララです。ユキオ様には鬼に食べられてる所を助けて貰いました」

「鬼!」

「ええ、三頭も居たのにユキオ様がやっつけてくれたんです」

「・・・・」


 最後にコユキ。

「コユキ。コユキも店に立つ予定だが、俺とコユキは何かと忙しい。居ないことも多い。エチゴヤに師範しに出かける事もあって店に立てない日も多いんだが、その分タカに頑張って貰う」

「し、師範!」

「そうだぞ。怒らせるなよ。クロマツギルドを潰したのは俺とコユキだ」

「ギルドを・・・・」

「コユキよ。ユキオ様には命を救われたとか色々恩があるけど、一番は()()()から足抜けさせてくれたことね」

 コユキはギルドと言わずあそこと言った。元ギルド嬢なことは公開してないが、村長も察しているかもしれない。でもまあ言わない方がいいか。こう話すとイイハナシだが、かつてのエロコユキの記録的おっぱいに目がくらんで助けたとは言えない。夢破れたけど。


「さてとタカ。君にして欲しい事は店の接客だ。タカはこれから店に来るであろう客の町民、貴族、武士とも会話が出来る。

 それともうひとつ。村の用心棒もして欲しい。此村は俺のせいでどんどん有名になる。良い意味でも悪い意味でも。俺とコユキはさっきも言った通り留守にすることが多い。エチゴヤは番屋を設置してくれると約束してくれたが、先日番屋の()()()()()()を見てきたが、正直物足りない。とはいえ田舎に来てくれるだけでも貴重な人材だ」


「そこで元剣士の私というわけですか」

「その通り。その為に腕も治した。そこでだ、コユキと戦ってみて欲しい」

「コユキ様と?」

「腕を確かめたい」





 ー ー ー ー ー ー




 刀の代わりに棒を持つコユキとタカ。

 試合前。

 タカは久しぶりの腕と身体を確かめるように準備運動と動作確認。一方コユキは余裕でなにもしない。



 で、俺たちはと言えば。

 みんなで横に並んで座って食後の冷たいお茶を飲んでまったり。

 観客としてくつろぎまくってる。

 正直、コユキの戦いを間近で見た人は居ないんじゃね? エチゴヤでの師範の姿を見てなければ、見る機会は無い。戦った相手はみんな死刑になってるし。


「村長、これあげる。ラララにも。ガガガにも」

 そういって左手から棒アイス(ミルク)を取り出して配る。異世界初のアイス登場だ。


「おお、これはまた旨い」

「冬でもないのに何故?凄い」

「つめたーい、おいしーい!」


 それを見たコユキが吠えた。

「私の分がない!」


「ほら、コユキ、集中、集中!」

 ふっふっふ。


「コユキー!おいしいよー!」

 ラララまで(ワル)よのう。


「ちっくしょー!」

 コユキ、吠えてる吠えてる。たのしー!



「じゃあ始めよう」


「いつでもいいわ」

 コユキの顔が修羅になる。こええ。

「師範とやれるとは滅多にない機会。全力でいかせて貰う」

 体は直ったけどブランクはどうだろう?

 二人は五歩くらいの距離に向かい立つ。





 よし。

「それでは・・・・・・・・・・はじめっ!」



 動いたのはコユキ!

 真っ正面から勢いよくタカに棒を振る!いや、振るなんてもんじゃない、どつくだ!

 腰を据えて構えてた筈のタカが崩れる! 更にもう一撃コユキが押し込む!

 更に崩れたタカの胸を踏み込むように蹴り飛ばすコユキ! 反動で靡くコユキの銀の髪。

 遂にぶっ飛ぶタカ。


 全て正面からの攻撃。

 背中も足元も狙ってはいない。正面突破で不利なはずの女のコユキがぶちかました!


 そして鬼神の顔でコユキが言う

「立ちなさい。終わってないわよ」


 こえええええええっ!




 その後、またヒールが必要になるほどタカは叩きのめされた。

そしてタカはコユキにギリギリ合格と言われて練習メニューを言い渡された。

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