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05話:アシリアの病気を治していく

「アリシアッ!」

「えっ? わわっ。お、お父様っ……!」


―― ガバッ!


 アリシアの酷い怪我が治ってからすぐ、父親のギルバートはアリシアの元に駆け寄っていき、ぎゅっと抱きしめていった。


「あ、あぁ、本当に良かった……アリシアの病気が治ってくれて……本当に良かった……」

「お父様……はい。私も良かったです……それと、今まで心配をかけてしまって本当にごめんなさい……」

「そんな事は気にしなくて良い。私はアリシアの無事な姿が見れただけで良かったのだから……だから本当に……本当に無事でいてくれて良かったよ……」

「はい、お父様……」


 アリシアとギルバートは優しく抱擁を交わしながら、お互い涙ぐんでそんな会話を始めていった。なんとも温かい光景だった。俺はその光景を温かく後ろから見守っていった。


◇◇◇◇


 そんな親子の温かい会話からしばらく経って。


「それでは改めて自己紹介をさせてください。私はエルフェミナ公爵家の長女、アリシア・エルフェミナと申します。年齢は18歳です。今回は私の病気を治してくださって本当にありがとうございました」

「いえいえ、俺はヒーラーとして当然の事をしただけですよ。それじゃあ俺も改めて自己紹介をしますね。俺はセツナ・キサラギです。年齢は16歳です。改めてよろしくお願いします。アリシア様」

「私に対して“様”付けなんて要りませんよ。セツナ様は私の命の恩人なのですから。ですから私に敬称など使わなくて大丈夫です。私の事は呼び捨てで構いません」

「えっ? あ、い、いや、流石にそれはちょっと……公爵令嬢の方に敬称を使わず呼び捨てにするっていうのは……流石に不敬過ぎる気がするというか……」

「大丈夫ですよ。私が公爵令嬢だとかそんな事は気にせず、どうか私の事はアリシアとお呼びください」

「そ、そうですか。わかりました。まぁでも流石に年上なんで、せめて“アリシアさん”って呼ばせて欲しいです。それで大丈夫ですかね?」

「ふふ。セツナ様は礼節を重んじる方なのですね。はい、わかりました。それではさん付けて構いません。改めてよろしくお願いしますね。セツナ様」

「はい。よろしくお願いします。アリシアさん」


 俺はアリシアと改めて自己紹介と挨拶を交わした。それから俺はベッドに身体を起こしているアリシアの姿を改めてじっと見ていった。


 アリシアは先ほどの全身大火傷のような酷い傷だらけのボロボロ状態の姿から一転して、とても美しい女性に変貌している。サラサラな金髪ロングヘアと、パッチリとした綺麗な青色の眼が特徴的な美人な女性だ。


 だけどもちろん今までずっと寝たきり生活を送っていたので、頬は痩せこけているし、身体も栄養が足りずに全身ほっそりと痛々しい姿のままだ。回復魔法は病気や怪我は治せるけど、流石に栄養失調や筋力低下などを治すのは無理なので仕方ないのだけど。


 それでもアリシアは先ほどまでの辛そうな表情ではなく、柔和な笑みを浮かべている。それに物腰柔らかな雰囲気もまとっていて、まさに貴族令嬢というにふさわしい女性に見えた。


「それでは改めてエルフェミナ家当主である私からお礼を伝えさせてください。セツナ殿。アリシアの診察するだけでなく、難病と言われていたアリシアの病気を完璧に治してくれて本当にありがとうございました。セツナ殿には感謝してもしきれないです。本当に……本当にありがとうございました」

「私からも改めてお礼を言わせてください。今回は私の病気を診て下さって本当にありがとうございました。セツナ様は私の命の恩人です。この御恩は一生忘れません」

「はは。そう言って貰えると俺もヒーラーとして頑張った甲斐がありました。アリシアさんの病気が治って本当に良かったです。でもこれは病気が治っただけで、身体の方は万全になった訳ではないですからね。今までずっと寝たきり生活だったから、筋肉とか身体の機能が色々と低下してると思うので、これからはリハビリを頑張ってくださいね」

「はい。ありがとうございます。本当にセツナ様はとても優しい御方ですね。そしてお父様も今までに数多くのヒーラー様を探してくださって本当にありがとうございました。お父様が全力を尽くしてヒーラー様を探し回ってくれなかったら、きっと私は病に伏して近い将来に亡くなる事になっていたと思います。ですから本当に……本当にありがとうございました、お父様……」

「ふふ。父として娘を助けるためなら何でもするのは当たり前だ。だから病気が治って良かったよ。アリシア」


 ギルバートはアリシアに向かって優しく微笑みながらそう伝えていった。二人の親子仲がとても良いという事がよくわかる素敵な光景だと思った。


 そしてそれからギルバートは俺に向かってこんな事を尋ねてきた。


「それにしてもアリシアの罹った病気は本当に恐ろしいモノだった……あの病気は一体なんだったんだろうか? セツナ殿はヒーラーとしてあのような病気に罹った人を今までに診察をした事はありますか?」

「いえ。俺も生まれて初めて見た病気でした。おそらくまだ解明されてない未知なる病気だと思います」

「やはり他のヒーラー様も仰っていた通り未知なる病気なんですね……本当に恐ろしい病気でした。ですが原因不明の未知なる病気だとしたら……もしかしたら私はまたあの病気に罹ってしまう可能性もありますよね……そう思うと……私、怖いです……」

「アリシア……」


 アリシアは凄く不安そうな顔をしていった。そりゃあ当然だ。あんな未知なる原因不明の病気にかかったら誰だって恐怖でそんな顔をするに決まってる。


 だからそんな怖がっているアリシアを安心させてあげるためにも、俺はすぐにこう言ってあげた。


「そんな心配は要りませんよ。アリシアさんがまた同じ病気にかかったとしても、俺がすぐに治療します。だから怖がらなくて大丈夫ですよ。これからはどんな事があっても俺が必ずアリシアさんを絶対に助けに行きますからね」

「セツナ様……はい、ありがとうございます。ふふ、そう言って貰えると……凄く心強いです」


 俺の言葉を聞いてアリシアは安心して柔和な笑みを浮かべながら感謝の言葉を送って来た。


 そして今のやり取りを聞いていた父親のギルバートは頭を下げながら俺にこう言ってきた。


「アリシアのためにそんな優しい事を言ってくれるなんて嬉しいです。アリシアの父親として本当に感謝の気持ちでいっぱいですよ。ダグラスが言ってたように貴方はとても心優しき少年のようですね。そしてセツナ殿……貴方に新たな依頼をお願いしたいのですが、それを聞いて頂けませんか?」

「新たな依頼ですか? はい、もちろん大丈夫ですよ。どのような依頼でしょうか?」

「はい。それではセツナ殿にお願いしたい事なのですが……もしよろしければアリシアのリハビリを手伝って貰う事は出来ませんか?」

「……え? 俺がアリシアさんのリハビリを手伝うのですか? でもそういうのはどこの馬の骨ともわからないヤツより、身内の人にお願いした方が良いんじゃないですか? リハビリを手伝うとなると長期間アリシアさんと接する事になると思うので、それならほぼ初対面の俺よりももっと信頼出来る身内にお願いした方が良いと思いますよ?」

「いえ、セツナ殿はどこの馬の骨ともわからないなんて事はないですよ。セツナ殿は物凄く優しい心を持った御仁だと言うのは我々も理解していますし。それにセツナ殿は凄腕のヒーラーです。リハビリ中にアリシアが再度怪我をしてしまう可能性もありますし、近くにセツナ殿が居てくれると、父親である私としても安心出来るのです。ですからどうでしょうか。良ければこの後もアリシアのリハビリを手伝って頂けませんか?」

「う、うーん、それはもちろん俺で良ければ手伝いたい気持ちはありますけど……でもリハビリとなると、アリシアさんの身体をペタペタと触ったりする場面も出てきてしまいますよ? わかってると思いますけど俺は男ですからね? 女性の身体をペタペタと触られるのは本人からしたら抵抗があるかもしれませんし……アリシアさんはどう思いますか?」

「ふふ、全然構いませんよ? セツナ様になら身体をペタペタと触れられても私は全然大丈夫です。むしろセツナ様が居て下さった方が安心してリハビリが出来ると思います。ですから是非ともセツナ様にはリハビリの手伝いをお願いしたいです!」

「そ、そうですか。アリシアさんが大丈夫だと仰るのでしたら……はい、わかりました。それじゃあこれからのリハビリもお手伝いをさせて頂きます。という事でアリシアさん。改めて今後ともよろしくお願いします!」

「リハビリの手伝いを引き受けて下さってありがとうございます! それでは改めてよろしくお願いしますね、セツナ様!」

「はい、こちらこそです。アリシアさん」


―― ギュッ……!


 そう言って俺はアリシアと軽く握手を交わしていった。これが今後長い付き合いになる俺とアリシアの最初の出会いなのであった。

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