表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/41

36話:目を覚ますとエルフェミナ家の部屋のベッドの上にいた

「……あ、あれ……?」


 目が覚めると俺はベッドの上に横たわっていた。そこは俺が住まわせて貰っているエルフェミナ家の一室だった。


 そして俺の全身には包帯がグルグルに巻かれている。何だかちょっと前までのアリシアみたいな感じの姿になっている……って、そうだ、ア、アリシアは……!


「おっ、目が覚めたか。大丈夫か?」

「え……? あ……スクルドさん……!」


 俺は目を覚まして身体をベッドから起こしていくと、近くの椅子に座っていたスクルドが声をかけてきてくれた。


 そうだ、そういえば最後に意識を失う前にスクルドとルファスが助けに来てくれたんだっけ。


「ちゃんと意識が戻って良かったよ。身体は大丈夫か?」

「は、はい……まぁ全身痛いですけど、とりあえずは大丈夫です。それにしてもこのグルグル巻きの包帯は一体……?」

「それはお前が助けたご令嬢がやってくれたんだよ。あんな美人なお姉ちゃんに手厚く看病して貰えて良かったなー」

「えっ? アリシアさんが俺に包帯を巻いてくれたんですか? と、というかその……アリシアさんは大丈夫でしたか? 怪我とかそういうのは……?」

「それなら大丈夫だ。エルフェミナ家のご令嬢は怪我一つ無かったよ。お前がご令嬢の事を全力で守り切ったんだってな。はは、カッコ良いじゃねぇか。流石は俺の弟子だなー!」

「えっ? って、わわっ!」


―― ガシガシッ!


「ちょ、ちょっとー……あはは、痛いよ、スクルドさん」


 スクルドは豪快に笑いながら、俺の頭をガシガシと撫でていった。ちょっと痛いけど、でも何だか不思議と温かい気持ちにもなった。


「はは、悪い悪い。まぁでもカッコ良い事には変わりないしな。だけど駆け付けた時はお前があんなにボロボロになってるとは思わなかったよ。駆け付けるの遅くなってすまんかったな」

「いやいや、むしろ全然早かったよ。というかそもそも助けに来てくれてありがとう、スクルドさん。とっさに通信石を使ったから、もしかしたら連絡付かなくて駄目かもしれないと思ったんだけど……」

「セツナからの連絡ならそりゃあすぐに反応するに決まってんだろ。そんで通信石で最初に何処で襲われてるか明確に言葉で伝えてくれたから、すぐに駆け付ける事が出来たんだ。悪者共に囲まれていてあまり喋れない状態だったはずなのに、俺に襲われてる場所を不審がられないように伝えるなんて、セツナのとっさの対応力は凄いな」


 今スクルドが話してきた通り、俺はあの裏路地の現場に辿り着いてから、すぐにポケットに入れてた通信石に魔力を込めてスクルドとルファスに連絡を繋いだんだ。


 でも二人に通信石で話したら悪者達にすぐ助けを呼んでる事がバレてしまうと思ったので、俺は不審がられないようにそれとなく襲われてる場所を口に出して言ったんだ。


 そしてその伝達が上手くいったようで、スクルドとルファスはすぐに現場の裏路地に駆け付けてくれたというわけだ。


「はい、ありがとうございます。あ、そうだ。そういえばあの男達は一体何者だったんですかね?」

「あぁ、今ルファスが尋問している所だが、アイツらは地方にある小さな領地で色々と悪い働いてた小悪党らしい」

「地方の領地で悪事を働いてた? という事はアイツらは王都の人間じゃなかったんだ?」

「そうだよ。アイツら曰く地元の領地で目を付けられちまったから、一旦地元から離れて王都に出稼ぎに来たんだってさ。だから最近王都にやって来たばっかりなんだとよ」

「ふむふむ。最近王都に来たばっかりなんだね。なるほど……」


 という事はアイツらがアリシアに呪術を使ったという犯人という事ではないんだな。


 裏路地に入った時はアリシアを襲っているから、もしかしてアイツらが呪術を放った犯人なのかと思ったんだけど……でも王都に来たばかりというのなら呪術の件とは無関係のようだな。


 アリシアの呪術の件と無関係だったのはちょっと残念だけど、でもまぁ今回の事件ではアリシアを無傷で助けられたので、それについては本当に良かった。


「アイツらの話を聞くと一か月前くらいに地方の領地から王都にやって来たらしい。まぁでもこの王都で悪事を働くなんて少しでも常識を持ってるヤツなら絶対にしないからな。だからアイツらは身の程知らずのバカな田舎者の子悪党だったっていうオチだな」

「? 何で常識を持ってるヤツは王都で悪事を働かないの?」

「そんなの単純な話さ。この王都には最強の武家一族であるスカーレット家がいるんだぞ。そしてそんなスカーレット家がこの王都にある騎士団、警備隊、冒険者ギルドを全て統率してるんだぜ? そんな滅茶苦茶強いスカーレット家+騎士団、警備隊、冒険者ギルドの全てに目を付けられたら間違いなく人生が詰むから、基本的に悪党共は王都で悪事なんて働かねぇんだよ。だからこの王都で悪事を働こうとするヤツは“田舎者”か“自殺志願者”か“バカ”しかいねぇって事さ」


 スクルドは大きく笑いながら俺の質問に答えてくれた。どうやら俺の想像よりもスカーレット家は遥かに凄い家系のようだ。


「な、なるほど。スカーレット家ってそんなにも凄い一族だったんだね。いやもちろんルファスさんが強いのは十分にわかっていたけどさ」

「おう、そうだぞ。そんなにもすげぇ一族なんだよ。それにスカーレット家の人間は恐ろしいほど厳格で怖いヤツらばっかりだからな。だからセツナも気を付けろよ? ルファスはキレたら滅茶苦茶怖いからな」

「え? ルファスさんが怖い? うーん、ルファスさんからはそんな怖い雰囲気なんて全然感じないけどな。それに怒るような人じゃないでしょ。どっちかというと優しく諭してくるタイプじゃないの?」

「優しく諭すタイプ?? ぷはは、アイツがそんなタイプな訳ないだろー。だってアイツの異名って“氷鬼の剣姫”って言うんだよ。アイツが睨んだだけで辺りが一瞬で凍るって事で有名なんだぜ?」

「氷鬼の剣姫っ? な、なにそれ滅茶苦茶怖い異名なんだけど? ルファスさんの優しい雰囲気とは全然違う異名じゃん」

「それだけアイツを怒らせると滅茶苦茶怖いって事だよ。俺もつい最近に依頼報告書を提出し忘れちまって、それでルファスに強烈に睨まれて滅茶苦茶怒られたしなー。あはは!」

「いや、それは報告書を提出し忘れたスクルドさんが悪いじゃんか。あはは」


 そう言って俺とスクルドは笑い合った。それにアリシアが無事だという事もわかって本当に良かったよ。それじゃあ早くアリシアにも会いたいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ