186 森の中
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レンはジョバンニとバートとコボーのナナと一緒に森の中にいた。
クルトはすでに仕事で王都に戻るためにこの村を発ち、2、3週間ほど経つだろうか?
レンは村に、ケイトの弟子、ジョバンニとバートの兄のような感じで受け入れられ、かなり馴染んだところだ。
コボーはこの村に来た時にレンを追いかけてきて隣で羽根を逆立てていたコボーだ。
クルトが3頭とも連れて行こうとしたが、頑なにレンのそばを離れず、厩で無理なく過ごせていたようなので、ここで暮らしても大丈夫だろうと判断して、残して行くことにしたのだ。
名前はレンがナナとつけた。
メスで性格もおとなしく、レン、ジョバンニ、バートを守るべき者と思っている番犬のようなコボーなのだ。
村の子どもにも優しく、バートや他の子を乗せてやることもあった。
ジョバンニは冒険者に憧れているらしい。ふたりの父であるジョバンニも冒険者になり、今は村から離れているということだ。
時々手紙が届くそうで、ジョバンニには父親の記憶があるが、バートはあまり良く覚えておらず、それで母のような薬師に憧れているようだ。
レンはジョバンニとバートに知っている魔法や剣術について教えていた。
ジョバンニはすでに魔法を少々使えていたこともあり、剣に入れ込んで使うという方法はすぐにできるようになった。威力はまだまだだが、これからだ。
炎の剣と稲妻の剣が得意になりそうだ。
バートは収納魔法を使えるようになった。
レンが見た感じでは、バートの方が魔法の才能はありそう。カイエンに教えてもらえたら……と頭をよぎる。
レンダート伯爵家というか、ミュラー子爵家とは確実に親戚になるのだから。ありえない話ではない。でも、レンはその声を今は上げることができない……。
ナナの上にバートが乗り、安全を確保した状態で、ジョバンニとレンがブラウンボアやディアホーンを狩るということが、最初は続いていたが、最近、森の奥の方までジョバンニとレンとナナだけで行くということが増えていた。
村にしてみれば、肉も食べられ、さらに素材を扱う職人に売ることで、喜ばれた。
そんな風に楽しく村での生活をスタートさせたレンだったのだが……。
手に入る素材が充実したことで村で作成した商品が増え、村から近くの農村へ、またギルドまで売りに行くことが増え、また、職人の所まで買い付けにくるお客も増えた。
つまり、村の外部との交流が盛んになってきたということだ。
村人はレンの事情を知らない。
村に来たばかりの若い少年のことはなんとなく噂になりかけていた。
男にしては線が細く、剣の腕は確かだが、本人は薬師になるという希望があるらしいとか……。
ライナスの所にも、レンとジョバンニにあれを獲って来てもらいたいという指名の依頼が入るようになった。
ケイトに「あら、薬師の弟子になったのではなくて?」と笑われてしまうほどだ。しかし、まだジョバンニをひとりで狩りに行かせるのは心配だ。
それにレンとジョバンニまでなら、ナナにふたり乗りできる。
ナナに乗り、森の奥へ入り、シルバーフォックスの罠を仕掛けることも始めた。
今日はバートが珍しく一緒に行きたいと泣いて、久しぶりにくっついてきていた。
前日にシルバーフォックスの罠を仕掛けていたので、それも見に行きたいが……。
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