Memory 21 幻の痛み
現実世界で目を覚ました僕らはすぐにコネクターから体を起こした。
騒然とした第一係室では、二葉さんが床に寝せられ救命装置を付けられていた。
「すず!」
御堂島さんが慌ただしく駆け寄る。
「容態は!?」
「ダメ……脈が戻らない!」
「今救護班を呼んでいるところだが、こいつはもう……」
北見さんに続き、兵藤さんが顔を曇らせた。
「どどど、どういうことでござるか!? 何が起きたのでござる!? 二葉殿に何が……!」
ケルベロスと死闘を繰り広げていて二葉さんの身に起きた惨劇を知らないござるさんは困惑していた。
二葉さんに外傷は見られない。端から見れば気を失っているだけにしか見えない。ござるさんにもそうとしか見えていないだろう。
でも……。
御堂島さんの拳が硬く握られ、震えた。
「……兵藤さん、北見さん。すずを頼みます」
「おい! 御堂島! どこに行く!」
兵藤さんの呼び止める声を振り切り、今までに見せたことのない鋭い殺意を宿した目で、御堂島さんが部屋を走り出て行った。
まさか――
僕は嫌な予感しか湧かなかった。
「御堂島さんは、一人で犯人のところへ向かう気じゃ……!」
「なんだって!? あいつは犯人の居場所を知ってるのか!?」
「FANTASYから切断される直前、御堂島さんはあのウサギへメモリーエクストラクションしたんです。もしかしたら、それが成功していたのかも知れません」
犯人がウサギのアバターを使っていたとは言え、仮想世界に潜っていたということは僕たちと同様にコネクターからFANTASYへと精神を繋いでいたことになる。そして、通常はコネクターにもメモリーエクストラクションの機能が備わっている。ならば、仮想世界の中でディザーガンのメモリーエクストラクション機能が作動しても不思議はない。仮想世界の中では現実同様の物理法則が働くようプログラムされているのだから、ディザーガンも実物同様の働きをするよう、犯人の使っているコネクターのメモリーエクストラクション機能が作動してディザーガンの性能を忠実に再現したのだろう。あの瞬間、犯人がそれを阻止するかのように強引に僕たちをログアウトさせたことも、それを裏付けている。
そしてきっと、御堂島さんはログアウトさせられる直前、犯人の記憶を盗み見ることに成功したのだ。犯人の直近の記憶を見れたのなら、居場所くらいはわかるはずだ。
「とにかく、御堂島さんを追うべきです」
そして彼が道を踏み外さぬよう、止めなければ。
兵藤さんは目を伏せ、深く考えるように息を吐いた。
「……北見。すずを頼めるか?」
「ええ、わかったわ」
「瀧波、秋元、雨宮。俺たちは御堂島を追う。支度しろ」
◆ ◆ ◆
兵藤さんの運転する車に乗り、僕たちは本庁を飛び出た。外は空を覆う厚い灰色雲から強い雨が降りしきっていた。
猛スピードで移動する御堂島さんの位置情報を追いかけて行くと、今日見たばかりの景色が目に入って、僕は思わず「ここは」と口ずさむ。
すぐに左腕のデバイスから起動したホログラムの立体地図を縮小。やはり、御堂島さんの位置情報が向かう先には品川更生診療所があった。
程なくして僕たちは品川更生診療所に到着し、ゲートを潜る。するとすぐ、入り口に横付けするように乱雑に駐められている一台の黒い警察車両が目に入った。御堂島さんの乗ってきた車だ。
「あれ、ここって……」
車を降りて施設を見上げた百花さんも気がついたようだった。
「ええ、勇希の収容されている更生診療所です」
僕はざわつく胸を押さえる。
そうだ、僕は一つの可能性を見落としていた。受刑者の精神が乗っ取られているこの事態は、当然ながら勇希にもその被害が及ぶ可能性がある。
なんだか、とても嫌な予感がした。
僕たちが施設に足を踏み入れると、中から折り重なって響き渡る阿鼻叫喚の悲鳴が鼓膜を叩く。そして呼応するように警告灯が赤く点灯し、鳴り響くサイレンが施設全域を震わせた。
何が起きたのか確かめるまでもなく、操られた受刑者たちが次々と現われ、所員たちを襲っていた。
「なるほど、こいつらが例の操り人形ってわけか……。確かに、こりゃどう見ても異様だな」
兵藤さんはディザーガンを引き抜き発砲し、所員を襲っていた一人の受刑者を眠らせて納得を示した。
その銃声で操り人形たちが僕らに気付き、こちらに向かって行進を始める。ペンやハサミなどの身近にあるありとあらゆる凶器をその手に振りかざして。
すぐさま僕たちも発砲して応戦。手前の操り人形から順に沈めていく。
そのまま受刑者たちを鎮圧しつつ、施設内の攻略を進めていった。そうしてしばらくしてT字の通路に差し掛かった時、
「避けろ!」
兵藤さんの鬼気迫る号令が飛んだ。通路から猛烈な勢いでパイプ椅子が飛んできたのだ。
兵藤さんとござるさんは転がるように通路左へ、僕と百花さんは右の壁の影に身を隠した。
パイプ椅子は壁に衝突して大破。さらに彼らの手にしていたハサミやカッターなどの鋭利な凶器までもが凄まじい速度をもって飛んでくる。それらは時折、壁に突き刺さるほどの威力を持っていた。もし当たったらひとたまりもないだろう。
苛烈な弾幕の中、僕たちは壁に隠れながら応射を開始する。
「機動隊や特殊部隊は何をしてるでござるか! 早くここにも駆けつけて欲しいでござる!」
「各地でこんな騒動が起きてたんじゃ機動隊と特殊部隊を総動員しても人手が足りんだろうよ。それにさっき警報が鳴ったばかりだ。ここに救援が来るのなんていつになることやら」
ござるさんの鬱憤にも似た叫びに兵藤さんは溜め息の出そうな声で答えた。
「御堂島のことも放っておけないが、この状況も看過できん。俺たちでできる限りのことをするしかない。二手に分かれて可能な範囲を制圧しながら御堂島を追うぞ」
「では拙者は百花殿と――」
「お前はこっちだ」
兵藤さんはこちら側に移ろうとしてきたござるさんの首根っこを掴み、猫を運ぶように持ち上げて連れ戻した。
「俺と秋元は西回りに進む。雨宮と瀧波は東回りに進行しろ。何よりも襲われている人命を最優先で救助だ。いいな?」
「「わかりました」」
僕と百花さんは同時に頷き、兵藤さんたちとは反対の通路へ駆け出した。
尽きることなく湧き出す受刑者たちを一人ひとり着実に片付けていきながら、定期的にデバイスのマップで御堂島さんの位置を確認して先に進む。立体化した位置情報によると、どうやら御堂島さんは上の階に向かっているらしい。
僕と百花さんはそれを追いかけて、階段を上った。
「すずは……本当に死んじゃったの……?」
不意に、百花さんは止まりかけのコマのような不安定で弱々しい声をこぼした。
「僕に医療の知識はないので勝手なことは言えませんが……あの状況を見る限り、希望は薄いのではないかと」
仮想世界の中で、二葉さんは心臓を刺されていた。忠実に再現されたリアルな痛みが彼女の現実の体にも襲ったはずだ。恐らく、彼女は仮想世界の中で〝死〟を実感してしまったことだろう。それは、現実世界でも彼女の脳が〝死〟を錯覚してしまったことを意味する。きっと彼女はもう、目覚めることはない。
「どうしてすずが……! 御堂島さんとの結婚だって、再来月の予定だったんだよ!? なのに、こんなのってないよ……!」
百花さんは悲しみに暮れる涙をその目から落とした。
本当に、こんな結末はあんまりだと、僕も思う。
二葉さんはこれから幸せに生きるはずだった。僕とは正反対で、トゲもなく、誰にでも人当たりが良くて、いつもニコニコしていて、温かい人だった。
少なくとも、あんな終わり方をしなければならないような人ではなかった。もっと幸せに、人生を謳歌するべき人だった。
そして僕は何よりも、そんな二葉さんを失った御堂島さんの気持ちを思って、胸が張り裂けそうになっていた。最愛の恋人を失った彼の抱えた悲しみと絶望は、僕たちの比じゃないはずだ。
すべては、あの犯人の歪んだ思想と身勝手な犯行のせいで。
自然とディザーガンを握り締める手に力がこもった。
それが怒りだと気がつくのに、数秒の時間を要した。憎しみの混じらない、曇りのない義憤だった。この僕が人のために怒りを覚えるなんて、と自分自身に驚く。少し前までは考えられないことだ。
「……とにかく、僕たちは御堂島さんを止めなくてはなりません」
「御堂島さんを……? 犯人を、じゃなくて?」
百花さんは不思議そうに首を傾げた。
「御堂島さんの目は、殺意に染まっていました。このままだともしかしたら、御堂島さんは怒りに任せて犯人を殺してしまうかも知れません。それでは御堂島さんが犯罪者になってしまいます。そんなの、二葉さんだって喜ぶはずがありません」
僕だって、そんな御堂島さんを見たくない。彼にそんな姿は、似合わない。
御堂島さんの位置情報を追いかけて階段を駆け上がり、診療室の並ぶ区画にたどり着く。そこは、これまでとは比べものにならないほどの数の受刑者たちで埋め尽くされていた。
逃げ遅れた所員が襲われ、悲痛な叫びと助けを求める声を上げていた。無抵抗な所員を集団で囲み、感情のない顔でひたすら暴行を加え続ける受刑者たちの様には、形容しがたい恐怖心が込み上げた。掌に、じっとりとした汗が滲む。
「何なのよ、この数……!」
「でも……行くしかありません。準備はいいですか?」
僕の送る視線に、百花さんは一つ大きな深呼吸をして、頷く。
そして二人で同時に飛び出し、暴徒と化した軍団に麻酔弾の雨を浴びせかけていった。
一人、また一人――
百花さんの背後に忍び寄った暴徒を僕が仕留め、僕の背後に迫った暴徒を百花さんが狙い撃つ。そうして互いに背中を預け、ひたすらにトリガーを引いた。
何度トリガーを引いたかなんてわからない。何度弾を再装填したかもわからない。それほどの数の操られた受刑者たちを眠らせていった。
一人残らず片付けた頃には、通路に寝転ぶ受刑者たちによって人の海が出来上がっていた。
「やっと、終わり……?」
「みたいですね……」
お互いに切れた息を整える。けれどその時、百花さんの背中の向こうに迫り来る影を見つけて、僕は呼吸を忘れる。
その影は、他の受刑者らと同様の病衣を纏った白髪の青年――勇希だった。
だからこそ、僕は動揺のあまり体が硬直して、反応が遅れた。
猛烈な勢いで走り迫る勇希の手には包丁が握られていた。それがこちらに向けられて突き出されたところで、僕はハッと我に返る。
「危ない!」
咄嗟に百花さんを抱き寄せ、庇う。勇希の突き出した包丁が僕の脇腹を掠めていき、熱と錯覚するような鋭い痛みが電流のように体を駆け抜けた。
「佳由良……!」
百花さんの張り詰めた声が鼓膜をくすぐった。
構わず、僕は体を捻って足を振り上げ、勇希を蹴り飛ばす。そして壁に背をぶつけて倒れた彼へと間髪入れず、ディザーガンを構えた。
「か……ゆら……。俺は……償わなきゃ……」
僅かながら自我が残っているのか、彼は混濁した意識の中で、意味を成さない、けれど深層に漂う意思が伝わってくるような、そんな声を零し、頬に一筋の涙を落とした。まだ受療開始から間もないからか、催眠も完全ではなく自我が残っているのかも知れない。
「そうです。僕たちは、償わなければなりません。だから、勇希。そんな催眠に負けず、はやく更生プログラムを終えてください」
僕は引き金を引く。彼はそれ以上何も言葉を発することなく、静かに眠りの底に沈んでいった。
「ぐ……っ!」
思った以上に傷が深かったのか、手先の痺れるような痛みが押し寄せて僕は堪らず蹲った。
「佳由良! 血が……!」
脇腹に手を触れると、ぬめりとした温かい感触がして、ペンキでも垂らしたんじゃないかと疑いたくなるほど掌が真紅に染まる。
頭がチカチカし始めて体に力が入らなくなり、僕は寝転んで仰向けになった。息がツラくなり、短く浅い呼吸になっていく。
「ど、どうしよう! 私のせいで……! こういう時どうすれば……! えーっと、えーっと……!」
「うるさいですよ、百花さん……。べつに、あなたのせいじゃありません。僕の体が、勝手に動いてしまっただけです……」
しゃべるのもやっとだった。
「で、でも……! 私、どうすれば……! こんなの、応急処置のやり方も知らないし……! そうだ、まずは兵藤さんに連絡……!」
そこはまず救急隊では? と疑問を呈したかったけれど、そんな気力も湧かない。恐らく、今の百花さんはパニック状態でまともな思考が働いていないのだろう。
その証拠に、彼女は慌てふためく指先のせいでデバイスがうまく操作できず、何度も「あれ、あれ」と困惑しながらやり直しを繰り返し、兵藤さんに通話を発信することさえままならない有様だった。
とてつもなく瞼が重くて、僕は静かに瞳を閉じる。視覚をシャットアウトしたことで、心臓の鼓動に合わせて蠢く脇腹の痛みがより鮮明に形を成してくる。けれど、なぜだかその方が楽に感じられた。
「佳由良! ダメだよ寝ちゃ! こういう時に寝たら死んじゃうよ! 佳由良ぁ!」
体を揺すられて、一層痛みが激しさを増す。
まさか怪我人の体を揺すってくるなんて……何を考えているんだこの人は。このままではむしろ彼女に殺されてしまう。
いくらパニックを起こしているとは言え、一喝してやりたい気分になった。でも、やはりそんな気力は残っていない。
どういうわけか……眠い。そう、猛烈な眠気が僕を地の底へ引きずり込もうとしていた。
おかしい。確かに酷い出血ではあるけれど、現時点ではまだ気を失うほどの血は失っていないはずなのに。
「やだよ……また私を独りにしないでよ……! 佳由良ぁ……!」
見なくても、百花さんが泣いているのがわかった。けれど、彼女の切実な涙声が遙か遠くにある星の煌めきのように、距離を感じる。
意識が遠のいていく。
暗い水の底を漂っているような、奇妙でいてどこか心地良い感覚。霧がかかったみたいに頭がぼやけてきて、思考が微睡んでいく。
あれ、この微睡みの感覚を、僕は以前もどこかで――
どこだったろう。この胸を撫でるような浮遊感。魂を吸取られるような感覚……。
そういえば、記憶世界へダイブする時の感覚に似ている。けれども、そうじゃない。僕はそれ以前にも、この感覚を味わっている気がする。そもそも、僕は初めて記憶世界にダイブした時にも同じように思っていた。どこか身に覚えのあるような感覚、と。
だとしたら、どこで。
記憶捜査官として働く前。僕は、部屋で目覚めた。その時、夢で――
『安心してください。目が覚めた時には、きっと――』
カッ、と目を見開き、僕は体を起こした。その突然の動作に脇腹が鋭く強烈な痛みを訴え、思わず唸り声を上げる。けれど、そんな痛みのことなどもはやどうでもよくなっていた。
「そんな……嘘でしょ……?」
思わず口からこぼれていた。自分の頭の中で組み上がった仮説に、自分でも信じられない。けれど、僕の思いとは裏腹に、頭の中でカチカチと音を立ててパズルのピースが組み合わさっていく。
「佳由良!?」
百花さんの驚きに満ちた声。確かにそばにいる彼女の存在を、僕の耳が感じ取る。だからこそ、余計に――鳥肌が立つ。とても、信じられない。
「……百花さん。一つ、質問があります」
心配そうな瞳で僕を見つめる彼女を真っ直ぐに見つめ返して、僕は問いかける。
「先ほどの『また私を独りにしないで』とは、どういう意味ですか? まるで、過去に誰かと死に別れたことがあるとも汲み取れるような言葉ですが」
「え……? いや、そんなことないけど……。あれ……そういえばどうして私、そんなこと言ったんだろう……」
彼女は不思議そうに悩み始めた。
「では、それに近い重い過去とかは? 例えば、人間関係について価値観がひっくり返るような、そんな出来事です」
それは、前から気になっていたことでもあった。百花さんの言動には、過去に何かを抱えているような重みがあったからだ。
しかし、百花さんは首を横に振る。
「それもないけど……」
「本当に何も?」
「うん……。アンタみたいに重い過去があるわけでもないし……」
「では、どうしてあなたは人との繋がりをあんなにも大切にして、守ろうとするんですか? まるで、過ちを繰り返さないためかのように」
「それは……どうしてだろう? わからないけど……。急にどうしたのよ?」
僕はこれまでの百花さんの言動を思い返して、思考を巡らせた。明らかに変だ。
「これは僕の持論ですが、人の行動には何かしらの原理が伴うものなのだと思います。百花さんの言動にも、過去に原因となる何かしらのトリガーがあると思うんです」
感情も、言葉も、経験の産物だ。だから彼女の抱いた感情も、紡ぎ出した言葉たちも、どこかに繋がる糸が必ずあるはずだ。そして彼女はこれまで、無意識の内にその糸を手に取って、言葉にしていたに違いない。
無意識。あるいは、潜在的意識。潜在的記憶――
きっと、百花さんは忘れている。いや、〝忘れさせられている〟んだ。それが、彼女にとって重要な記憶だから。
そしてそれは恐らく、御堂島さんも――
配属初日の朝、目を覚ました時の忘却感。あの時、僕は確かこう思った。『いつもは九時か、早くても八時に起きる程度なのに。そもそも、いつもは目覚ましなんてセットしない』と。直前まで警察学校に通っていた記憶がありながら、だ。警察学校の朝がそんなに弛んでいて遅いわけがないのに。そんな矛盾の生じる、ちぐはぐとした記憶たち。
記憶捜査第二係に感じた、騙し絵を見ているような違和感。
経験ある記憶捜査官とは思えないような、御堂島さんと百花さんの行動の数々。
居酒屋での御堂島さんの不自然な言動。
百花さんと御堂島さんの『また』という、過去を匂わせるような一言――
まばらにちりばめられていた点が、次々と線を結んでいく。
それもこれも、僕は思い出せたから気付けただけだ。いや、〝思い出してしまった〟といった方がしっくりくるかもしれない。きっとこれは、想定外のイレギュラーな事態なのだから。
僕は立ち上がる。脇腹を蝕む〝幻の痛み〟を無視して。
「か、佳由良……? 大丈夫なの?」
「ええ、平気です……。それよりも、早く御堂島さんを追わないと……」
取り返しのつかないことになる。
左腕のデバイスでホログラムにより立体化したこの施設の見取り図を呼び起こし、位置情報を確認する。彼は今、屋上にいた。
「行きましょう、百花さん。恐らく、これで僕らの――夢が終わります」




