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俺の心霊的な日常  作者: なかむらこむぎ
23/23

炬燵に潜り込んで寝そべりながら、ぼんやり駅伝を見ていると、後輩から電話がかかってきた。

いつもLINEなのに珍しい。

急用かと思って出てみると、用件は拍子抜けするものだった。


『先輩、すみません! 俺、この前借りた雑誌をまだ返してなくて…!』


何をそんなに慌てているのか。

そう思ったが、眠くてうとうとしていたせいで、頭が働かなかった。


「おー、今度会ったときでいいぞ。急がねぇから」


捨ててくれてもいいと思ったが、思ったときにはもう口から返事が出てきていた。


おかしな事だが、この後、後輩とどういうやり取りをしたのか覚えていない。

気がついたら通話を切っていた。


どうも変だ。

首をひねっていると、今度は別のやつから電話がかかってきた。

今度は何だと出てみると、ついさっき俺に電話をかけてきた後輩が、事故に遭ったという知らせだった。

今手術中だという。


「あいつ…」


俺は合点がいったと同時に呆れた。

今際(いまわ)(きわ)に(まだ生きているが)思い出したのが返し忘れた雑誌とは。


俺は上着をつかむと病院に向かった。

不思議と焦りはなかった。

律儀なあいつのことだから、どんなにくだらない約束でも守ろうとするだろう。

なぜかそんな確信があった。


もし万が一、雑誌を返しに来たあいつが生身でなかったとしても、酒くらいは出してやろうと思う。

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