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俺の心霊的な日常  作者: なかむらこむぎ
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幸せな家族

(ダチ)の実家には猫用のオモチャが置いてある。

猫がいないのになぜあるのか聞いてみると、以前飼っていた猫のためだという。

天寿を全うしたこの家の飼い猫は、たまに家族の様子を見に来るのだと、(ダチ)は言った。


「たまにさ、壁をガリガリする音が聞こえてくるんだよ」


昔飼っていた猫は、そこらじゅうで爪を研ぐ癖があったらしい。

死んでも爪を研ぐんだから困ったやつだと、(ダチ)の家族は笑う。


何かを引っ掻くような音がして、(ダチ)が「な?」と俺を見た。

確かに音がする。

猫もいる。

だが、壁を引っ掻いているのは猫じゃない。


ガリガリ、ガリガリと、背を丸めた老婆が長い爪で壁を引っ掻いている。

猫はそのまわりをぐるぐる回っている。


俺は何と言って良いか分からず、黙っておくことにした。


(ダチ)とその家族がテレビを見て笑っている隣で、老婆が一心不乱に壁を引っ掻く。

その顔は、仏壇に飾ってある写真によく似ていた。

H30年11月15日 一部改稿

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