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俺の心霊的な日常  作者: なかむらこむぎ
12/23

チンピラ幽霊

帰宅ラッシュにはまだ早い夕方、電車に乗るとチンピラがいた。

チンピラは乗客ひとりひとりに顔を寄せ、目を剥いて威嚇している。


だが誰も気づかない。

チンピラが生身の人間ではないからだ。


もしかしたら俺のように、見えるが無視しているヤツがいるのかも知れない。

皆、熱心にスマホを見ている。


面白くなさそうにブツブツ言っていたチンピラは、ベビーカーに乗っている赤ん坊と目が合ってピタッと止まった。


赤ん坊はチンピラが見えているのだろう。

汚れのない目でチンピラに熱い視線を注いでいる。

俺も経験があるが、あれはなかなか辛い。


チンピラはしばらく居心地が悪そうにモゾモゾしていたが、意を決したように赤ん坊に近づき、「べろべろばー」とやった。


きゃきゃきゃと、赤ん坊が笑う。

それにつられて、乗客の何人かが顔をあげた。


静かだった車内が少しだけ賑やかになる。

チンピラはそれに気をよくして、満足そうに消えた。



H30年9月22日 一部改稿

H30年10月8日 一部改稿

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