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19話 色々と勉強が出来ました?

目の前に髭ダルマの人が立ち、僕を見下ろしている。

どうしよう、怖い。


「嬢ちゃん、ここは嬢ちゃんのような子供がやる仕事は貼ってねぇぞ」

「え?」

「嬢ちゃんの手を伸ばしている掲示板は、汚れ仕事か命を張る仕事の依頼だけだ。 嬢ちゃんのような子供はあっちの掲示板だ」


髭ダルマさんの指の先を見ると木の板で出来た掲示板がある。

掲示板によって仕事の内容が違うのだろうか。


「いいか、人間より能力が高い竜人族だからって、子供がこんな仕事を選んじゃあいけねぇよ」

「あのっ受けるわけじゃなくて、どんな内容なのか見たかっただけです」

「受けなくてもだ、中には嬢ちゃんにはまだ早過ぎる内容が書かれているもんだってある」


もしかしてこの髭ダルマさんは、僕の事を思って注意してくれたの?

でも、子供にはまだ早過ぎるって、どんな内容なのだろう。

ちょっと気になっちゃったりもするけど、髭ダルマさんの指示は聞いておいた方が良い気がする。


「僕、ギルドに来るのが初めてで、どこに何が貼ってあるとか知らなくて……」

「そうか、ギルドの掲示板ってのはな豪華な程、金も良いが危険も多い依頼が貼ってあるんだ、そこら辺はしっかり覚えておいた方が良い」

「そういう物だったのですか……」


やっぱりこう言う物にも決まり事ってあるんだよね。

姉さんは何も注意せずにサラッと見て来いって言ったけど、出来れば教えて欲しかった。


「あの、色々注意して頂いて有難う御座います」

「別に頭を下げられる様な事はしてねぇよ。 ま、分からねぇ事があるなら一人で勝手に動き回るより、周りの奴らにしつこい位聞いて回るんだ、じゃねえと新人なんざあっと言う間におっ死んじまうからよ」

「それじゃあ、あっちの掲示板に行きますね」

「おう、無茶はするんじゃねぇぞ」


何と言うか、話してみると良い人なのに……

きっとあの人は見た目で損をするタイプな気がする。

髭ダルマさん怖いと思ってしまってごめんなさい、あと髭剃った方が良いですよ。

しかし、ギルドで本格的にお金を稼ぐ気はないけど、ギルドのルールを教えて貰えたのは思いのほか大収穫だった。


……もしかして姉さんは、初めから僕が失敗したり注意してもらう経験や勉強をさせる為に、あんな指示を出したのかも。

普段はネジが緩んだような行動をとる事が多いけど流石は人の中で生きているだけあって、姉さんは人の事を色々知っているし、初めて街に出た僕に色々と経験させてくれているんだろう、そうに違いない。

一時でも何も考えずに、指示をしたなんて思ってしまった自分が恥ずかしい。



木の掲示板の辺りに移動してみると、さっきの髭ダルマさんが言っていた通り華奢な体の人や、僕と同じくらいの子供が掲示板を眺めていたり、張り紙を取って受付に向かって行っている。

やはり、荒事を避ける人達はこの掲示板なだろう、早速僕もあの輪の中に紛れよう。


公園の清掃、繁忙期の店の臨時店員、薬草畑の収穫手伝い……

なるほど、確かにこっちの掲示板にはあまり危険のなさそうな仕事の依頼だらけだ。

今日これから仕事を受ける気はないけど、薬草畑の手伝いとかやってみたいな。

人だった頃は使えもしない魔法や扱えもしない武器の訓練で、毎日怪我だらけで薬草には沢山お世話になった。

そんな薬草がどうやって出来ているのか、ちょっぴり気になる。

よし、今度一人で来た時はこの依頼があったら受けてみよう。


魔法や剣の訓練か、使えもしないのに叩き込まれたせいで知識だけは頭の中に詰まっている。

この知識を今の躰で使ってみたら、人の頃に思い描いた結果を得る事が出来るのだろうか。

時間がある時に、少し試そうかな。


「お待たせー、なんか良い依頼あったー?」

「姉さん、お帰りなさい。 気になる物はありましたけど、今すぐやりたいってのはありませんでした」

「そっか、ご飯食べた後にモンスター退治とかしてひと暴れって考えていたけど、それなら今日は街をぶらぶら見て回りましょ」

「はい。  ……あれ?」

「ん? どうかしたの?」


モンスター退治?

危ない仕事を受けようとして注意されたりとか……、人と話したりして経験とか……、あれ?


「急に黙り込んでどうしたの? もしかして変な人とかに話しかけられたりしたの?」

「えっ? 髭の人に話しかけられてちょっと怖いなって思ったりはしましたけど、良い経験になりましたよ?」

「変な事されなかった!? もしされたなら、お姉ちゃんそいつをぶっ飛ばしに行って来るわっ!!」


姉さん、何故目の前で腕をブンブン回しているのですか……

うん、きっと僕の前だからまたネジを緩めたんだ、そうなんだ。


「特に変な事はされてませんよ、掲示板のルールを教えて貰っただけですから」

「そうなの? それじゃあ、お金もたっぷり入ったしお昼食べに行きましょ」

「たっぷりですか、あんな鹿の角でもお金が貰えるんですね」

「まぁ、今は薬関係は何でも高いから鹿の角でも高く買い取って貰えるんじゃないかな。 さて、お昼は丼よ!」


薬不足? 病気でも流行ってるのかな?

聞いて見たかったけど、姉さんが質問する前にあっと言う間にギルドの出入り口へと移動してしまったのでチャンスが無い。

そこまで姉さんを突き動かす丼にも興味が出て来たし、食べながら聞いて見よう。

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