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武蔵へのお使い。

おじいさんのありがた~い おはなし。

 その後の調べで、将門の娘、五月(さつき)姫は、貴船神社で三七日(さんなのか)、丑三参りをして、妖術を授かった後、下総(しもうさ)国に戻ったとのことであった。

滝夜叉姫(たきやしゃひめ)というのですか。しかも下総、それは困りましたね。」

 小式部の話を聞いた晴明はすぐに占いを行い、滝夜叉姫が下総相馬にいることを確かめた。

「頼光殿たちの方が近いなあ。応援に行くべきかな。」

「そうですね。誰か使いを出す必要がありますね。」

「パパはダメ、ママについていてあげて」

 小式部は家庭の事情を晴明に話した。

「ふん、そうですね。まずはみなさんで近江にいきましょう。」

「みなさん?」

「ご一家で、都は私が何とかします。」

「で、武蔵への使いは?」

「それは、私に考えがあります。」



「えっ、私が武蔵まで行くんですか?」

 公任邸にやってきた晴明は、教通に使いに出るように依頼した。

「関白殿にも話は通してあります。少しは役に立てとのことでした。」

「ふむ。そうじゃな。教通殿はこれは使えるようになったじゃろ。」

篳篥(ひちりき)ですか。笛で戦えというんですか。」

「悪心や魔を祓うのは、篳篥が一番じゃ。」

「そういえば、博雅さんも泥棒が、取ったもの返しに来たって言ってましたね。」

「そんな名人がやったこと、私にできるわけがないです。」

「よいか。心を澄まして、無心で奏でるんじゃ。」

「これで、小式部さんの印象もよくなりますよ。」

「わかりました。はぁ……。」

 教通は、武蔵へ使いに行くことをやっと納得したようだった。


  


 その頃、頼光一行は貞光が案内する温泉地にたどり着いていた。

「箱根の次は、熱海か、伊豆か、湯河原かどこにしましょうかね。」

 貞光は京から、温泉地だけを経由する彼だけが知る山道を進み、一行は関東の入り口までたどり着いていた。

「貞兄、それ、みんな温泉だ。」

「おいおい、明日には相模抜けないと、間に合わないって、赤子が言ってるぞ。」

「早く、切らせろよ。」

「そうだな。ここまで温泉巡りでたどり着いてるしな。貞、次は武蔵の近くにしろ。」

「そうですね。ここから山を越えて、秩父あたりですかな。」

「貞兄、そこも温泉か?おら、お肌すべすべだ。」

「このまま東海道を行けと、赤子が言っておる。」

「ここからは、下りと平地だ!遠回りすると切るぞ!」

「そうだな。明日は江戸の津久戸村にたどり着くぞ。」

 頼光一行は、翌朝早く、目的地の江戸に向けて出立した。


 一行が津久戸村に着いたのは、深夜近くだった。さすがに馬を乗り継いでの強行軍で疲れた一行は、近くの名主の家に一夜の宿を借りることにした。

「私は源頼光と申す。我々は都からの使いで参った。すまぬが一夜の宿をお借りできぬか。」

「都からとは、長旅お疲れのことでしょう。お入りください。」

「それはありがたい。」

 一行は名主の屋敷の中に案内され、温かいもてなしを受けた。

「それで、お侍さんたちはどのようなご用件でここまでいらっしゃったのでしょうか。」

「物々しい格好で、脅かしてしまったのであったら、申し訳ない。」

「いえいえ、こちらの武者は乱暴ですから、これほど礼儀正しくされると…。」

「そう言って下さるとありがたい。都で、怪異騒ぎがあってな。」

「はい。それがこちらと……。新皇様のことですか。」

「なあ貞兄、新皇ってなんだ?」

「そんな温泉はないな。将門公のことだな。」

 後ろで四天王は黙って聞いていたが、頼光は振り向いて二人を目で黙らせた。

「都に異界の門が現れて、これを封印するのに将門公の霊玉が必要なのだ。」

「霊玉?」

「将門公にかかわりのある場所に現れるものらしいのだ。」

「そうおっしゃっても新皇様に関わるものと言えば、この近辺にたくさんありますよ。」

「首塚だけではないのか?」

「ええ、こちらの『築土神社』では首ですが、胴、兜、(よろい)、首を洗った井戸などさまざまですね。」

「ふむ。」

 頼光は、地図を取り出し、それぞれの場所を確認した。

「そりゃ、関わるものは多いだろうな。温泉めぐりだな。」

「その中から2つみつけるのか。」

「それは大変だな。赤子に聞いてみよう。

「とりあえず、首塚を切る!」


事実、将門伝説に関わるものの多くが関東地方にはありますね。

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