四納言会議
おじいさんのありがた~い おはなし。
御堂関白は、晴明からの報告を聞くと、四納言と武官を招集した。
今日は行成も俊賢の向かいに座り、全員が集まった会議となった。
「晴明からの報告は以上である。質疑のあるものはいるか。」
今日も摂政頼通が話を進めていく。斉信が発言を求める。
「晴明の話だと、残った玉は5つとのことだが、探す当てはあるのですかな。」
「晴明、どうなんだ。」
「菅公の話によりますと、伝説を探せとのことでした。」
俊賢が発言を求めた。
「さっそく、調べましたところ、近江に飛んできた首を射落としたという伝説がありました。御首神社として祭られております。京では四条通にある祠、また、武蔵国江戸津久戸村に首を祀った塚があると聞きました。」
「ふむ、それで三か所か。しかし、俊賢殿は仕事が速いですな。私は武蔵国豊嶋郡で怨霊の話があると聞きましたぞ。」
公任が答えると、行成は
「道風殿が夢で、将門の娘に妖術使いがいると語っておりました。賀茂川の上流にある貴船神社で丑三参りをしていたそうです。」
「夢で、道風殿?行成殿は、まだ具合が悪いのですかな。怪異に襲われたというのも怪しいものですな。晴明も菅公だと?全く意味不明じゃ。こんなわけのわからぬことを申して、だれが責任を取るのですかな。」
あきれたような顔で斉信が言うので、俊賢が、察して
「怪異に襲われていないのは斉信殿だけではありませんぞ。私も今のところ問題ありませんぞ。行成殿が襲われたことを妬んでいるのですかな。」
「別に妬んではおらぬが、変ではないか。さして重要でもない女官や楽士が襲われて、関白殿、頼通殿に次ぐ、大臣殿や四納言の私や俊賢殿が襲われないのは。」
「それで、斉信殿は何もやってないのですか。」
頼通が問うと
「いや、わしが襲われたら大変なので、しっかり結界を張っております。怪異退治は晴明や武官たちの役目だと……。」
「それではそろそろ、斉信にも引退してもらおうかの」
関白殿がぼそっと言ったので、斉信は真っ青になって黙り込んでしまった。
「それで怪しいのは、京が2カ所、近江、武蔵が2カ所ということですね。」
頼通が話をまとめる。
「全部で5カ所ですね。晴明どうですか?」
「はい、今のところこちらの人数が足りませんね。」
「怪異や怨霊に対抗できる人数ですか。頼光どうですか?」
「私のところは、切ることができるのが私を含めて2名、弓矢を当てることができるのが1名、直感で当てることができるのが1名、温泉を当てることができるものが1名」
「温泉?何の役に立つんだ。」
「さあ?何かと役に立ってます。我々以外では、保昌殿、博雅殿」
「源博雅は武官ではなかろう。」
「博雅殿は演奏で怪異を祓います。保昌殿は剣だけではなく笛でも。ただ問題は怪異を見ることができるものが、晴明殿の他には1名。うちの季武も見えてそうですが…。」
「晴明殿の他とは、小式部か?」
「ええ、しかし彼女は祓うことができませんから、危険が伴います。」
「う~ん、7~8人で手分けするのか。」
「摂政殿、よろしいですか。」
「晴明どうした?」
「七条河原の結界の維持にも人がいります。異界の門から出てくる怪異を結界で封じていますが、定期的に間引かないとあふれてしまいます。」
「都内に入られると、たいへんだな。」
「よろしいですかな?」
「公任殿、何かいいお考えかありますか。」
「そのための三船の宴じゃろ。三日三晩、なんなら7日でもよいぞ。わしは大堰川の時は歌だけだったが、今度は全部やるぞ。」
「なるほど、その間に京と近江はいけますね。しかし、博雅頼みですか。」
「いや、わしが優秀な歌人、文人、楽人を選び、集めましょう。」
「唐から文人を招くには時間がありませんぞ。」
「それは、わしが朗詠に向く詩を選び、良き詠み人を選びましょう。」
そのような経緯で、藤原公任プロデュース「三船の宴Ⅱ」が企画されることになった。
「では、関東は頼光殿とその配下にお願いしたい。」
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