第217話 トウコと同い年?
俺とユイカは去っていくオスカーの後ろ姿を呆然と眺めている。
「俺、漫画とかで魔法学校は実技演習とかで成績が決まるって習ったんだよな」
「私も」
だよな?
「2人共、現代は勉強なの。ペンは剣よりも強しっていうでしょ?」
なんでイルメラは勉強ができるんだろう?
「イルメラに言われるとちょっとムカつくのはなんでだろう?」
「どう考えてもこっち側寄りの人間のくせにちゃっかり成績が良いからだと思う」
ホント、お前はバカであれよ。
「一緒にしないで。それでさ、焼き肉ってどこに行くのよ? アストラルにそんな店なかったと思うけど」
え? ないの?
「ウチの町にあるぞ」
「日本でしょ。私とロナルドは行けないわよ。不法滞在になるじゃないの」
あ、そういえば、そういう話もあったな。
「私は問題ない」
「あ、私も」
ユキとユイカが頷き合う。
「ひっでーな、おたくら」
ロナルドが苦笑いを浮かべた。
「うーむ……さすがに2人を外すのはないな。ラ・フォルジュ派の結束会も兼ねているし、皆でやらないと意味がない」
「ユキ、私はラ・フォルジュ派じゃないから」
イルメラはまったく関係ないもんな。
「まあ、そこはいいじゃん。お兄ちゃんなんか寝返ってイヴェール派だしね」
「ただの彼女でしょ。それよりもどうするのよ?」
うーん……
「その辺でバーベーキューでもするか?」
「それだ」
トウコと頷き合う。
「そんな目立つことをしたくないわよ。私はあんたらと違ってピエロにはなりたくないの」
ウチの魔法大会ではかっこつけて無駄に槍を振り回してたくせに……
「というか、校内ではやめてね」
ミシェルさんが苦笑いだ。
さすがに無理っぽい。
「双子の家で良いじゃん。結構広かった」
「あー、下には降りてないけど、良い家に住んでたわね」
ウチ?
「大丈夫かな?」
「さすがにお父さんとお母さんに聞かないとわかんないね」
あまりノーとは言わない親だが、さすがにこの人数はな。
「トウコ、ちょっと聞いてこい」
「あいあいさー」
トウコは返事をすると、ものすごいスピードで駆けていった。
「トウコさん、校内は走らないで……もういない」
トウコの姿はもう見えない。
さすがは駆けっこで1位しか取ったことがない女だ。
まあ、俺もだけど。
「トウコのせいでミシェルさんが婆ちゃんに怒られるな」
「ホントにね。そして、あなたは……ハァァ……」
なんかミシェルさんがものすごく深いため息をついた。
「頑張ってくれ」
「ご愁傷様です」
「とんでもない爆弾があるね」
「今回のことでよくわかった。マジでロミジュリ3秒前だな」
こら、ロナルド。
誰がMR3だ。
「駆け落ちなんかせんし、死なんわ。というか、駆け落ちしてどうするんだよ」
セドリックを頼るか?
「あんたらはどうとでもなりそうだからそれっぽいのよ」
「会長、錬金術で生きていけるもんね」
「貧乏でも案外楽しく生きられるもんだぞ」
ユキさんはちょっと重いからしゃべらないで欲しいな……
「とりあえず、いつまでもここにいたら迷惑だから寮の分岐点まで戻ろうぜ」
ロナルドがそう言うので校舎を出ると、丘を登り、男子寮と女子寮の分岐点でトウコを待つ。
すると、トウコが女子寮から走ってきた。
「良いって!」
軽い親だな。
「この人数って言った?」
ミシェルさんがトウコに確認する。
「言った。ホットプレートもあるし、冷蔵庫にある野菜も焼いて良いってさ」
「良いの?」
「うん。なんかお父さんとお母さんはデートするんだって。死ねばいいのにね」
イチャイチャを見せられたな……
「そういうことを言わないの。ご両親が良いならお言葉に甘えましょう。じゃあ、私は買い物に行ってくるから夕方ね」
ホント、親戚の姉ちゃんだな、この人。
「ミシェルさん、焼き肉だよ? 豚肉とか鶏肉とかで誤魔化さないでね」
「わかったから……テリーヌをフォアグラって言ってバクバク食べてたくせに」
誰に聞いた?
婆ちゃんかな?
「とにかく、頼むね」
「はいはい」
俺達は夕方に集まることにすると、この場で解散した。
そして、俺とロナルドは男子寮なので2人でさらに丘を登っていく。
「お前はウチに来たことがなかったな」
「そもそもあまり他所の家に行くことがないな。ましてや異国だ」
確かに俺もフランクやセドリックの家に行ったことがないな。
あるのは日本にあるシャルの家だけ。
「それもそうか。そもそも寮生だしな」
普通に会える。
「そういうこと。夕方におたくの部屋に行けばいいか?」
そうなんだが……もう15時を過ぎているんだよな。
「微妙な時間だし、もう来いよ。俺、部屋を使ってないからノックされても出ない」
「それもそうか。あ、良かったらご両親に挨拶をさせてくれ」
律儀な奴。
こいつは本当に同級生に見えない。
俺達は寮に戻ると、2階に上がり、部屋に入る。
そして、ゲートをくぐり、俺の部屋にやってきた。
「ふーん……日本だな」
ロナルドが窓から外の街並みを眺める。
「日本だからな。来たことあるんだよな?」
ユキの従兄だし。
「ああ。何度かな。直近は叔父さんの葬式だったから良い思い出じゃなかった」
重いのをぶっこんでくるな。
「ちょっと下に降りるぞ」
「はいよ」
俺達は部屋を出ると、階段を降りる。
そして、リビングに行くと、母さんと父さんがテレビを見ていた。
「ただいま。トウコから聞いたけど、焼肉していいの?」
「おかえり。祝勝会でしょ? そういうのも大事ですよ。お母さんもお父さんが魔法大会で優勝した時はいつもしてたわ」
いらない、いらない。
そういう話は一切、受け付けてない。
「それでロナルドが挨拶したいってさ。ユキの従兄」
そう言うと、ロナルドがリビングに入ってきた。
「どうも。ツカサ君とは違うクラスですが、同級生のロナルドです。この度は場所を貸していただきありがとうございます」
ロナルドが挨拶をする。
「いえいえ。いつもお世話になっております…………先輩?」
「同級生って言ってただろ」
俺も先輩かなって思ったけど。
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